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新人育成の必要性とは
新人育成の必要性は大きく分けて、「利益を稼ぐ戦力の増強」と「企業の持続的安定性の確保」の2点が挙げられます。前者は言葉通り、社員を育てて企業の生産性を上げ、利益を増大させることを目的とするものです。とりわけ優秀な社員に育て上げることに成功すれば、将来的にその人物が自社のコアメンバーとして経営の中軸を担うことも考えられるでしょう。
他方、「企業の持続的安定性の確保」とは、要するに自社が末永く存続していくための「後継者の育成」を意味します。どんなに優秀な人材でも永久に働き続けることは不可能ですし、優秀な人材だからこそキャリアアップのために転職をしてしまうことも起こりえます。その際、その人物が担っていた仕事を引き継げる人材が育っていなければ、企業はたちまち仕事を回していくことが困難になってしまうでしょう。つまり、新人育成とは業務の属人化を防ぎ、社内に蓄積されたノウハウを次世代の社員に伝えていくために大切なのです。
新人育成に必要な研修内容
新入社員を自社の戦力となるビジネスパーソンに育てるためには、基本的なビジネスマナーや実務的なスキルなどを教えることが必要です。以下では、これらの新人育成に必要な研修内容について解説していきます。
企業理念や基礎的なビジネスマナー
新人育成における最初のポイントは、企業理念や基礎的なビジネスマナーについて教えることです。新入社員を自社の一員として馴染んでもらうためには、自社がどのような理念の下で経営しているのか、社員にはどのような人物であることを求めているのか、基本的な考え方や価値観を共有してもらう必要があります。
また、言葉遣いや身だしなみ、電話対応、名刺交換の仕方など、基礎的なビジネスマナーについて教えることも重要です。こうした基本的なマナーの徹底は、社員個人や、企業全体の品格を高め、相手に信用してもらうために欠かせないスキルと言えます。このような企業理念やビジネスマナーの教育は、とりわけ新卒社員に対して「社会人」や「企業の一員」としての自覚を根付かせるためにも大切なことです。
業務について
経営理念やビジネスマナーの次には、自社の具体的な業務プロセスについて教えていきましょう。ここには出退勤の記録の仕方から、パソコンや業務システムの使い方などの基本的な部分をはじめ、部署ごとの業務内容なども含まれます。これらの業務プロセスは通常の場合、非常に多くの情報量を含みます。そのため、教える側・教わる側両方の記憶忘れを防ぐ、チェックリストなどを事前に用意しておくのがおすすめです。
このチェックリストにおいては、業務内容だけでなく、「補助を受けながらであればできる」「要所要所の確認は必要」「完全に自力でできる」など、レベル別のチェック項目を作るとより効果的でしょう。マニュアル化できる部分についてはマニュアル化して渡すことで、自主学習もしやすくなります。
なお、業務研修の仕方としては大別して「OJT」「OFF-JT」の2通りがあります。以下ではそれぞれの概要について簡単に解説します。
OJT
OJTとは実際の現場で体験することを通じて業務の進め方などを学ぶ研修方法です。基本的には教育係の先輩社員が1on1で新人に付き、随時教育する形です。OJTは実際の現場で役立つ実践的な業務知識やスキルを学ぶのに適した研修方法です。たとえば、営業職などは得意先への顔つなぎなども兼ねて、OJTを重視することが多いでしょう。しかし、OJTは教育係の先輩社員によってその学習効果にムラが生じやすく、学ぶ内容も断片的な知識になりがちというデメリットも抱えています。
OFF-JT
OFF-JTはOJTと対照的に、実際の業務現場から離れた研修会場で学ぶ方法です。OFF-JTの場合はたとえば人事課の研修担当者や外部講師などが事前に作成したテンプレートに沿って研修を進めるのが一般的でしょう。OFF-JTは実践的な学習には向かない反面、座学などを通じて体系的な知識を学ぶのに向いています。あるいは、事務職などルーティン的な業務が多い職種の研修にも適しているでしょう。効果的な研修を行うには、OJTとOFF-JTをそれぞれ相補的に活用することが重要です。週ごと/月ごとなど、期間を区切って両方実施することをおすすめします。
資料やレポートなどのビジネス文書作成について
ビジネスにおいては、申請書、報告書、稟議書、決議書等々、定形・不定形問わず様々な文書を作成する機会が多々あります。それゆえ、業務を円滑に進めるためには、こうしたビジネス文書の基本的な書き方を教えることが有効です。また、社外の顧客や取引先に送るビジネスメールは相手方に失礼があってはならないので、CcやBccなどの使い方も含めてメールのテンプレートについてもしっかり教育しましょう。
ITリテラシーの重要性
現代の企業社会においては、基本的にどのような職場でもパソコンやインターネットの活用が欠かせません。それゆえ、業種・職種問わず、全ての社員に対して一定以上のITリテラシーを教育することが重要です。ITに関する研修内容としては、パソコンの使い方や、Word、Excelなどの業務に必要なアプリの使い方などはもちろん、「不審なメールやWebサイトは開かない」といった基本的なセキュリティ知識、SNS発信における公私の区別なども含まれます。こうしたITリテラシーは全社的に徹底すべきことなので、必要であれば既存社員に対しても適宜実施しましょう。
上司の80%が悩んでいる? 新人育成での困りごとと解決方法
前項では基本的な研修内容について解説しましたが、実際に人を教え導くのは非常に難しいことです。たとえば、厚生労働省による「平成26年版 労働経済の分析 -人材力の最大発揮に向けて-」においては、「人材の能力・資質を高める育成体系」に課題を持っている企業が52.9%、「従業員の意欲を引き出す人事・処遇制度」に課題を持つ企業が39.5%と報告されており、社員の育成や能力の発揮に課題を持っている企業の多さを物語っています。(参照元:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/14/dl/14-1.pdf)
(参照元:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/14/dl/14-1-2_03.pdf)
そこで以下では、上司が悩みがちな新人育成における悩み事やその解決法について解説していきます。
報・連・相がなかなかできない
報告・連絡・相談の「報・連・相」は職場における情報共有や仕事の進め方の基本となるものですが、新人教育においてここがネックになることが多々あります。新人の報・連・相が疎かになってしまうのは、上司や先輩社員に対する遠慮や不安が原因になることも多くあります。「忙しそうにしていて声をかけづらい」「失敗を咎められたり、無能と思われたりするのが怖い」などといった心理は、誰しも思い当たることがあるのではないでしょうか。
新人に報・連・相を定着させる解決策としては、「日頃からコミュニケーションを取って話しかけやすい雰囲気を作る」「報・連・相のタイミングや方法についてルールを作る」「日報を書かせるなどして習慣化する」「ミスについての報連相でも責めない」「ちゃんと報・連・相したことを褒める」などが挙げられます。要するに、報・連・相に対する心理的抵抗感をなるべく排除することが肝心なのです。
意欲的に業務に取り組めていない
新人教育において起こりがちな失敗のひとつとして、「どうやって」業務をこなすのかばかりを教えていて「なぜ」その業務が必要なのかを伝えていないことが挙げられます。しかし、目の前の業務・研修が何のために必要なのか分かっていないと、「やらされている感」ばかりが募って新人のモチベーションは上がりません。とりわけ新人の業務は簡単にできる単調なものが多くなりがちなので、余計に自分の仕事の意義を見失う可能性が高いでしょう。それゆえ、新人の意欲を喚起するには、業務のやり方だけではなく、その重要性や目的も併せて伝えるようにしましょう。
実際にやってみるとうまくできない
研修時や説明した際にはよく理解しているように見えたのに、実際にやってみるとうまくできないというような場合も多々あります。言葉として理解するのと実際にやるのは別物なので、これはある程度仕方のないことと言えるでしょう。とはいえ、「うまく理解できなかったけど、質問する機会を逃してしまった」などの理由で、表面上取り繕っているだけの場合も多々あります。
教えたことをちゃんと理解できているか確認するためには、説明した後に必ず復唱してもらったり、チェックリストやテストを使ったりする方法が挙げられます。一方通行に情報を詰め込むだけでなく、アウトプットの場を研修段階で設けることが大切です。
理解度を把握するには確認テストが効果的 テストツールで簡単作成
新人が研修で学んだことを本当に理解できているか確認テストをする際には、テストツールの「ラクテス」を使うのがおすすめです。ラクテスの特長は、設問を自由自在に設定できるカスタマイズ性の高さにあります。民間の一般的なテストツールは汎用的な内容で、それぞれの業務に最適化されていません。しかしラクテスなら、確認したい内容をそのまま設問に設定できるので、自社の新人研修に最適化したチェックシートとしても活用できます。ラクテスで作成したテストはクラウド上で受験し、結果や答案の配信もできるので、紙のテストと比べて回収作業なども楽にこなせます。新人研修に限らず、昇進や異動に伴う研修などにも使用できるので、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
新人育成を効果的に行うためには、新しい環境に晒され不安を覚えている新人の心に寄り添いながら、一つひとつ丁寧に仕事を教えていくのが大切です。新人は自分から「分からない」などとは言いづらいため、新人の理解度をちゃんと客観的に測れるように、チェックリストや確認テストなどを活用するのがことをおすすめします。研修でテストを実施する際には、テストツールの「ラクテス」の活用をぜひご検討ください。