経理・財務・会計スタッフの採用には適切なスキルチェックを!実例をまじえて解説

2024年8月14日

 企業の健全な運営に経理や財務、会計部門は不可欠です。どの職種も企業のお金の流れを管理する点は共通していますが、扱う範囲や業務内容は少しずつ異なります。しかし、いずれもお金や帳簿をミスなく扱うことが求められるため、採用時は専門のスキルチェックが大切です。今回は、経理・財務・会計の採用に活用できる5つのスキルチェックテストを紹介します。

経理・財務・会計スタッフの仕事内容

ここでは経理・財務・会計の仕事内容や求められるスキルについて解説します。企業によっては兼任することもある3つの仕事内容はいずれも「企業のお金を管理すること」と共通しています。

しかし、その中でも経理は日々動くお金の管理、財務はお金の使い方を取り決める、会計はお金の流れを帳簿に記録するといった違いがあります。企業の中で3つの職種が連携することで、資金の調達ができたりキャッシュフローが明確になったりします。

経理・財務・会計スタッフに求められるスキル

 なお、経理・財務・会計の仕事は求められるスキルを鑑みて採用活動を行う必要があります。具体的には下記の強みをもつ人が適任でしょう。

数字を読み解く力

 企業のお金を網羅的に扱う経理や財務・会計は数字の推移から課題や改善策を見いだせる、また間違いに気がつく人が適しています。また、様々な部署から上がってくる数字を確認し「昨年度と比較して〇〇である」と気づき、経営層にアプローチすることで企業に貢献で来る人が適しています。

ロジカルシンキング

 また、感覚で仕事をするのではなく、確かな分析データや事実に基づいたジャッジが求められる職種であることから、ロジカルシンキングも求められます。「〇〇というデータがある」「根拠は〇〇のため。今後の見込みは▲▲である」という思考力が求められるでしょう。

向上心

 お金や法人にまつわる法改正や新しいツールの導入など、学ぶべきことをきちんと学び向上心を持って業務に取り組める人も経理や財務・会計の仕事が適しているでしょう。人材の採用を行う場合は専門知識とあわせて確認したいポイントです。

資金調達の経験

 資金調達の経験があるかも採用時に重視したいポイントです。例えば、融資を受ける金融機関の担当者と連携をとり信頼関係を構築した経験を持つ人材は、広い範囲で即戦力として活躍してもらえます。また、資金調達には資料の用意も欠かせません。採用時は資金調達経験の有無についても確認しましょう。

キャッシュフローの管理

 経理や財務では、キャッシュフローの管理経験も重要です。経理が日々作成するデータを元に財務を活用し戦略や改善に取り組むといった流れで業務は進みます。そのため、キャッシュフローの作成、そして管理経験がある人材の活用を目指しましょう。

おすすめのスキルチェックテスト5選

 ここからは経理や財務、会計部門の採用活動で役立つスキルチェックテストを5つ紹介します。職種に必要なスキルは履歴書や職務経歴書などの書面上だけでなく、実際のテストを元に判断すると、採用後のミスマッチを減らせるでしょう。

財務管理スキルチェック

 財務部門の採用を行う場合、財務管理の一般的なスキルチェックがおすすめです。企業が健全な経営を永続的に行う際に欠かせない、キャッシュフロー管理やコスト管理、財務報告や予算編成などの知識を確認できます。実際の設問は記述式で下記のようなものがあります。

a. 最近の予算編成プロジェクトについて教えてください。そのプロセスと成果を詳しく説明してください。
b. 財務報告書の作成経験について教えてください。どのような内容を含め、どのように分析しましたか? 
c. コスト削減のために行った具体的な取り組みを教えてください。その結果、どのような効果がありましたか?

 このスキルチェックでは、ただ数字を見るのでなく、数字を確認した上で「どのような取り組みが必要か」といった観点で、応募者のスキルを確認できます。

仕訳のスキルチェック

 経理部門では会計ソフトの導入が進むため、仕訳の手記は減っています。しかし、基本的な仕訳の仕組みを理解できていなければ正確な業務遂行は困難です。採用前に仕訳のスキルチェックを実施しましょう。ラクテスは下記のようなテストをご用意しています。

1.次の取引を行った場合、正しい仕訳はどれか?

・A商店は販売用の商品30,000円分を仕入れ、支払いは現金とした。

 a. 借方:仕入  30,000 貸方:現金  30,000
 b. 借方:現金  30,000 貸方:仕入  30,000
 c. 借方:仕入  30,000 貸方:買掛金 30,000
 d. 借方:買掛金 30,000 貸方:仕入  30,000

2.次の取引を行った場合、正しい仕訳はどれか?

・A商店は販売用の商品30,000円分を掛けで仕入れ、引取運賃1,500円は現金で支払った。

 a. 借方:仕入  30,000 貸方:買掛金 30,000
 b. 借方:買掛金 30,000 貸方:仕入  30,000
 c. 借方:仕入  31,500 貸方:買掛金 30,000
 d. 現金      1,500 借方:買掛金 30,000
 e. 現金       1,500 貸方:仕入  31,500

3.次の取引を行った場合、正しい仕訳はどれか?

・A商店は商品50,000円を売り上げた。代金は掛けとした。

 a. 借方:売掛金 50,000 貸方:売上  50,000
 b. 借方:売上  50,000 貸方:売掛金 50,000
 c. 借方:現金  50,000 貸方:売上  50,000
 d. 借方:売上  50,000 貸方:現金  50,000

 

 ソフトに頼るだけでなく、流れを理解して業務を進められる人材の採用を目指しましょう。

会計用語のスキルチェック

 経理・財務・会計では専門用語を用いることが多くあります。業務のひとつである補助金や助成金の申請や報告業務のタイミングで用語を理解できていなければ誤った判断をしてしまう可能性もあります。スキルチェックで知識の習熟度を測りましょう。サンプルの設問を下記に紹介します。

1.貸借対照表に関する次の記述のうち,誤っているものを選択肢の中から二つ選びなさい。

a. 貸借対照表は,企業の一会計期間の経営成績を表す財務諸表である。
b. 流動資産総額が52,000円,固定資産総額が28,000円,流動負債総額が33,000円,固定負債総額が15,000円であるとき,純資産総額は32,000円となる(繰延資産はないものとする)。
c. 資産として計上される勘定科目としては,現金,前払金,貸付金,売掛金などが挙げられる。
d. 負債として計上される勘定科目としては,前受金,借入金,買掛金,資本金などが挙げられる。

2.損益計算書に関する次の記述のうち,誤っているものを選択肢の中から二つ選びなさい。

a. 損益計算書は,企業の一会計期間の経営成績を表す財務諸表である。
b. 売上高が12,000円,売上原価が6,000円,販売費及び一般管理費が2,000円,営業外収益が500円,営業外費用が300円,特別利益が800円,特別損失が200円であるとき,経常利益は4,800円となる。
c. 収益として計上される勘定科目としては,売上,受取利息,受取手数料,受取家賃,雑益などが挙げられる。
d. 費用として計上される勘定科目としては,仕入,給料,租税公課,減価償却費,前払利息などが挙げられる。

3.会計帳簿及び試算表に関する次の記述のうち,正しいものを選択肢の中から一つ選びなさい。

a. 期中取引が行われた場合,これを仕訳帳に仕訳した上で総勘定元帳へ転記するが,決算において仕訳や転記をすることはない。
b. 試算表には,合計試算表,残高試算表,合計残高試算表があるが,これは決算整理仕訳の前後で作成するものであり,期中で作成することはない。
c. 仕訳帳,総勘定元帳,商品有高帳は主要簿と呼ばれ,現金出納帳,受取手形記入帳,固定資産台帳などは補助簿と呼ばれる。
d. 商品有高帳には原価に関する情報のみが記録され,売価に関する情報は記録されない。

 「会計用語を適切に理解し業務に活かせるか」といったスキルを確認できます。

経理実務知識に関するスキルチェック

 一般的な経理や財務の基礎知識を問うスキルチェックテストもご用意しています。まずは経理や財務、会計の基礎的なスキルチェックを行いたい場合に適しています。設問の具体例は下記の通りです。

1.次の文の( ア )と( イ )に入る語の組み合わせとして正しいものを1つ選んでください。

財務諸表のうち、企業の1年間の経営成績を報告するものは( ア )、期末時点での財政状況を報告するものは( イ )である。

 a. ア:貸借対照表 イ:キャッシュフロー計算書
 b. ア:貸借対照表 イ:仕訳帳
 c. ア:貸借対照表 イ:損益計算書
 d. ア:総勘定元帳 イ:キャッシュフロー計算書
 e. ア:総勘定元帳 イ:損益計算書

2.損益計算書の各利益に関する説明として、誤っているものを1つ選んでください。

 a. 売上から売上原価を差し引いた利益を「売上総利益」という。粗利益ともいう。
 b. 経常利益から特別利益と特別損失を加減し、更に法人税等を差し引いた利益を「当期純        
  利益」という。
 c. 売上総利益から販売管理費(経費)を差し引いた利益を「営業利益」という。
 d. 営業利益から営業外収益を加算した利益を「経常利益」という。会社の本業による利益 
  を表しています。

3.「資産」にあたる勘定科目を全て選んでください。

 a. 売掛金、貸付金
 b. 売掛金、前受金
 c. 現金、車両運搬具
 d. 前受収益
 e. 建物

営業や売上(利益)に関するスキルチェック

 お金を司る部門は営業活動やそれにより生み出される利益の流れへも理解を深める必要があります。「扱うお金がどのように生み出されるか」を理解しているか下記の設問で確認できます。

1.次のうち、売上高の計算方法として正しいものはどれですか?

 a. 費用 – 利益
 b. 販売単価 × 販売数量
 c. 利益 + 費用
 d. 売上高 ÷ 販売価格

2.売上分析に使用される指標として正しいものを選びなさい。

 a. 売上総利益率
 b. 売上高成長率
 c. 流動比率
 d. 総資産回転率

3.売上目標を設定する際に考慮すべき要素を説明してください。(※記述式)

 役職者や営業担当者が売上目標をどのように設定しているかまで把握できると、さまざまな数字を判断する材料となります。

まとめ

 経理や財務、会計部門は企業のキャッシュフローを正常に保つために欠かせない存在です。少しでも金額やデータにズレがあると、経営層の決定にも支障をきたしかねません。

 そのため、業務に携わる人は正確な作業が求められます。このスキルは面接では把握しきれないため、スキルチェックを実施した上で採用の可否を検討しましょう。

 ラクテスでは、採用担当者の負担を減らしかつミスマッチを防ぐサポートを行います。自社が求める人材イメージにあわせたオンラインテストを簡単に作成可能。設問作成は300件を超えるサンプルテストから選ぶだけ。採点も自動で実施するため、効率的に採用業務を進められます。

タグ: ,
page top