IBTとCBTの違いとは? 各試験の特徴と不正防止の方法

検定試験や資格試験など、様々な目的の試験に利用されている「IBT」と「CBT」。両者の違いがよく分からないという方に向けて、IBTとCBTの特徴と相違点を詳しく説明します。また、IBTの活用例を紹介します。IBT・CBTの導入を検討されている方は参考にしてください。

IBT・CBTとは?

「IBT」と「CBT」は、どちらもコンピューターを利用して受験する試験であり、名称も似ているため混同されがちですが、両者は異なる試験方法です。以下でそれぞれの特徴と相違点について解説します。

IBT

IBTとは“Internet Based Testing”の頭文字を取ったもので、インターネット経由で行う試験方式を指します。受験者個人のパソコン、タブレット、スマートフォンなど様々なデバイスから受験できることが特徴です。インターネット環境さえあれば全国どこからでも受験可能で、試験会場を用意する必要もないことから人気が高い試験方式です。東京商工会議所主催の「eco検定」や「カラーコーディネーター検定」などはIBT形式の受験に対応しています。

CBT

CBT(Computer Based Testing)とは、試験運営側が指定する「テストセンター」と呼ばれる会場に設置されたパソコンから受験する方式です。受験者は都合のいい会場と日時を選んで事前に申し込みをし、テスト当日に会場を訪れて受験します。「日商簿記検定2級・3級」や「秘書検定2級・3級」「日本漢字能力検定」「情報セキュリティマネジメント試験」「基本情報技術者試験」「MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)試験」などはCBT方式で行われています。テストセンターでは様々な試験を実施しているため、同じ会場内にいても、受験者がそれぞれ別の種類のテストを受けているということもあります。

IBTとCBTの違い

IBTとCBTは、コンピューターを利用する点は共通していますが、受験方法と場所が異なります。

IBTはインターネットに接続して受験しますが、CBTでは必ずしもインターネットを使用するとは限りません。また、IBTは受験場所の制限がなく、自宅からの受験も可能ですが、CBTは監視員のいる会場で、運営側が設置したパソコンを使って受験します。

IBTとCBTはどっちがいい? 特徴を比較

テストの利便性、公平性、厳格性の3つの観点から、IBTとCBTを比較してみましょう。IBTとCBT、それぞれのメリットとデメリットを説明します。

利便性

受験場所や時間、定員、デバイスなどの制約がないことから、利便性の観点ではIBTが優れています。受験者は自宅など好きな場所から、都合のよい時間に受験できます。また試験実施側の企業にとっても、試験会場や試験官の手配の必要がなくなり、試験実施にかかる手間や費用が軽減されるというメリットがあります。

公平性

試験の公平性についてはCBTが優れています。IBTの場合、受験者のインターネット環境が不安定であったり、デバイスに不具合があったりすれば、試験結果に影響が出る可能性があります。そもそも、パソコンやスマートフォンを持っていない、もしくは、インターネット環境がないという受験者がいることも考えられます。一方、CBTでは受験者に公平な受験環境を与えられます。受験者の環境にばらつきがあると考えられる場合は、CBTを選択するとよいでしょう。

厳格性

不正が起こりにくいのはCBTです。CBTは指定会場で実施するため、監視による不正対策が行えるからです。一方IBTは自宅受験も可能であることから、カンニングや本人以外の受験などの不正行為が起こる可能性があります。IBTを行う場合は、必ず不正対策を講じましょう。

IBTの不正防止対策の方法

IBTは利便性が高い一方で、試験の公平性、厳格性には課題が残ります。そこでIBTの不正防止対策を紹介します。不正行為を防止しながらIBTを実施したい方は、ぜひ参考にしてください。

カンニング対策

カンニング対策として、まず受験者のパソコンのWebカメラから受験中の様子をリアルタイムで監視する方法があります。AI監視システムを利用すれば、自動で不審な動きを検出し、受験者に警告できます。警告しても不正行為を止めない場合は試験を終了させることもできます。また不正行為を録画し、証拠として保管することも可能です。

また、1問ごとの回答時間を短く設定することで、Webサイトなどで答えを検索して回答することを防げます。また、試験画面からのタブ切り替えができないようにしておくこともカンニング防止に有効です。

さらに、試験の問題文をコピー&ペーストできないよう設定しておくことで、他の受験者へ問題が流出してしまうことを防げます。試験問題を数パターン作成しておき、受験者ごとにランダムで出題パターンを変えると、流出した問題を悪用されるリスクが下げられます。

替え玉受験対策

監視がない環境で試験を実施するIBTでは、別の人が代わりに受験する「替え玉受験」対策を講じる必要があります。

IBTで受験者の本人確認を行うには、受験者の顔と身分証を受験者のパソコンのWebカメラに映すよう指示し、本人であるかどうかを確認する方法があります。試験終了まで常時カメラをオンにして監視を行えば、受験者がすり替わることを防げます。自社の従業員で監視を行うのが難しい場合は、試験管が遠隔でリアルタイム監視を行う「リモート監視付きIBT」や「AI監視付きIBT」の利用を検討しましょう。

IBTの活用事例

新型コロナウイルスが世界的に流行して以降、IBTのニーズが高まっています。以下にIBTの活用事例を紹介します。

模試や適性検査に活用

受験場所の自由度が高いIBTには不正行為のリスクがありますが、仮に不正行為が行われたとしても最終的な合否に影響しない試験には、IBTが向いています。例えば資格試験の模擬試験や適性検査、能力検査、性格検査についてはIBT形式で行うケースが多くあります。

このように、不正行為のリスクが小さく利便性が高い場合はIBTを採用する価値があります。

社内の人事評価や研修に活用

IBTは、資格試験や採用試験だけではなく、人事評価や社内教育にも活用されています。例えば従業員に研修動画を視聴させた後、IBTで理解度確認テストを実施することで、学習内容がより定着します。IBTはテレワーク中の従業員や出張の多い従業員などでも受験しやすいため、受験率のアップも見込めます。社内教育にeラーニングを利用している場合、IBTに置き換えたり、併用したりしてもよいでしょう。

まとめ

IBTとCBTはどちらもコンピューターを使った試験ですが、受験方法と受験場所が異なります。IBTは自宅など好きなところからインターネットを通して様々なデバイスで受験できるのに対し、CBTではテストセンターに設置されたパソコンからのみ受験できます。またIBTはインターネットを使用するのに対し、CBTのテストの中にはインターネットを使用しないものもあります。

IBTは場所や時間などの制限がないことからニーズが高まっていますが、不正行為が起こるリスクが高いことが特徴です。IBTのテストを導入する場合は、Webカメラの活用や複数パターンからの出題など、本記事で紹介した対策を行ってください。

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