新人研修のカリキュラムを成功させるコツとは? 手法もあわせて紹介

新人研修は、新たに入社してきた社員に対して実施する研修であり、新卒・中途採用問わず行われます。研修内容は多岐にわたり、特に新卒社員はビジネスマナーなどの基礎的なところから始めなければなりません。

本記事では、新人研修におけるカリキュラム成功のコツやカリキュラム作成の手法・手順、新人研修におすすめのツールを紹介します。

新人研修の目的は?

新人研修は一般的に、新しく入社してきた社員に対して、新卒、中途採用を問わず実施される研修です。研修時期は入社後すぐであることがほとんどで、期間は企業規模や担当する部署により異なります。

新人研修の目的は主に、自社で働くために必要な知識・スキルや社会人として身に付けるべきビジネスマナーの習得です。一方で、新卒採用と中途採用では研修内容が異なることが多く、特に新卒採用者は社会人としての経験がないことから意識改革などの分野も含め、内容は多岐にわたります。しかし、どちらにも共通するのは社内でのコミュニケーションを深めることや企業への理解を深めることです。

新人研修は、自社で活躍してもらうための大切な取り組みであり、今後の人的資源確保にも大きく関わります。限られた期間で効果の高い新人研修を行うためには、目的を明確化してカリキュラムを組まなければなりません。ここからは新卒採用、中途採用に分け、重視しておきたいポイントを解説します。

新卒採用 : 企業で活躍していくための土台作り

新卒採用者は、ほとんどの人が入社前まで学生生活を送っていました。社会人と比べ自由度が高く、責任を負うこともあまりない状況で生活していたことが考えらます。しかし、社会人においてはそうはいかず、仕事や社会に対する責任が発生し、綿密な時間管理や苦手な相手とのコミュニケーションを求められることがあるのです。

新卒者には、この変化に対応できるように社会人としてのマインドセットを行い、意識を切り替えてもらうことが重要です。また、社会人として基本的なビジネスマナーも身に付けてもらわなければなりません。一般的な敬語の使い方はもちろんのこと、電話応対や来客応対、名刺交換、報連相(報告・連絡・相談)などです。さらに、基本的なPCスキルやコミュニケーションスキル、プレゼンテーションスキルなども習得させる必要があります。

新卒者は一人ひとり入社した目的や理由が異なりますが、今後は先輩社員と同じ目的をもって仕事をしてもらわなければなりません。そのためには自社や配属された部署に対する理解を深めてもらう必要があります。具体的には企業理念や企業の歩み、扱う商品・サービスの概要、社内ルール、部署の種類などです。これらを正しく理解してもらい、自分の役割を把握してもらうことで、今後、企業で活躍していくための土台作りができるでしょう。

中途採用 : 即戦力の育成

中途採用者の新人は、すでに基本的なビジネスマナーを身に付けている場合が多いでしょう。そこで新人研修においては、自社の即戦力として活躍してもらうために必要なことを取り入れて行います。主に企業理念や自社特有の業務においての知識などです。

例えば前職が異業種の場合、自社業務の知識に加え、業界の情報についても学んでもらう必要があるでしょう。一方で、前職が同業種の場合は、個人が持っている経験や能力に合わせて足りない知識を補うことを目的とした研修を行います。

このように、中途採用者においてはできるだけ早く自社の戦力として働いてもらえるよう、一人ひとりの経験値や能力を見極めてカリキュラムを組むことが重要です。

新人研修のカリキュラムを成功させるコツとは?

新人研修のカリキュラム作りは、今後の人材育成において重要な業務です。多くの内容を組み込む必要のあるカリキュラムを成功させるには、どのようなことが求められるのでしょうか。ここでは新人研修カリキュラムを成功させるためのコツを解説します。

目的を明確に伝える

具体的な研修の内容を伝える前に、新人研修を行う目的を明確に伝えることが大切です。行う目的を「恒例だから」という理由で片付け、研修内容を形骸化してしまうと、受ける側も安易な気持ちで研修に臨んでしまうかもしれません。また、「新人研修の受講後にどうなっていることが理想か」など、研修後のゴールも明確にし、伝えることが重要です。

研修の目的とゴールは、「配属された時点でどのような知識を持っていて、どのようなことができるようになっていて欲しいか」という観点から具体的に定めなければなりません。新人研修の内容は多岐にわたるため、受ける側はインプットばかりになりがちでしょう。知識だけでなく「できる」ことも配属時には重要です。

これらの目的を十分に理解して研修に取り組んでもらうことで、新入社員の主体性を育てることにも繋がります。目的が明確に伝わらないまま進めてしまうと、新人側からは「思っていた会社と違う」「教育体制がしっかりしてない」などの不満も噴出しかねません。

参加型で楽しめる研修も取り入れる

新人研修を受ける参加者は、新しい環境で身構えていたり、気が張っていたりすることが多いでしょう。少しでも早く会社に馴染んでもらうためにも、新人研修を楽しいものにすることはカリキュラム作りに際して重要です。このことは、新人社員のやる気継続にも繋がります。

具体的には、「参加型である」「ゲーム的要素がある」などの研修です。座学だけでは、新入社員の興味関心を惹いたり、モチベーションを保ったりすることは難しいでしょう。参加者が次のステップに進みたくなるような、目的に合わせたユニークな手法や、参加者同士の交流が深まる環境も取り入れることがポイントです。これにより研修のモチベーションアップや研修後の連携構築にも繋がります。

一方、研修が楽しいだけで終わってしまわないように注意も必要です。研修後には、最初に設定した目的やゴールに到達していることが求められます。スキルや知識がしっかり習得できるよう、研修の内容を工夫することが大切です。

昨年の新入社員からヒアリングする

効果の高いカリキュラムにするには、昨年に新人研修を受けた社員からヒアリングすることもおすすめです。昨年のカリキュラムの良い点・悪い点を聞くことで、カリキュラムの改善点も見えてくるでしょう。すでに新人研修を受けた上で業務を行っている社員は、実際にどの内容が業務に役立っているか、逆に業務をする上であまり役立たなかった内容は何かといった点を把握しているはずです。

具体的な手法としては、匿名アンケートがおすすめです。社員は上司を目の前にして、新人研修の悪い点は言いにくいでしょう。匿名とすることで、新人研修に対する率直な感想を引き出せて、カリキュラムの改善点も見えてくるはずです。一方、ポジティブに作用した内容もわかることで、次の新人研修にも応用できます。
新人研修において、カリキュラムが形骸化することは避けたいところです。ヒアリングで昨年の新人研修における良い点・悪い点を把握し、回を重ねるたびにより良い内容に仕上げていくことが大切です。

現場と連携する

新人研修のカリキュラム作成前には、配属先部署などの実際の現場と連携しておく必要があります。配属先には、新人に身に付けておいて欲しいスキルや知識をヒアリングしておきましょう。配属先で即戦力になるには、配属先に対する知識が豊富なだけでなく、実際に現場で求められる作業の遂行力を身に付けさせることが重要だからです。

現場と連携しておく目的のひとつには、新人研修を受けた新人が配属後に「研修で受けた内容と違う」と感じてしまう事態を防ぐこともあります。新人が「研修内容と違うことを上司が言っている」「研修内容に反することを先輩がしている」などの状況に直面すると、研修効果が一気に下がり、今後の業務や人間関係にも支障が生じるでしょう。

新人研修を良い機会として、新人が配属される各部署と連携し、「基本」の共有や内容のすり合わせをしておくことが重要です。

新人研修のカリキュラムに用いられる手法

目的に合った最適な手法を用いることで、より効果の高い研修が実現できます。ここでは、新人研修のカリキュラムに用いられる主な手法を紹介します。

OFF-JT

OFF-JTとは、Off The Job Training(オフ ザ ジョブ トレーニング)の略語で、業務を行う場ではなく特別に時間や場所を設定して行う研修を指します。

新人研修におけるOFF-JTは、主に業務の専門知識やビジネスマナーなどの基礎知識を身に付ける場所です。実際の技術ではなく、多くの情報や知識をインプットできる場として活用されています。主に座学やグループワークで行われ、理論的・体系的に知識を習得でき、参加者同士の交流ができることがメリットです。

また、相性の良くない上司に現場で直接的に教わるという環境ではないため、新人のモチベーションも維持しやすいのが特徴です。新人一人ひとりの性格や素質に関わらず、効果の高い研修が期待できます。さらに参加者同士の交流は、研修後の関係性にも良い影響を与えられます。社員同士の連携はもちろんのこと、企業としての一体感が生まれることも期待できるでしょう。

OJT

OJTとは、On The Job Training(オン ザ ジョブトレーニング)の略語で、OFF-JTとは反対に、職場で実際の業務を通し、知識やスキルを身に付けさせる手法です。新人研修においては、OFF-JTで学んだことを実践する場であり、OFF-JTがインプットの場、OJTがアウトプットの場として研修を進めることが効果的とされています。

OJTでは、実際の業務を経験豊かな上司や先輩から直に教えられることで、より実用的なスキルが学べ、フィードバックもその場で受けられます。また、教える側も指導者として一歩成長できる可能性もあるでしょう。一方、教える側と教えられる側の相性の問題や、教える側のスキルによって研修の成果に差が出るという難点もあります。そのため、OTJ担当者の決定を慎重に行うことや、OTJ担当者に対して必要な研修を行うことも重要な取り組みです。

ロールプレイ

ロールプレイとは、実際の業務で行われるシチュエーションを想定し、OTJよりもさらに実践的に行う研修です。具体的には、販売者役やクライアント役などを設定し、その中で自分の役割を疑似体験させます。

コミュニケーション能力が必要となる業務の場合、OFF-JTで知識をインプットしただけでは十分なスキルが身に付きません。ロールプレイを行うことで、実際に必要なスキルが習得でき、改善すべき課題もはっきりします。

ロールプレイには目的に応じて、特定場面を想定した「ケース型ロールプレイ」や実際起きた問題をテーマにする「問題解決型ロールプレイ」、グループごとに分かれて役割を交換しながら行う「グループロールプレイ」などがあります。業務内容に応じて適切な手法でロールプレイすることで、より高い効果が得られるでしょう。

ケーススタディ

ケーススタディとは、過去の失敗例などを分析し、対処法や解決策を考える研修です。新人研修においては、新入社員がイメージしやすい状況や行動、結果を想定してケースを作成すると良いでしょう。

ロールプレイと同時並行で行われることも多く、ロールプレイにおける「ケース型ロールプレイ」や「問題解決型ロールプレイ」とほぼ同じ内容です。特に新人研修におけるケーススタディでは、配属先の担当者や上司から聞き取った、新人育成で起きた困った事例をもとにすると良いでしょう。

レクリエーション

新入社員の緊張をほぐすため、また、社員同士の団結力を高めるために、レクリエーションをカリキュラムに盛り込むことも大切です。レクリエーションは簡単なゲームを行うだけで、コミュニケーションの活性化やビジネススキルの習得というメリットが得られます。

具体的には、チームで問題解決を行う「謎解き脱出ゲーム」や思考力を試せる「人狼ゲーム」、ジェスチャーでコミュニケーションをとる「ジェスチャーゲーム」などがおすすめです。緊張感のある座学や実務を学ぶ場で疲れた新入社員も、肩の力を抜いて楽しめます。これによりモチベーションアップにも繋がり、この後の研修にも良い影響をもたらすでしょう。

フォローアップ研修

フォローアップ研修とは、新人研修後の一定期間が経過したタイミングで研修の振り返りを行うことです。新人研修で学んだ内容をフォローする目的で行われます。このフォローアップ研修には、新人研修期間中には見えなかった課題や、研修後の成長度合いを確認し、新人研修で行った内容の定着率を高める狙いがあります。

企業にとってフォローアップ研修は、「新入社員の成長や今後の課題を把握できる」「人材育成環境が整っているかを確認できる」というメリットがあります。一方、新入社員にとっては、現場に出てから湧いてきた不安や悩みなどを解消したり、自分の成長を確認したりできる機会でもあるのです。また、このフォローアップ研修を経たことで、今後のモチベーションアップに繋がることも少なくありません。

フォローアップ研修は新人研修と切り離して考えるのではなく、新人研修の一環として行うことが重要です。離職率が高い場合や離職理由が不明な場合、新人によってモチベーションに差が大きい場合などには、フォローアップ研修をしっかりカリキュラムに組み込みましょう。

カリキュラム作成までの手順

ここでは、新人研修のカリキュラム作成までの具体的な手順を解説します。

受講者のレベルを把握する

個々のレベルを把握することは、効果的なカリキュラムを作成するための重要な要素です。経験値やスキル、マインドセットなどのレベルは、新入社員一人ひとり異なります。例えば新卒採用者の場合、ビジネスマナーについてのスタートラインは同じものの、PCスキルや語学力などには差があるでしょう。一方で中途採用の場合は、前職が同業種であるか異業種であるかによって知識レベルに差が生じます。

新入社員のレベルを十分に把握し、その上でレベルに合ったカリキュラムを設計しましょう。

社員へヒアリングする

新入社員が配属される部署や経営陣に、新入社員に身に付けておいて欲しいスキルや知識をヒアリングしておく必要があります。昨年、新人研修を受けた社員には、「実際の業務に役立った研修内容」や「研修内容になかった学ぶべきこと」、「研修において困ったこと」などをヒアリングしておくと良いでしょう。一方で経験豊富な先輩社員からは、「これまでの新人育成において感じた課題」や「配属前に身に付けるべき知識やスキル」を聞き取ります。

配属先の部署から求められているレベルや昨年度の新人研修における感想を知ることで、実践的で効果の高いカリキュラムの設計ができるでしょう。

目的やゴールを設定する

新入社員一人ひとりのレベルや、配属先の上司および先輩からのヒアリング内容に基づき、新人研修の目的やゴールを設定します。新人に「どこまでの知識を付けさせたいか」「どこまでできるようにさせたいか」を明確にしてゴールを設定しないと、効果が薄く、どの部分で評価すればよいか曖昧になりかねません。

研修の目的やゴールを設定したら、新入社員はもちろんのこと研修に関わるすべての人に共有します。そうすることで、新入社員の研修に対するモチベーションや、研修を行う側の課題意識にも良い影響を与えられるでしょう。

具体的なカリキュラムとスケジュールを決定する

目的やゴールが定まったら、具体的なカリキュラムとスケジュールを決定します。まず、カリキュラムの作成は、ヒアリング内容や目的、ゴールに沿ったものにして、新入社員のレベルも加味しましょう。レクリエーションなども組み込んで、受講者のモチベーション維持に配慮することがポイントです。

一方で、新人研修の内容は多岐にわたることから、スケジュールを詰め込みすぎてしまいがちです。研修にかけられる期間と目的を達成できるカリキュラムの調整をし、無理のないスケジュールを設定しましょう。また、研修に関連する部署とのスケジュール調整も必要です。早めに準備を始めましょう。

研修や評価テストは「ラクテス」で

新人研修において、モチベーションや経歴は十分なものの、スキル不足を感じたり任せた業務に対応できるか心配だったりすることはよくあることでしょう。研修や評価テストに活用できる「ラクテス」は、そのような課題に対して、スキルチェックをクラウドで簡単に行えるツールです。

ラクテスで行えるスキルチェックテストは多岐にわたります。新人研修などで活用できる「職種適正チェックテスト」や基本能力を測ることができる「論理・国語・計算」のテスト、ビジネスマナーの知識を測る「ビジネス基礎」、PCスキルを測れる「Excel」や「ITプログラミング」などです。あらかじめ用意された問題のほかにも、自由に問題の作成や編集ができることから、それぞれの業務に合わせたテストを作れます。

また、「ラクテス」は新人研修だけでなく、昇進・昇格の際にも活用できます。社員のスキルが可視化でき、なおかつ足りない部分のフィードバックも可能です。

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まとめ

新人研修の目的は新卒者や中途採用者で異なり、新卒者はマインドセットやビジネスマナー習得が必要です。新人研修のカリキュラムを成功させるには、目的とゴールを明確にし、受講者のモチベーションが上がるような楽しめる内容も取り入れること、昨年度の新人研修においてのヒアリング、配属先との連携が求められます。

主な手法は、OFF-JTやOJT、ロールプレイ、ケーススタディです。研修の合間には、肩の力を抜いて楽しめるレクリエーションを行うこともおすすめです。また、研修後のフォローアップ研修を行うことで、新人研修の定着率を高めましょう。

新人研修においてスキルを測る場合、「ラクテス」のようなスキルチェックツールを取り入れるのがおすすめです。

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