採用試験における一斉試験と随時試験のメリット・デメリット

一斉試験と随時試験

本記事では、「一斉試験」と「随時試験」それぞれのメリットとデメリットを掘り下げるとともに、不正リスクやご自身の工数など、採用試験にまつわる普遍的な課題を整理していきます。自社の採用試験の運用にお困りの方は、ぜひ最後までご覧ください。


1. 採用試験に共通する課題 — 一斉でも随時でも陥りやすい罠

一斉試験と随時試験は、一見まったく違う方式のようでいて、実はどちらにも共通する課題が少なくありません。最初に、これらを理解しておくことで「なぜ試験方式だけを変えても根本的な解決にならないのか」を把握できます。

1-1. コストとリソースの悩み

試験会場の手配から、オンライン受験のサービス利用料やライセンス費用などに至るまで、採用試験には目に見えるコストが数多く発生します。加えて、問題の作成・更新、結果集計など、ご自身の工数という「隠れたコスト」も大きな負担となるでしょう。

たとえば、応募者が数百人規模に達する大企業の場合、試験の準備や日程調整、結果集計といった作業が膨大になりやすく、担当者の残業が続く・疲弊が深刻化するといった問題につながりがちです。こうした状況では連絡ミスや集計エラーなどのリスクが高まるため、「せっかく試験を実施しても、運営側の手が回らずスムーズに進められない」という悩みを抱える企業も少なくありません。

1-2. 受験者体験が辞退率に影響する

新卒に限らず、「試験が面倒」という理由で受験を辞退する候補者は一定数存在します。また、日程調整の自由度が低かったり、オンライン受験の操作が煩雑だったりすると、「この企業は応募者に寄り添ってくれない」というネガティブな印象を持たれかねません。

企業の採用力は試験方式だけで決まるわけではないものの、候補者に不快感やストレスを与える運用を続けてしまうと、母集団形成やブランドイメージに悪影響が出てくる可能性があります。

1-3. 不正リスクと公平性の確保

試験問題がSNSに流出したり、オンライン上で代理受験が行われたりするケースは、デジタル化が進むほど増えつつあります。一斉試験だからといって安全とは限りません。特に、一度開催した試験と同じ問題を2回目以降に使い回すと、そこで出題された問題が拡散されてしまうリスクが高まります。随時試験でも同じ問題を長期間使い回していると、受験者同士の情報共有が進んでしまい、真の実力を測れなくなる恐れがあるでしょう。


2. 一斉試験とは — メリットとデメリットを掘り下げる

2-1. 一斉試験のメリット

一斉試験の最大の利点は、同じタイミングと同じ問題で複数の候補者を一括評価できる点にあります。評価基準を一本化しやすく、「全員が同じ条件で受験している」という公平感を保ちやすいという特徴があるでしょう。また、期間を定めて集中的に試験を実施するため、「試験実施の前後の期間だけ頑張ればいい」と割り切りやすく、試験後はほかの業務に注力しやすくなります。さらに、新卒採用を想定した大規模試験でも、一度に多くの応募者を比較できるため、効率的に合否を判定しやすいというメリットがあります。

2-2. 一斉試験のデメリット

その反面、一斉試験は日程が固定されるため、都合が合わない優秀層を逃すリスクがあります。さらに、大人数が一度に集中する分だけ、会場費や試験監督スタッフの費用、オンライン受験サービスの利用枠拡張などのコストが膨らみがちです。

ピークシーズンには結果集計や合否連絡も大量に発生し、深夜まで作業に追われる状況が続くこともあり、コミュニケーションミスや集計エラーが増える要因にもなりかねません。


3. 随時試験とは — メリットとデメリットを掘り下げる

3-1. 随時試験のメリット

随時試験最大の魅力は「柔軟さ」です。候補者が忙しい時期でも日程を調整しながら何度も試験機会を提供できるため、優秀な人材を取りこぼしにくいでしょう。特に専門職採用など、採りたい人が見つかった時にすぐ選考を進めたい場合、随時試験を組み込むことは大きなアドバンテージとなります。また、応募者数が急増する季節でもあえて期間を分散すれば、業務量を平準化し、極端な残業を回避しやすいというメリットもあります。

3-2. 随時試験のデメリット

ただし、日程がバラバラになるということは、常に試験調整や問い合わせ対応が発生するということでもあります。問題の流出リスクも高まりやすく、定期的に問題を入れ替えるなどの対策が欠かせません。作問に協力してもらう現場社員の負担が増えれば、一斉試験よりも手間が膨れ上がるという状況にもなりかねないでしょう。さらに、時期や候補者によって問題が変わることで、候補者をまったく同じ条件で比較できなくなる点もデメリットの一つです。


4. 一斉試験か随時試験か — どのように選び、どう組み合わせる?

一斉試験と随時試験の特徴を整理すると、「どちらをメインに据えて、どのように補完し合うか」がポイントになります。たとえば、毎年大量に新卒採用を行う企業なら、一斉試験の効率性を重視してピーク時期を乗り切る方が合理的かもしれません。ただ、そのままでは専門職や中途採用の人材を取りこぼしやすいため、並行して随時試験を運用するハイブリッド方式が有効です。逆に採用担当者が少人数だったり、そもそも年に数名しか採用しない企業の場合、随時試験をメインにしておき、必要に応じてミニ一斉試験を導入する方法も考えられます。

不正対策をどのように行うかも重要な視点です。「全員同じ条件」というわかりやすい基準を打ち出すなら一斉試験が有利ですが、「候補者一人ひとりに寄り添う柔軟さ」をアピールしたいなら随時試験を前面に押し出す方が効果的でしょう。どちらか一方を徹底するのではなく、採用計画やご自身のリソースを勘案しながら、最適なバランスを模索してみてください。

5. ラクテスが提供する解決策 — ハイブリッド運用を支えるシステム

一斉試験でも随時試験でも、苦労する大きな原因は「不正リスク」と「限られた人員による運用負荷」です。テスト作成・運用システムの「ラクテス」は、これらの課題に対して以下のような機能を提供しています。

5-1. 複数パターンのテストを手軽に用意できる

随時試験で問題を長期使い回すと不正リスクが高まりますが、ラクテスではあらかじめ複数の問題パターンを登録しておき、必要に応じてすぐに差し替えられます。万が一、不正が疑われるケースが発生したとしても、すぐに別の問題セットへ切り替えることで被害を最小限に抑えられます。一斉試験でも、一度大人数で開催して問題が外部に出回った場合に、速やかに新バージョンへ切り替えられるため、試験方式を問わず安心できるのがメリットです。

5-2. 独自問題の作成が容易でメンテナンスもしやすい

ラクテスは、既存の問題だけでなく、企業独自のスキル評価やカルチャーフィットを見極めるためのオリジナル問題を簡単に作成・編集できるのが特長です。たとえば新卒向けには基本的な適性テスト+独自問題を設定し、中途や専門職向けにはより高度な専門知識を問う設問を加えるなど、用途に合わせたテスト構成を一元的に管理できます。新しい問題を追加したり難易度を調整したりする際も、手作業で大量のファイルを扱う必要がないため、運用の柔軟性を高められます。

5-3. 運営・集計プロセスを自動化し負担を軽減

メールでの受験案内や、試験終了後の結果集計・分析といったプロセスも、ラクテス上で一括して管理できるため、余分な時間を取られにくくなります。一斉試験なら同じタイミングで大量のデータをまとめて処理しやすく、随時試験でも応募の都度、こまめに受験用URLを候補者の方に送付し、受験完了と同時に自動集計が可能です。これにより運用全体の負担を分散し、残業や集計ミスを減らす効果が期待できます。


6. まとめ — 自社のリソースと採用方針を見極めよう

一斉試験は、同一条件で一括評価できるメリットや大量処理の効率性がある一方で、日程固定による優秀層の取りこぼし、運営コストの高さといったデメリットを抱えています。随時試験は、受験機会の柔軟さで人材を取りこぼしにくくする利点がありますが、問題流出リスクや都度個別に案内を送付したり日程管理をしたりする手間がつきまとうのが現実です。結局は、社内の人員体制や予算、どのような人材をどのくらいのタイミングで確保したいかといった方針を踏まえ、「自社に合った方式をどのように組み合わせるか」が成功のカギとなります。

ラクテスで「複数パターンの問題管理」や「試験運営の自動化」を実現できれば、不正リスクや業務負担を大きく抑えられます。まずは新卒・中途の採用人数や予算、スケジュールを整理し、自社が直面している課題を明確にしたうえで、一斉試験と随時試験の最適なバランスを検討してみてはいかがでしょうか。今回の内容が、皆さまの採用試験運用のヒントになれば幸いです。

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