データエンジニアに必要なスキルセットとは?採用時の見極めに使えるテストを紹介

DX推進やAI活用が進む中、企業の競争力を高める鍵としてデータ活用の重要性が増しています。中でも、データ基盤の構築と運用を担う「データエンジニア」の存在は欠かせません。
一方で、採用や評価の際に「どのスキルレベルなら即戦力と判断できるのか」「面接だけで本当に見極められるのか」と悩む人事・総務担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、データエンジニアに求められるスキルセットを体系的に整理し、採用や教育に活用できる評価の観点をご紹介します。

データエンジニアに必須のハードスキル

データエンジニアには、業務遂行に欠かせない複数分野の専門的スキルが求められます。特に以下の4領域は、実務での即戦力性を見極めるうえでの重要な評価基準です。


1.プログラミング言語とデータ処理

Python、SQL、Javaといった言語スキルや、Apache Spark、Airflow、dbtなどのデータ処理スキルは、データエンジニアにとっての基盤スキルです。これらを活用してデータを抽出・加工・整形・集計する処理ロジックを構築する能力は、すべての業務に共通して求められます。単に書けるだけでなく、複雑なJOINやウィンドウ関数を使えるか、Pythonでpandasやnumpyを使った効率的な処理ができるかなど、具体的な実務レベルで評価することが重要です。パフォーマンス最適化やエラーハンドリングもあわせて確認すると実力を把握しやすくなります。


2.データベース・モデル設計

RDB(MySQL、PostgreSQL、Oracle Databaseなど)およびNoSQL(MongoDB、Cassandraなど)の両方に関する基本理解と運用経験が望まれます。特に正規化、ER図を使った論理設計、スキーマ定義といったモデリング技術は、データ整合性と拡張性を担保するための基礎力として重要です。評価時には、過去に構築したデータモデルや、パフォーマンス改善に取り組んだ経験を具体的に説明できるかを確認するとよいでしょう。


3.ETL/ワークフロー管理

大量データの定期処理を自動化するためのETL(Extract, Transform, Load)パイプライン構築能力も評価対象です。Airflowなどのワークフロー管理ツールを使い、処理ジョブの依存関係管理、スケジューリング、エラー通知設計などを行えることが理想です。さらに、障害発生時に再実行できる設計をしているか、監視体制を整えているかといった実務的な観点も重要です。単にツールの利用経験があるかではなく、運用面まで考慮できるかをチェックすると、現場力を見極めやすくなります。


4.クラウド・分散処理基盤

AWS(Glue、Athena、Redshiftなど)、GCP(BigQuery、Dataflow、Cloud Composerなど)、Azure(Synapse、Data Factoryなど)といった主要クラウド環境での開発・運用経験は、採用基準として高く評価されます。また、Apache Hadoop と Apache Sparkといった分散処理基盤を使った並列処理の知識と実践経験も、業務規模の大きな現場では必須に近い要素です。採用の場面では、単に「AWSを触ったことがある」ではなく、どのサービスをどの規模で利用したのかを確認することで、候補者の実務レベルを見極められます。

最新技術トレンドによる差別化スキル

データエンジニアとして一歩抜きん出た存在になるには、最新の技術潮流を把握し、変化に適応するスキルが欠かせません。2025年以降、特に重要性が増すと考えられる分野を以下に整理します。


1.生成AIとの連携スキル(プロンプト設計、Fine-tuning)

ChatGPTなどの生成AIの登場により、データの要約・クレンジング・変換処理を自然言語で制御するアプローチが急速に広まりつつあります。プロンプト設計を通じた自動化や、独自の業務データを用いたFine-tuningによるカスタマイズは、従来のETL業務や前処理の効率化に直結します。評価時には、単なる利用経験ではなく、実務ワークフローに組み込んだ事例を確認すると有効です。


2.AIガバナンスと倫理対応スキル

AIの業務活用が進む中で、その公平性や説明責任、バイアス制御に関するリスクマネジメント力が求められています。データエンジニアが倫理的観点を持ち、「AIのバイアスリスクにどう対応したか」など具体的な経験を説明できるかを確認すれば、意識と実践力を見極められます。国際的なガイドラインや法規制を最低限理解しているかどうかも、採用時の重要な判断基準です。


3.最先端のデータ探索ツール

従来のBIツールに加え、Powerdrillなどの高速・可視化特化型の新世代ツールが台頭しています。これらは非エンジニアでも扱いやすく、リアルタイムなインサイト取得が可能である点から、データドリブンな意思決定を促進する武器となります。採用選考においては、新しいツールをキャッチアップして実務に応用した経験があるかを確認すると、候補者の適応力や先進性を見極められます。

リテラシーと倫理観などのソフトスキル

データエンジニアに求められるスキルは、技術面にとどまりません。大量のデータを正確に処理し、分析・活用へとつなげるには、論理的思考力やコミュニケーション能力、倫理的判断力といったソフトスキルも欠かせません。特に近年では、データリテラシーやAI倫理への関心が高まっており、それに伴いソフトスキルの重要性も再認識されています。


1.データリテラシーと批判的思考

データリテラシーとは、単にデータを扱えるというだけでなく、「そのデータが何を意味しているか」「どのような前提で集められたのか」といった背景を読み解く力を指します。与えられたデータや結果を鵜呑みにせず、仮説を立てて検証する批判的思考力が必要です。面接では「売上が前月比で上がった場合、その要因をどう分析するか」といった質問を通じて、候補者の思考プロセスを確認します。


2.倫理観・責任感・説明力

AIや機械学習を業務に活用する際には、「なぜその結果が出たのか」「誰が責任を持つのか」という説明責任が不可欠です。特に、採用評価や与信審査など、人の人生に大きく影響を与える分野では、アルゴリズムの偏りを抑え、透明性を担保した仕組みづくりが求められます。候補者を評価する際には、過去の業務でバイアスへの対応をどのように行ったか、また非エンジニアに専門用語をわかりやすく説明できるかといった点を確認すると、その人物の倫理観や説明責任を果たす姿勢を把握できます。

データエンジニアとしてのスキルを証明する資格一覧

データエンジニアの採用や育成において、スキルの可視化や客観的な判断材料として有効なのが資格の保有状況です。資格はあくまで「できる証明」の一部に過ぎませんが、技術知識の基礎やクラウド環境の習熟度を測るうえで有力な指標となります。
特に以下の資格は、多くの企業で高く評価されています。
● AWS認定資格(AWS Certified Data Analytics(Specialty)、Solutions Architect(Associate)など)
→ AWS環境でのデータ処理設計・運用スキルを測定可能です。

● Google Cloud認定資格(Professional Data Engineerなど)
→ GCP上でのETL構築や機械学習ワークフローの理解を証明できます。

● Microsoft Azure認定資格(Azure Data Engineer Associateなど)
→ Azure上のデータ設計・パイプライン構築力を評価できます。

● 情報処理技術者試験(データベーススペシャリスト、応用情報技術者など)
→ 日本国内で広く認知されており、基本的なITリテラシーや設計スキルを証明します。

このほかにも、Python技術者認定試験、OSS-DB技術者認定試験、統計検定など、業務内容に応じた資格があれば、個人の専門性とキャリア志向を形成できます。採用時には資格の有無だけでなく、資格取得に向けた学習姿勢や継続性も評価材料とするとよいでしょう。

データエンジニアとデータサイエンティストの違い

データエンジニアと混同されやすい職種に「データサイエンティスト」がありますが、両者の役割やスキルには明確な違いがあります。採用や育成の際には、ポジションごとの業務内容を正しく理解したうえで適切な評価指標を設定しましょう。
項目 データエンジニア データサイエンティスト
主な業務 データ基盤の設計・構築・運用 データの分析・モデル構築・洞察抽出
使用ツール SQL, Python, Airflow, Spark, Hadoop など Python, R, Jupyter Notebook, scikit-learn など
必須スキル ETL構築、分散処理、クラウド、DB設計 統計、機械学習、仮説検証、ビジネス理解
活躍シーン データパイプラインの構築・保守 ビジネス課題の分析・モデルの提案
データサイエンティストが分析結果を使って意思決定に貢献するのに対し、データエンジニアはその分析を可能にするデータ基盤を支える役割を担います。両者のスキルセットが補完関係にあるため、組織としてバランスのよい採用と配置が重要です。

優秀なデータエンジニアの確保にはスキルチェックテストが効果的

データエンジニアは、単なる「裏方」ではなく、DX時代の事業成長を支える中核的な存在です。採用や人材育成の場面では、技術スキルだけでなく、データリテラシーや倫理観といった総合力も含めた評価視点が重要となります。
一方で、実際の採用・育成現場においてスキルセットを網羅的に確認するのは難しいのが実情です。そのため、実務を想定したスキルテストの活用が、候補者の実力を効率的かつ客観的に見極めるうえで役立ちます。
ラクテスでは、データエンジニア向けのスキルチェックテストを提供しています。スキルの可視化に効果的なツールなので、採用前の選抜や育成前の現状把握にぜひご活用ください。
データエンジニアのスキルセットを測定する問題【採用・研修用】

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