プロジェクトマネージャー(PM)に求められるスキルは、単なる「進行管理」や「リーダー役」にとどまりません。計画立案やリスク調整といった管理能力に加え、メンバーを動かすリーダーシップ、関係者をつなぐコミュニケーション力が必須となります。
さらに近年では、AIツールの活用やノーコード開発の知識、チームをまとめる共感力といった次世代型スキルも評価基準に加わりつつあります。人事や総務の担当者にとって、こうしたスキルを体系的に理解しておくことは、採用や育成の判断を誤らないための重要な前提条件です。
本記事では、基盤となる3つのスキル領域から次世代型スキル、そして実際の評価方法までを整理して解説します。
目次
基盤となる3つのスキル領域
PMが安定して成果を出すためには、どの業種・規模のプロジェクトでも共通する3つの基盤スキルがあります。それが「コミュニケーション力」「リーダーシップ」「計画・管理スキル」の3領域です。
これらはプロジェクト推進の土台であり、いずれかが欠けるといくら専門知識や経験が豊富でも成功は難しくなります。採用や評価の場では、まずこの3領域を確実に確認しましょう。
コミュニケーション力
PMの最大の役割は「関係者をつなぐハブ」になることです。メンバー間の調整、経営層への報告、外部パートナーとの折衝など、プロジェクトのあらゆる場面でコミュニケーション能力が試されます。明確な伝達力と傾聴力を両立し、進捗や課題を正しく共有できる能力かがポイントです。
候補者を評価する際には「情報を噛み砕いて分かりやすく説明できるか」「相手の意見を的確に理解できるか」に注目するとよいでしょう。
リーダーシップ
PMに突出したカリスマ性は要りませんが、多様なメンバーをまとめるリーダーシップは必要です。優れたリーダーシップとは「メンバーが安心して力を発揮できる環境を作ること」です。メンバー一人ひとりが能力を活かし、方向性をもって動けるよう導く力が求められます。
人事担当者が確認すべきなのは「困難な状況でどのようにリーダーシップを発揮したか」という具体的な行動事例です。過去の経験を掘り下げることで、候補者の真価を見極めやすくなります。
計画・管理スキル
プロジェクトは計画と管理の質によって成果が大きく左右されます。スケジュールの作成、コスト管理、リソース配分といった基本業務はもちろん、想定外のリスクに直面した際に柔軟に調整できる力も重要です。
近年はガントチャートやタスク管理ツール、アジャイル開発のフレームワークなど、多様な管理手法が活用されています。候補者が過去にどのようなツールを使い、どのように進捗を可視化・改善してきたのかを確認することで、その実務力を具体的に評価できます。
次世代のPMスキルセット
近年のプロジェクト環境は急速に変化しており、従来のスキルだけでは十分とはいえなくなっています。AIやノーコードツールなどのテクノロジーを取り入れた効率化が進む一方で、人間関係を深める力やチームの結束を高める力も重要性を増しています。
採用担当者は、こうした次世代のスキルセットを意識的に評価項目に加えることで、将来の変化にも対応できるPMを見極められます。
AIツール活用スキル
AIを取り入れたプロジェクト管理は、スケジュール予測やリスク分析の精度を高め、業務効率を飛躍的に向上させます。たとえば、タスクの優先度をAIで自動算出したり、リスクの兆候を早期に検知したりすることが可能です。
「AIツールによる仕組み化」を実務に活用できるPMは、従来型の管理者よりも高い付加価値を発揮できます。候補者を評価する際には「どのようなAIツールを利用し、成果にどう結び付けたのか」を確認してみましょう。
ノーコード/ローコードスキル
システム開発を含むプロジェクトでは、ノーコードやローコードの知識がPMの実務に直結します。これらを使いこなすことで、エンジニアに依存せず簡易なプロトタイプを作成でき、意思決定のスピードを大幅に高められます。
特にスタートアップやリソースが限られた組織においては、PM自身がツールを活用できることが大きな強みになります。評価の際には「実際にどのようなプロジェクトでノーコードを活用したか」を具体的に確認すると良いでしょう。
共感力とチームビルディング
テクノロジーが進化する一方で、メンバーの信頼を獲得し、チームをまとめるための共感力は依然として重要です。共感力のあるPMはメンバーのモチベーションを維持し、離職リスクを下げられます。
また、メンバー同士の信頼関係を築くことで、困難な局面でも一体感をもって課題に取り組めるようになります。採用や育成の観点では「チームを結束させた経験」「メンバーの声をどのように拾い上げたか」といった事例を評価基準に含めると効果的です。
PMスキルセットを評価する方法
PMに必要なスキルを理解しても、実際の採用や育成の場でどう評価するかは大きな課題です。履歴書や面接だけでは見抜けない部分が多いため、複数の評価手法を組み合わせましょう。
特に、「ケーススタディ面接」「過去実績の確認」「スキルテスト」の3つは、客観的かつ多面的な評価を行うために重要です。
ケーススタディ面接
机上の知識と実務能力を区別するには、ケーススタディ面接が効果的です。実際のプロジェクト課題を提示し、候補者に解決プロセスを語ってもらうことで、課題解決力や意思決定の妥当性を見極められます。
評価する際は「どのように課題を分析し、代替案を検討し、最終的な判断を下したか」を具体的に確認するとよいでしょう。
過去実績の確認
候補者がこれまでに担当したプロジェクトの規模や成果は、能力を測る重要な指標です。ただし、単なる経験年数よりも「どのような困難を乗り越え、成果を残したか」に注目することが大切です。
採用時には、成功体験だけでなく失敗から何を学び、どう改善したかを確認することで、再現性のあるスキルかどうかを判断できます。
スキルテストの導入
スキルテストは候補者を客観的に比較できる有効な手段です。統一された基準を持たずに評価を行うと、どうしても担当者の主観に左右されてしまいますが、スキルテストなら定量的な評価ができます。
プロジェクト進行・管理に関する知識やコミュニケーション能力、リーダーシップ、計画力といった基盤スキルを出題すれば、PMに特化したスキルテストとして有効です。
PMスキルセットを基準に採用と育成を一貫化する
PMの採用や育成で成果を出すには、基盤スキルと次世代スキルの両方を体系的に評価することが欠かせません。組織として統一された評価基準を持つことで、採用の質を高めるだけでなく、育成コストを抑える効果も期待できます。
ラクテスでは、PMに必要なスキルセットをまとめてチェックできるテストを提供しています。
このようなテストを活用し、変化の激しい環境でも安定して成果を上げられるPMを獲得しましょう。