社内検定制度の作り方|手順・費用・事例を解説

「研修はやっているのに、受講後のスキル定着を測る手段がない」「部門ごとに評価基準がバラバラで、異動のたびに育成が振り出しに戻る」「若手の離職面談で”成長実感がない”と言われた」──こうした課題を抱える企業が増えています。

共通する根本原因は、社内にスキルを客観的に測定・評価する仕組みがないことです。研修やOJTは「教える」仕組みとしては機能していても、「どこまで身についたかを測る」仕組みとは別物です。

この課題を解決する手段として注目されているのが「社内検定制度」です。本記事では、社内検定の基本から厚生労働大臣認定の取得までを、構築手順・導入効果・企業事例を交えて解説します。

📌 この記事で分かること

社内検定制度の定義と「既にやっている社内テスト」との違い/データで見る「いま社内検定が求められる理由」/導入で得られる10の効果と企業事例/構築5ステップと各ステップで起きやすい壁・対策/予算感・モデルスケジュール・投資対効果/よくある質問(FAQ)

目次

1. 社内検定制度とは何か

1-1. 定義と完成形のイメージ

社内検定とは、企業・団体が自社の従業員を対象に、職業上必要な知識や技能の習得度合いを測るために独自に設計・運用する検定制度です。

「社内検定」と聞くと国家試験のような大がかりなものを想像するかもしれませんが、実際の完成形はもっと身近なものです。たとえばある小売企業では、販売スタッフが社内のオンラインテストシステムで50問の選択式問題に解答し、「接客」「商品知識」「企業理念」などカテゴリ別のスコアがスキルマップに自動反映されます。合格者には社内資格のバッジが付与され、名刺にも記載できる。こうした仕組みが社内検定の一つの形です。

1-2. 「既にやっていること」との違い

多くの企業では、研修後に理解度テストを実施したり、外部のベンダー資格の取得を推奨したりしています。社内検定はそれらとどう違うのでしょうか。

比較項目 研修後テスト 外部のベンダー資格 社内検定
目的 研修内容の理解度確認 汎用スキルの証明 自社固有のスキルの測定・評価・可視化
設計の自由度 研修内容に依存 ベンダーが設計(自社に合わないことも) 自社の業務・戦略に合わせて自由設計
人事制度との連動 難しい(一過性になりやすい) 取得推奨にとどまることが多い 昇進要件・手当・キャリアパスと連動可能
継続性 研修のたびに実施(体系化されにくい) 更新が必要な場合あり 定期的に実施し、スキルの経年変化も追跡

ポイントは、社内検定が単なる「テスト」ではなく「制度」として設計されることです。合格基準があり、結果が人事データに蓄積され、キャリアパスや処遇とひもづきます。だからこそ「研修を受けて終わり」にならず、従業員のスキルアップの動機づけとして機能します。

1-3. 厚生労働大臣「社内検定認定制度」

厚生労働省は、一定の基準を満たし技能振興上奨励すべきと認められる社内検定を厚生労働大臣が認定する「社内検定認定制度」を設けています。令和7年6月2日現在、42企業・団体、111職種が認定を受けています。認定を受けなくても社内検定自体は自主的に構築・運用できますので、認定はあくまで対外的な信頼性を高めるためのオプションです(詳しくは第4章末尾で解説します)。

出典:厚生労働省「社内検定認定制度」公式ページ

2. なぜ今、社内検定が必要なのか

2-1. スキルの可視化・評価ニーズの高まり

帝国データバンクの2024年調査では、リスキリングに積極的な企業のうち「従業員のスキルの把握・可視化」を最重要課題と回答した企業が52.1%で最多でした。また、厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査」では教育訓練費を支出した企業が54.9%に達し、労働者の自己啓発実施率も36.8%(前年比+2.4pt)と上昇傾向にあります。

出典:帝国データバンク「リスキリングに関する企業の意識調査」(2024年)厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査」

つまり、企業も従業員も「学びたい・学ばせたい」というニーズは高まっています。しかし問題は、学んだ結果を客観的に測る仕組みが社内にないことです。

労働政策研究・研修機構(JILPT)が常用雇用者100人以上の企業1,475社を対象に実施した調査でも、65.3%の企業が「今後、資格・検定をより積極的に活用したい」と回答しています。ただし、既存の外部資格は業界横断的な内容が中心で、「自社の接客基準」「自社製品の技術仕様」「自社の業務プロセス」といった企業固有のスキルは測れません。だからこそ、外部資格では補えない領域を自社で設計できる社内検定に注目が集まっています。

出典:JILPT 調査シリーズNo.142「企業における資格・検定等の活用、大学院・大学等の受講支援に関する調査」

経済産業省も「人材版伊藤レポート2.0」(2022年)で、リスキリングやスキルギャップの特定、処遇との連動を人的資本経営の中核テーマとして位置づけました。社内検定は、スキルの可視化を軸とした「スキルベース組織」への転換を実現する具体的な手段の一つです。

出典:経済産業省「人材版伊藤レポート2.0」(2022年5月)

2-2. 人材定着とエンゲージメントの課題

ラクテスが2024年に実施した自社調査では、20代の92.5%、30代の93.7%が「リスキリング・スキルアップの機会があれば現職に留まりたい」と回答しています。この結果が示すように、「今の会社にいても成長できるのか」という不安は、若手の離職理由として上位に挙がるテーマです。社内検定によってキャリアパスを可視化し、スキルアップの実感を持てる仕組みをつくることは、若手人材の定着戦略として有効です。

出典:ラクテス「リスキリング・スキルアップに関する意識調査」(2024年)

2-3. DX・AI時代のスキル再定義

パーソルイノベーション「リスキリング施策の実態調査」(2024年12月版)によれば、大企業の約60%がリスキリング施策を実施しており、最も注力されているスキルは「AI活用」です。技術変化が加速するなか、既存の国家資格ではカバーしきれない領域を社内検定で補う動きが広がっています。

出典:パーソルイノベーション Reskilling Camp「リスキリング施策の実態調査(2024年12月版)」

3. 導入効果と企業事例

社内検定の導入は具体的にどのような成果につながるのでしょうか。まず厚生労働省の事例集をもとに効果を10の観点で整理し、続けて代表的な企業事例を紹介します。

3-1. 社内検定導入で得られる10の効果

厚生労働省が公開している「認定社内検定 活用事例集」(2025年3月更新・16社掲載)から、主な効果を整理しました。

出典:厚生労働省「認定社内検定 活用事例集」(PDF 12.9MB)

No. 効果 主な事例
1 技能の見える化・標準化 イオン:自己流だった技能を標準化し、どの店舗でも同品質のサービスを実現
2 従業員のモチベーション向上 互省製作所:合格者の社員証を色分けし、技能習得への意欲を向上。中小企業として初の厚生労働大臣認定を取得
3 知識・技能・技術の向上 デンソー:38職種を構築(うち15職種が厚生労働大臣認定)し、製造技能を網羅的にカバー
4 若手の定着・採用力強化 ラクテス調査:20代の92.5%がスキルアップ機会があれば定着意向。キャリアパスの可視化が若手確保に直結
5 育成施策の精度向上 イオン:6職種・累計2万人超の検定データを蓄積し、職種別の合格率や傾向を分析。研修プログラムの改善や人材配置に活用
6 人事制度との連動 ヤンマー:社内検定合格を昇進要件に組み込み、手当支給・名刺記載・バッジ装着を実施
7 顧客の評価向上 アメニティネットワーク技能検定協会:接客マナーも含む検定で顧客評価が向上。協力会社のランク付けにも活用
8 業界内での差別化 日本ロックセキュリティ協同組合:参入が容易な鍵業界で、厚生労働大臣認定により消費者信頼を確立
9 地域産業振興への貢献 今治タオル工業組合:地域ブランドの品質保証と技能伝承に社内検定を活用
10 広報効果・企業ブランドの向上 伊藤園(ティーテイスター社内検定):お茶の知識・技術を検定化。接客レベルとブランドイメージの向上に寄与

出典:厚生労働省「認定社内検定 活用事例集」

ただし、これらの効果はすべて「検定を導入しさえすれば自動的に得られる」ものではありません。第4章で述べる設計・運用上のポイントを押さえることが前提です。

3-2. 企業事例

上記の効果を実際に実現している3社の事例を見てみましょう。厚生労働省「認定社内検定 活用事例集」(令和7年3月更新・16社掲載)からの紹介です。

📋 イオン株式会社|6職種・累計2万人超が合格した小売業の検定体系

【課題】全国に展開する店舗で、鮮魚加工や惣菜調理、園芸など専門性の高い業務を担う従業員が多いにもかかわらず、技能や知識は個人の経験や自己流に依存していた。品質のばらつきが生じるだけでなく、安全面・衛生面への意識にも差があった。

【設計】「鮮魚士」「ホットデリカマスター」「寿司マスター」「ガーデニングマスター」「グリナリーマスター」「農産マスター」の6職種の社内検定を構築し、厚生労働大臣の認定を取得。各職種で等級を設け、学科試験と実技試験を組み合わせた評価体系を整備した。

【運用と成果】累計合格者数は鮮魚士だけで1級34名・2級1,890名・3級3,781名、6職種合計で2万人を超える規模に拡大。自己流だった技能・知識が標準化されたことで顧客の安心感につながり、安全・衛生面への意識向上を通じて労働災害の防止にも寄与している。

📋 株式会社デンソー ── 38職種を網羅する製造技能検定

世界有数の自動車部品メーカーであるデンソーは、製造現場の技能レベルを客観的に評価するため、38職種の社内検定を構築(うち15職種が厚生労働大臣認定)。学科試験と実技試験で構成され、等級制(初級〜上級)を設けることでキャリアパスを明確化しました。認定技能者を職長として配置する仕組みにより、品質の担保と若手のモチベーション向上を両立しています。

📋 株式会社伊藤園|「ティーテイスター」社内検定

伊藤園は、従業員がお茶に関する深い知識と実践的な技術を習得し、その魅力を社内外に伝える能力の養成を目的として「伊藤園ティーテイスター社内検定」を構築。平成28年の制度改正後、認定第1号として厚生労働大臣の認定を受けました。従業員のモチベーション向上に加え、知識・技術の標準化により接客レベルの向上やブランドイメージの強化に活用されています。

出典:厚生労働省「社内検定認定制度」認定社内検定 活用事例集(PDF)

これらの事例から読み取れるポイントは3つあります。第一に、経営戦略や事業課題と直結する目的設定があったこと。第二に、職種別の等級制や学科・実技の組み合わせなど体系的な設計が行われたこと。そして第三に、検定結果を人材配置や育成施策にフィードバックする仕組みまで構築されたことです。

小売・製造・飲料と業種は異なりますが、「スキルの見える化」「キャリアパスの明確化」「品質の標準化」という共通点があります。「うちの業界には関係ない」ではなく、自社の課題に引き寄せて読んでみてください。

4. 構築の進め方と実務上の注意点

厚生労働省が2024年11月に公開した「職業能力検定構築マニュアル」をベースに、実務的な手順を5つのステップで解説します。各ステップで「どこが難しいのか」「よくぶつかる壁とその対策」も併せて紹介します。

出典:厚生労働省「職業能力検定構築マニュアル」(2024年11月作成・PDF)

Step 1:目的・対象の明確化(目安:2〜4週間)

何のために検定を行うのかを明確にします。目的が曖昧なまま進めると、後の工程すべてがブレるため、ここが最初の重要な分岐点です。

目的は大きく4つのパターンに分けられます。

目的 検定設計への影響 対象者の例
人材育成・スキルの底上げ 合格率を高めに設定し、学習促進を重視。不合格者へのフォロー設計が重要 全社員、新入社員
サービス品質の均一化 実技試験や現場シナリオを重視。合格を業務資格化する場合も 接客スタッフ、技術職
昇進・処遇との連動 公平性・透明性が最重要。等級別の難易度設計が必要 管理職候補、専門職
採用ブランディング・対外PR 厚生労働大臣認定の取得を視野に入れた設計。外部への説明性が重要になる 特定職種の従業員

⚠️ ここが難所

「スキルの可視化」と「昇進要件化」では、検定の設計思想が大きく異なります。目的が複数ある場合は優先順位を決め、まずは最も優先度の高い目的に絞って設計することをおすすめします。あれもこれも盛り込むと、結果的にどの目的も中途半端になりがちです。

目的を決める際に、あわせて合格の「意味づけ」も検討しておきましょう。ヤンマーの事例では、社内検定の合格を昇進要件に組み込み、手当の支給や名刺への記載、作業着へのバッジ装着まで実施しています。逆に、合格しても何も変わらない検定は、受験者から「受ける意味がない」と認識され、形骸化するリスクが高くなります。手当や昇進要件の変更が難しい場合でも、社内表彰、スキルマップへの反映、合格者一覧の社内公開など、最低限のインセンティブ設計は初期段階から組み込んでおく必要があります。

もう一つ、この段階で欠かせないのが経営層の巻き込みです。経済産業省の「人的資本経営コンソーシアム 好事例集」(2023年)でも、人材育成施策の成功には経営レベルのコミットメントが共通して挙げられています。「人的資本開示の文脈でスキル可視化データを外部に示せる」「研修投資のROIを定量的に測定できる」といった経営メリットを前面に出すと効果的です。

出典:経済産業省「人的資本経営コンソーシアム 好事例集」(2023年10月・PDF)

Step 2:スキル体系の整理と試験基準の設計(目安:1〜3か月)

「何を測るか」を構造的に定義するステップで、構築プロセス全体で最も難易度が高い工程です。

厚生労働省の構築マニュアルでは、対象とする「職種」を単位として、「仕事→作業→技能→知識」を階層的に洗い出すことが推奨されています。しかし実務では、以下のような壁にぶつかることが少なくありません。

暗黙知の壁
熟練者ほどスキルが暗黙知になっており、「何ができれば一人前か」を言語化するのが難しいといえます。ヒアリングしても「経験を積めばわかる」といった回答になりがちで、そもそもベテラン社員は本業が忙しく、「人事からの依頼」は後回しにされることも少なくありません。この壁を乗り越えるには、経営層から「全社施策である」というメッセージを出してもらうことが効果的です。あらかじめたたき台を用意したうえで「確認・修正」を依頼する進め方や、外部のファシリテーターを活用してヒアリングの回数と時間を短縮する方法もあります。

部門間の温度差
同じ「接客スキル」でも、部門Aと部門Bで求める水準や定義が異なります。たとえば「営業スキル」一つとっても、法人営業と個人営業では重視するポイントが違います。全社統一の検定をつくろうとすると、部門間の合意形成に想定以上の時間がかかり、「うちの部門の実態に合わない」という反発が出ることもあります。対策としては、最初から全社統一を目指すのではなく、共通の基礎パート+部門別の専門パートという構成にする方法が有効です。

レベル分けの曖昧さ
「初級・中級・上級」に分けるとして、各レベルの境界線をどこに引くかが悩ましいところです。経験年数で分けるのか、できる作業の範囲で分けるのか、判断に迷いやすいポイントです。

ラクテスで支援した小売業の事例では、まず「接客フロー」「商品知識」「専門知識」「語学力」「企業理念」の5つのカテゴリに分類し、カテゴリごとに段階的な設計・改善を行いました。一度にすべてを完成させるのではなく、優先度の高いカテゴリから着手する進め方も有効です。

💡 ポイント

スキル体系の整理は、人事部門だけで進めようとすると行き詰まりやすい工程です。現場の管理職やベテラン社員を巻き込むことが不可欠ですが、彼らの本業を圧迫しないよう、ファシリテーションの設計も欠かせません。外部の有識者に依頼する企業が多いのも、この工程の難しさゆえです。

Step 3:試験問題の作成(目安:1〜2か月)

Step 2で定義したスキル体系をもとに、具体的な問題を作成します。検討すべき主な項目は以下のとおりです。

まず検討すべきは出題形式です。

形式 適している場面 問題数・時間の目安
選択式 知識の正確性を効率よく測る。採点の自動化が容易 30〜50問・30〜60分
記述式 知識の応用力や思考プロセスを見る。採点に工数がかかる 3〜5問・45〜90分
実技 実際の作業能力を直接評価。評価者の確保・基準統一が必要 内容により異なる
選択式+記述式 知識と応用力の両方を測る。最も一般的な組み合わせ 選択30問+記述2〜3問・60〜90分

もう一つ注意したいのが問題の品質です。 「社内の知識に詳しい人」が良い問題を作れるとは限りません。問題を作ること自体は現場の知識があればできますが、「この問題が本当に測りたいスキルを測れているか」を検証するのは別のスキルです。出題意図が曖昧な問題、正解が2つあり得る問題、難易度が極端に偏った問題など、テスト設計の専門知識がないと気づけない落とし穴は多くあります。初回のトライアルで想定外の結果が出て、問題の大幅な作り直しが必要になるケースも少なくありません。専門家の監修を入れるか、少なくともStep 4のトライアルで設問の質を検証することが不可欠です。

💡 問題は「作って終わり」ではない

業務内容や技術は毎年変わるため、問題が古くなると「実務と乖離した検定」になり、受験者の信頼を失います。構築段階から「年間の更新サイクル」と「更新担当者」を決めておくことが欠かせません。問題の何割を毎年入れ替えるか、誰がレビューするか、予算はどう確保するか。これらを初回の設計時に運用計画へ組み込んでおきましょう。

Step 4:トライアル(試行試験)の実施(目安:2〜4週間)

少人数(20〜50名程度)を対象に試行試験を実施し、設計の妥当性を検証します。確認すべきポイントは、① 問題ごとの正答率(極端に高い/低い問題がないか)、② 試験時間の適切さ、③ 受験者からの「問題文の意味がわからない」等のフィードバック、④ 合格ラインの妥当性、の4点です。

試行試験を省略して本番に臨むと、「想定より合格率が低すぎて社員のモチベーションが下がった」「問題の不備が見つかり追試が必要になった」といったトラブルが起きやすくなります。

トライアルは、社員への説明方法を検証する機会でもあります。社内検定の導入で人事担当者が最も心配するのは「社員の反応」です。以下の方針をこの段階で固めておきましょう。

受験は義務か任意か
目的が「全社的なスキル底上げ」なら義務化が適していますが、導入初年度は任意にして様子を見る企業もあります。

あわせて不合格者へのフォロー方針も決めておきましょう。 不合格を「ダメ出し」で終わらせないことが重要です。① 弱点領域の通知と学習リソースの紹介、② 次回受験までの学習計画サポート、③ 再受験の機会提供(年1回のみだとフォローが効きにくい)といった施策を検討しましょう。

社内への説明では、「評価のための試験」ではなく「成長のための仕組み」であることを繰り返し伝えます。特に現場の管理職がこのメッセージを理解していないと、部下に「これに落ちたら査定に響く」といった誤ったプレッシャーを与えてしまうリスクがあります。

Step 5:運用体制の構築(目安:2〜4週間)

実施頻度(年1回が一般的、職種によっては半期ごと)、受験フロー、合否判定基準、結果の通知方法を策定します。継続的な問題更新・改訂の仕組みと、オンラインテスト基盤の選定もこの段階で行います。

運用の壁① ── 受験方式の選定と不正防止

社内検定の運用で最も実務的な悩みの一つが、「どうやって受験させるか」と「どうやって不正を防ぐか」です。特に工場・店舗・現場勤務の社員を多く抱える企業では、この2つが密接に絡み合い、受験方式の選定が制度全体の運用負荷を左右します。

なぜ紙試験が残り続けるのか
現場で働く社員には会社貸与のPCやスマートフォンが支給されていないことが多く、オンライン受験の前提が整っていません。この制約から、大企業であっても社内試験を紙ベースで続けているケースは珍しくありません。しかし紙試験は、問題用紙の印刷・全拠点への配送、答案用紙の郵送回収、手作業での採点・集計、結果データの手入力など、あらゆる工程で人手と時間がかかります。受験者が数千人規模になると、採点と集計だけで数週間を要することもあります。

なかでも深刻なのが問題の回覧リスクです。 実施後に問題用紙が社員間で共有されてしまうと、翌年以降に同じ問題を使うことが事実上できなくなり、毎回すべての問題を新規作成する負担が発生します。これを防ぐには、全拠点で同日同時刻に一斉実施し、終了後に問題用紙を全数回収するしかありません。しかし全国に拠点を持つ企業がこれを実行するには、各拠点で試験会場(広い会議室や研修室)と試験監督を確保しなければなりません。結果として、1回あたりの運用コストが非常に大きくなります。

自社に適切な会場がない場合は、CBT(Computer Based Testing)のテストセンターで部屋と端末を借りて受験する方法もあります。監督付きの環境で不正リスクを抑えられる反面、1名あたり数千円の受験料が発生し、受験者が多いほどコストがかさみます。また、テストセンターの席数には限りがあるため、大人数の場合は予約が数か月先になることもあります。

こうしたジレンマを解消する現実的な方法が、オンラインテスト基盤と不正防止策の組み合わせです。

不正防止策 仕組み 効果
問題プールからのランダム出題 本番50問に対して150〜200問のプールを用意し、受験者ごとに出題をランダム抽出。選択肢の並び順もシャッフル 隣の人と問題が異なるため、答えの共有が困難になる。事後の問題回覧も効果が薄れる
受験時間帯の統一+制限時間 全社一斉に受験開始し、制限時間内に終了。遅刻者は別日程の予備回で受験 先に受験した人から問題が漏れるリスクを排除
Webカメラによる受験中監視 受験中にWebカメラで顔・手元を撮影。AIが不審な動き(視線の逸脱、画面外の参照)を検知 自宅やオフィスでの受験でも一定の公正性を担保
ブラウザロック 受験中は専用ブラウザ以外の操作(検索、画面キャプチャなど)を制限 受験中の検索エンジン利用やコピー&ペーストを防止

最後に、現場勤務者の受験環境をどう確保するかという問題があります。「オンライン化したいが、現場に端末がない」という課題に対しては、いくつかの現実的な対応策があります。

最もコストを抑えやすいのは、各拠点の会議室や休憩室に受験用の共用端末(ノートPC・タブレット)を数台配置し、受験期間中にローテーションで受験してもらう方法です。受験期間を2〜4週間に設定し、一斉受験ではなくシフトに合わせて受験できるようにすることで、現場の業務への影響も最小化できます。

ただし、ローテーション受験では先に受験した人が後の受験者に出題内容を伝えるリスクがあります。この対策として不可欠なのが、十分な規模の問題プールからのランダム出題です。本番50問に対して150〜200問のプールを用意し、受験者ごとに異なる問題セットを出題すれば、仮に出題内容を共有されても他の受験者への影響は限定的になります。あわせて選択肢の表示順もシャッフルすることで、「3番目を選べば正解」といった口伝えも無効化できます。

拠点に端末を置くスペースすらない場合は、近隣の社外テストセンターを利用するか、本社・支社の研修室に受験日を設けて現場社員に出張受験してもらう方法があります。いずれの場合も、受験のための移動時間を業務時間として扱うかどうかを事前に決めておく必要があります。

📌 「完璧な不正防止」より「合理的な抑止」を目指す

社内検定は国家試験ではありません。不正を100%排除しようとすると、コストと運用負荷が跳ね上がり、結局「年1回の大イベント」から脱却できなくなります。ランダム出題と受験時間帯の統一だけでも、紙試験に比べれば問題回覧のリスクは大幅に低減できます。「不正する動機を下げる」設計(不合格でも再受験の機会がある、結果が直接的に処遇を左右しない等)と組み合わせることで、運用コストを抑えながら十分な公正性を確保できます。

運用の壁② ── データ連携とシステム整備

社内検定の結果を人事評価やタレントマネジメントに活用するには、既存の人事システムやLMS(学習管理システム)と検定システムとのデータ連携が必要です。代表的な人事システムとしてはSAP SuccessFactors、COMPANY、カオナビなどがあります。しかし、社内検定を独自に構築した場合、受験データがExcelで管理され、人事システムへの転記も手作業のまま、という状態に陥りがちです。受験者が数千人規模になると、この手作業が運用のボトルネックになります。

全国に拠点を持つ企業や多人数の受験を想定する場合、SaaS型のオンラインテストシステムの導入が現実的です。受験の利便性向上、採点の自動化、データの一元管理、問題のバージョン管理などが実現でき、システムの自社開発なしで社内検定の運用基盤を整えられます。当サイト「ラクテス」でもこうした用途に対応していますので、ご興味があればお気軽にお問い合わせください。

運用の壁③ ── 受験データの分析・活用

社内検定を実施すると、合格率、カテゴリ別の正答率、部門間の差異、経年変化など、人材育成に活用できる豊富なデータが得られます。しかし多くの企業では、データを取得しても「合否の通知」で終わってしまい、「どの部門のどのスキルが弱いのか」「研修プログラムのどこを改善すべきか」という分析・施策反映まで手が回らないのが実情です。

たとえばイオンでは、6職種の検定データを蓄積し、合格率や職種別の傾向を人材配置や研修設計に活用しています(厚生労働省「認定社内検定 活用事例集」より)。受験データの分析(合格率、正答率の偏り、部門間の差異など)を行い、弱点領域を特定して研修プログラムに反映するPDCAサイクルが、社内検定の価値を年々高めていきます。

📌 全体の所要期間の目安

Step 1〜5をすべて含めると、初回の構築には概ね3〜6か月かかります。Step 2(スキル体系の整理)の難易度と、社内の関係者調整に要する時間が最大の変動要因です。外部の専門家を活用すると、特にStep 2〜3の期間を短縮しやすくなります。

社内から巻き込む必要があるのは、人事部門の担当者(事務局)、対象職種の現場管理職(スキル定義の協力)、経営層(制度としての承認)です。目安として、事務局は月20〜40時間、現場管理職は月5〜10時間の稼働を見込んでおくとよいでしょう。

💡 すべてを自力で解決する必要はありません

ここまで見てきた壁のうち、スキル定義の調整やベテランの巻き込み、更新体制づくりは社内の体制で対応できますが、問題の品質検証、受験環境の整備、システム連携、データ活用はテスト設計やシステムの専門性が求められる領域です。「構築の方向性は自社で決め、専門性が必要な部分は外部を活用する」という分担が、結果的にもっとも効率的で品質の高い検定につながります。

さらに厚生労働大臣認定を目指す場合

より本格的に制度の信頼性を高めたい企業には、厚生労働大臣認定という選択肢があります。認定を受けると「厚生労働大臣認定」の表記や専用ロゴマークの使用が可能になり、対外的な信頼性が大きく向上します。

認定申請の流れは、①全体像の整理 → ②試験の作成 → ③試行試験の実施 → ④申請書類の準備・提出 の4段階です。構築支援や申請手続きの相談窓口については、厚生労働省の公式ページに記載されています。

認定基準の詳細や必要書類、認定後の義務については、厚生労働省の公式ページをご確認ください。

出典:厚生労働省「社内検定認定制度」公式ページ職業能力検定構築マニュアル(PDF)

5. 予算感とモデルスケジュール

社内検定の導入を社内で検討・起案するにあたり、「結局いくらかかるのか」「いつから運用を始められるのか」は避けて通れない問いです。

大企業の場合、いきなり全社展開することはまずありません。まず1部門・1職種で小さく始めて有効性を検証(パイロット)し、成果をもとに全社展開の承認を取るのが現実的な進め方です。ここでは、この2段階を前提に費用とスケジュールの目安を整理します。

5-1. 費用の構成要素

社内検定の構築にかかる費用は、検定そのものを作る「直接コスト」に加え、大企業特有の制度化・組織調整にかかる「間接コスト」が発生します。後者は見落とされがちですが、稟議書にはどちらも含めておくことを強くおすすめします。

費用項目 内容 パイロット段階 全社展開段階
■ 検定構築の直接コスト
スキル体系の設計 対象職種の洗い出し、スキルマップ作成、レベル定義 1職種分のみ。外部活用の場合は数十万〜数百万円 パイロットの設計パターンを横展開。追加職種ごとに費用発生
試験問題の作成 問題の起案、選択肢設計、難易度調整、専門家レビュー 50問程度。外部活用の場合は数十万〜数百万円(専門性による) 職種追加に伴い問題セットも追加。パイロット問題の改訂費も発生
テストシステム導入 オンラインテスト基盤の選定・初期設定 SaaS利用なら初期費用は無料〜数十万円程度 受験者数増に伴うプラン変更。人事システム連携の開発費が追加される場合も
トライアル・パイロット実施 試行試験の実施、結果分析、問題の修正 社内人件費+システム利用費。分析支援を含めると数十万円 ─(パイロットで検証済み)
■ 制度化・組織調整の間接コスト
稟議・多階層承認 企画書作成、部門長〜役員会への説明、差し戻し・修正対応 パイロット承認は比較的軽い(部門長決裁で可能な場合も) 全社展開は役員会・経営会議の承認が必要。パイロット成果が承認材料になる
労務・法務レビュー 検定結果の処遇への影響整理、就業規則への反映検討、個人情報取扱いの確認 結果を参考情報として扱う限りは軽微 昇格・配置に連動させる場合、就業規則変更→労基署届出が必要になりうる
労働組合との協議 検定の義務化・結果の処遇反映に関する労使協議 パイロットは任意参加で設計すれば協議不要な場合が多い 全社義務化・評価連動の場合は正式な労使協議が必要。数か月かかることも
IT・セキュリティ審査 SaaS導入時の情報セキュリティチェック、社内ネットワーク接続審査、SSO対応 IT部門のチェックシート対応。大企業では1〜3か月かかることも パイロットで審査済みなら追加対応は軽微
社内周知・説明会 管理職向け説明会、全社告知、受験者向けFAQ整備、イントラ掲載 対象部門内の説明のみ 全社向け管理職説明会+全社告知。数千人規模なら2〜4週間必要
受験環境の整備 受験用PC・ネットワーク環境の確認、店舗・工場勤務者の受験場所確保 パイロット部門のみ確認 全拠点の環境調査。オフィス外勤務者への端末・場所手配が発生する場合も
受験者の機会コスト 受験時間×受験者数分の業務時間 限定的(20〜100名程度) 1,000人×1時間=1,000時間。現場の繁忙期と重なると抵抗要因に
■ 年間運用費(本番運用開始後、毎年継続)
テストシステム利用料 SaaS月額利用料、受験者数に応じた従量課金など 月額数万〜数十万円が一般的(受験者数・機能による)
問題の更新・改訂 年1回の問題見直し、新規問題の追加、陳腐化した問題の差替え 社内人件費のみ 外部に更新を委託する場合は数十万円〜
運用事務局の人件費 受験案内、結果通知、問い合わせ対応、データ分析など 担当者の稼働として月10〜30時間程度

📌 パイロットで「小さく始める」ことが稟議も通しやすい

上の表を見ると、間接コストの多くは全社展開段階で初めて重くなることが分かります。パイロットの段階では、対象部門を限定することでIT審査や労組協議のハードルを下げ、小さな予算で「まず成果を出す」ことが可能です。パイロット結果(受験者の反応、スキル可視化の効果、運用上の課題)が揃えば、全社展開の稟議は格段に通しやすくなります。

5-2. モデルスケジュール

大企業が社内検定を導入する場合、「パイロット(Phase 1)で有効性を検証 → 全社展開(Phase 2)で本格運用」の2段階で進めるのが現実的です。以下は、1職種・選択式50問の検定を構築するケースを想定したモデルスケジュールです。

Phase 1:パイロット導入(1部門・50〜200名規模)

工程 主な作業内容 関わる人
0 事前根回し・温度感確認 パイロット対象部門の選定、関連部署(IT、法務、労務)への非公式打診、パイロット部門長への協力依頼。ここを省くと公式提案時に想定外の反対が出る 人事部門(事務局)、パイロット対象部門長
1 企画立案・パイロット承認 パイロット企画書の作成(目的、対象範囲、スケジュール、予算、成功基準の定義)、部門長決裁の取得。全社展開の意思決定ではないため、承認のハードルは比較的低い 人事部門、パイロット対象部門長、経営層(報告レベル)
1〜2 IT・セキュリティ審査
(並行で実施)
テスト基盤候補のSaaSについて、IT部門の情報セキュリティチェックシート対応。データ保管先、暗号化方式、SSO対応、ISMS認証の有無などの確認。大企業では1〜3か月かかることもあるため、早めに着手する 人事部門、IT部門、テスト基盤ベンダー
2〜3 スキル体系の整理 パイロット対象職種の現場ヒアリング(3〜5回)、スキルマップ作成、出題カテゴリとレベルの定義。1部門に限定しているため、全社横断の合意形成は不要 人事部門、現場管理職・ベテラン社員、(外部コンサルタント)
3〜4 問題作成・レビュー 問題原案の作成(60〜70問 ※本番50問+予備)、選択肢・解説の設計、専門家による妥当性レビュー、難易度の調整 問題作成担当(社内 or 外部)、監修者
4 システム設定・受験環境確認 テスト基盤への問題登録、受験フローの設定、受験者アカウントの準備。対象部門の受験用端末・ネットワーク環境の事前確認(オフィス外勤務者がいる場合は受験場所の手配) 人事部門、IT部門、テスト基盤ベンダー
5 パイロット実施 対象部門への目的説明・受験案内、パイロット試験の実施(50〜200名)、結果の集計・分析、受験者アンケートの実施 人事部門、パイロット受験者、パイロット部門管理職
6 成果検証・全社展開起案 パイロット成果レポートの作成(合格率、スキル分布、受験者の満足度、運用課題と改善策)、全社展開の企画書作成、経営層への報告・全社展開の承認取得 人事部門、経営層

Phase 2:全社展開(全部門・数百〜数千名規模)

工程 主な作業内容 関わる人
7〜8 制度設計・労務レビュー 検定結果の活用方針の確定(評価連動 or 参考情報のみ)、就業規則への反映要否を法務・労務と確認。評価連動の場合は就業規則変更→労基署届出が発生しうる。労働組合がある企業では労使協議も必要(数か月かかることもある) 人事部門、法務部門、労務担当、労働組合
7〜9 追加職種の検定構築 パイロットの設計パターンを横展開。追加対象職種のスキル体系整理、問題作成、レビュー。パイロットで確立した手順があるため、1職種あたりの構築期間は短縮できる 人事部門、各部門の管理職・ベテラン社員、問題作成担当
9 受験環境の全社整備 全拠点の受験端末・ネットワーク環境の調査、店舗・工場・現場勤務者の受験場所の手配。人事システムとの連携(受験者マスタの同期、結果データの自動連携など)の要否と対応 IT部門、各拠点の管理者、テスト基盤ベンダー
10 社内周知・管理職説明会 管理職向け説明会の実施(目的・運用ルール・部下への伝え方の共有)、全社告知(社内ポータル・メール)、受験者向けFAQの整備。「いきなり受験しろと言われた」という反発を防ぐために最低2〜4週間は周知期間を確保する 人事部門、全管理職、広報・社内コミュニケーション担当
11〜12 全社本番実施・結果分析 全対象者への受験案内・リマインド、本番試験の実施(受験期間を2〜4週間設定し、現場の繁忙を考慮)、結果の集計・分析(全社・部門別・カテゴリ別)、合格者への通知・認定、経営層へのレポート 人事部門、受験者全員、各部門管理職、経営層

💡 スケジュール全体のまとめ

Phase 1(パイロット):約6か月 … 事前根回しからパイロット実施・成果検証まで。1部門に閉じるため、IT審査を早期に並行着手すること以外は比較的スムーズに進められます。
Phase 2(全社展開):+4〜6か月 … 制度化・労務レビュー、追加職種の構築、全社周知を経て本番実施まで。労働組合との協議や就業規則変更が発生する場合はさらに数か月延びる可能性があります。
合計の目安:10〜12か月(検定結果を人事評価に正式連動させる場合は12〜18か月を見込んでおくと安全です)

最大の変動要因は「検定結果をどこまで人事制度に連動させるか」です。初年度は「参考情報」として運用し、2年目以降に段階的に評価連動を検討する方法を採れば、労務レビューや組合協議の工数を初年度から切り離すことができ、スピーディーに立ち上げられます。

5-3. 経営層向け:投資対効果の考え方

社内検定の投資対効果(ROI)を「導入前後で売上がいくら増えたか」で測ることは困難です。しかし、稟議で経営層を説得する際には、以下の観点で効果を定量化・可視化できます。

コスト削減の観点として、紙ベースの試験からオンライン化することで、会場費、問題用紙の印刷・配送費、試験監督の人件費、採点の人件費が削減されます。全国10拠点で年1回実施していた紙試験をオンライン化した場合、会場費・印刷費・交通費だけでも年間数百万円の削減になるケースがあります。

次に育成効率の向上です。 受験データから弱点領域を特定し、研修プログラムを最適化できます。「全員一律」から「弱点に絞った内容」に変えることで、育成にかかる時間と費用の効率が上がります。

離職コストの低減も見逃せません。 ラクテスの調査では、20代の92.5%がスキルアップ機会があれば定着意向を示しています。若手社員1名の離職・再採用コストは、一般に年収の0.5〜1.5倍とされます。社内検定を通じたキャリアパスの可視化によって離職を1名でも防げれば、検定の構築費用は十分に回収できるでしょう。

さらに、人的資本開示への対応としても活用できます。 2023年3月期から上場企業に義務化された人的資本開示において、「スキル向上の取り組み」は開示項目の一つです。社内検定の合格率やスキルマップの整備状況は、定量的な開示データとして活用できます。

6. よくある質問(FAQ)

社内検定の構築にどのくらいの期間がかかりますか?

初回の構築には概ね3〜6か月が目安です。最大の変動要因はスキル体系の整理(Step 2)で、社内の関係者調整を含めるとここだけで1〜3か月かかることがあります。

社内検定の問題数はどのくらいが適切ですか?

選択式なら30〜50問、記述式を併用する場合は選択30問+記述2〜3問が一般的です。カテゴリが多い場合は、カテゴリごとに5〜10問のバランスで設計します。

社内検定はどのくらいの頻度で実施すべきですか?

年1回が一般的です。不合格者へのフォローを重視する場合は、半期ごとに再受験の機会を設けている企業もあります。

社内検定の合格率の目安はありますか?

目的によります。「スキルの底上げ」が目的なら70〜80%台が望ましく、「選抜」が目的なら30〜50%台に設定する場合もあります。初回は合格率が読めないため、トライアルで調整しましょう。

社内検定と既存の研修制度はどう棲み分ければよいですか?

研修は「教える」仕組み、社内検定は「測る」仕組みです。研修の修了をもって検定の受験資格とする、検定の結果から弱点領域を特定して次の研修に反映する、という循環をつくると相乗効果が生まれます。

社内にノウハウがなくても社内検定を構築できますか?

可能ですが、特にスキル体系の整理(Step 2)と問題作成(Step 3)は専門性が求められます。多くの企業が外部の専門家を活用しています。ラクテスでも、試験の設計から問題作成、専門家監修まで一貫して支援しています。

社内検定の導入で経営層を説得する材料として何が有効ですか?

「スキルの可視化により研修投資のROIが測定可能になる」「人的資本開示の文脈でスキルデータを対外的に示せる」「若手の定着率向上(ラクテス調査:92.5%がスキルアップ機会で定着意向)」の3点が、稟議で使いやすいポイントです。

7. 参考資料・リンク集

本記事で参照した主要な資料を一覧にまとめます。すべて無料でアクセス可能です。

厚生労働省の資料

No. 資料名 内容
1 社内検定認定制度 公式ページ 制度概要、認定企業一覧、Q&A、申請手続き等
2 認定社内検定 活用事例集(PDF・12.9MB) 16社の導入事例(2025年3月時点)
3 職業能力検定構築マニュアル(PDF) 社内検定の構築手順を体系的に解説(2024年11月作成)
4 令和6年度 能力開発基本調査 企業・事業所・労働者の能力開発実態に関する年次調査

経済産業省・調査研究機関の資料

No. 資料名 内容
5 人材版伊藤レポート2.0(PDF) 人的資本経営の方向性(2022年5月)
6 人的資本経営コンソーシアム 好事例集(PDF) 人的資本経営に取り組む企業の先進事例(2023年10月)
7 JILPT 調査シリーズNo.142 企業における資格・検定等の活用に関する調査(2015年)
8 帝国データバンク リスキリング調査 スキル可視化ニーズ52.1%のデータ元(2024年)
9 パーソルイノベーション リスキリング実態調査 DX・AI時代のリスキリング実態に関する調査(2025年1月)
10 ラクテス リスキリング・スキルアップに関する調査 20代92.5%・30代93.7%がスキルアップ機会で定着意向(2024年)

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ラクテスでは、社内検定制度の設計から運用までを一貫してサポートしています。700種類以上のテストを作成してきた専門チームが、以下のようなご相談にお応えします。

こんな課題をお持ちの企業様からご相談いただいています

  • 「社内検定を導入したいが、スキル体系の整理から手が止まっている」
  • 「研修はやっているが、効果を客観的に測る仕組みがない」
  • 「問題の作成を自社でやってみたが、品質に自信がない」
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ラクテスの支援内容

  • スキル体系の整理・試験設計のコンサルティング
  • 試験問題の作成代行(択一式・記述式・実技など多様な形式に対応)
  • 専門家監修による問題の品質担保
  • オンラインテスト基盤の提供(全国どこからでも受験可能)
  • 作成した問題の著作権はすべてお客様に譲渡
  • ISMS(ISO/IEC 27001)取得済み・秘密保持契約(NDA)にも対応

「まずは話を聞いてみたい」だけでもお気軽にどうぞ。貴社の課題に合わせた最適な進め方をご提案いたします。

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※ 本記事の内容は2026年2月時点の公開情報に基づいています。各資料の最新版については、記事中および「参考資料・リンク集」のリンクからご確認ください。社内検定制度の設計は、貴社の人事制度・業務要件に合わせたカスタマイズが必要です。

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