「社内アンケートを実施したいが、どのような質問をすればいいかわからない」「従業員の本音を引き出し、業務改善につなげたい」とお悩みではありませんか。
社内アンケートを成功させる鍵は、「回答者の心理的ハードルを下げ、本音を引き出す設計」にあります。そのためには、適当に質問を並べるのではなく、組織心理学などの理論に基づいた項目選定が不可欠です。
本記事では、そのまま使える社内アンケートの例文40選を公開します。業務改善に直結する質問項目から、回答率を高める前置きの書き方、運用ノウハウまで網羅的に解説します。
目次
社内アンケートを実施する目的とメリット
社内アンケートは、いわば「組織の健康診断」です。従業員が感じている課題や不満、満足している点を数値化して客観的に把握し、組織改善につなげるために実施します。日常業務では表に出にくい意見や「本音」を集められる点が大きな特徴です。
例えば、職場環境や業務負荷に関するアンケートを行うことで、長時間労働や業務の偏りといった問題を可視化できます。また、人間関係や評価制度に関する質問を設けることで、離職につながりやすい要因を早期に把握することも可能です。
社内アンケートを継続的に実施することで、従業員満足度の向上が期待できます。自分の意見が会社に反映されるという成功体験を積み重ねることで、会社への信頼感やエンゲージメントが高まり、組織全体のコミュニケーション活性化にもつながります。
社内アンケートの主な種類
社内アンケートは、その目的によって最適な手法が異なります。自社の現状を正しく把握するためには、解決したい課題に合わせて適切な形式を選択することが、施策の成否を分ける鍵となります。
最も一般的な手法が「従業員満足度調査(ES調査)」です。これは仕事内容、評価の適正さ、福利厚生といった多角的な視点から現状の満足度を測定するもので、主に定着率の向上や職場環境の整備を目的に導入されます。
これに対し、近年注目を集めているのが「エンゲージメント調査」です。単なる現状への満足度にとどまらず、従業員が企業のビジョンにどれほど共感し、主体的に貢献したいと考えているかという「心理的な結びつき」の強さを測定します。組織の生産性を高め、一丸となって目標へ向かう文化を醸成したい場合に有効です。
このほか、心の健康状態を定期的に確認する「ストレスチェック」や、短期間に数問程度の簡易的な調査を繰り返す「パルスサーベイ」なども重要な役割を担います。特にパルスサーベイは、組織の細かな変化をリアルタイムで検知し、迅速なフォローアップを可能にする手法として、変化の激しい現代の企業経営において欠かせないツールとなっています。
質問作成に役立つ「二要因理論」とは
社内アンケートの質問項目を設計する際、感覚的に項目を並べるだけでは、表面的な結果しか得られない可能性があります。そこで重要となるのが、臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した「二要因理論」というフレームワークです。
この理論の最大の特徴は、仕事における「満足感」と「不満」を引き起こす要因は、決して表裏一体ではないと定義している点にあります。具体的には、満足度を高める「動機付け要因」と、不満を解消・抑制するための「衛生要因」という2つの軸に分けて考えます。
アンケート設計にこの理論を取り入れることで、「今の仕事になぜ満足しているのか」「何が原因で不満が生じているのか」を明確に切り分けて分析できるようになります。単に不平不満を取り除くだけでなく、従業員がより前向きに、自発的に働ける組織へと導くための「業務改善に向けた確かな示唆」を得ることが可能になるのです。
動機付け要因(満足度を高める要素)
動機付け要因とは、仕事そのものや、そこから得られる「精神的な報酬」を指します。達成感、自己成長の実感、あるいは他者からの承認といった要素がこれに該当します。これらが満たされることで、従業員の中に自発的な意欲(インセンティブ)が芽生え、組織に対する主体性が高まります。
具体的には、業務内容へのやりがい、成果に対する正当な評価、責任ある役割の付与、そして将来のキャリア形成を支える成長機会などです。興味深いことに、これらは不足していても直ちに強い不満(離職)に直結するわけではありません。しかし、充実させることで「この会社でこそ、自分の力を発揮したい」というポジティブなエンゲージメントを醸成する強力な武器となります。
社内アンケートにこれらの項目を組み込むことで、従業員の「やる気の源泉」を可視化し、個々のポテンシャルを最大限に引き出すためのヒントを得ることが可能になります。
衛生要因(不満を減らす要素)
衛生要因とは、いわば「組織のインフラ」であり、欠けていると従業員に強いストレスや不満を生じさせる要素です。代表的なものとして、給与体系や福利厚生、労働時間の適切さ、職場における対人関係、そして経営陣の方針などが挙げられます。
これらの要因は、物理的な不満を解消する役割を担っています。注意すべきは、たとえこれらが完璧に整備されたとしても、それだけで従業員の意欲が無限に高まるわけではないという点です。しかし、不足すれば瞬く間に「負の感情」が蓄積し、離職の決定的な引き金となります。
業務改善を検討する際、まず優先して着手すべきはこの「衛生要因」です。社内アンケートを通じて、従業員がどこにストレスを感じているのか、組織の土台にどのような歪みが生じているのかを的確に把握し、迅速な打ち手につなげることが重要です。
【例文30選】本音を引き出す質問項目一覧
社内アンケートにおいて、従業員の「本音」を正しく引き出すためには、質問の切り口と回答のしやすさを両立させる設計が不可欠です。ここでは、先述した二要因理論に基づき、実務でそのまま活用できる質問例を厳選しました。
各項目は、集計・分析が容易な「選択式」を基本としています。回答者の心理的負担を軽減しながらも、組織の課題を浮き彫りにするための構成となっています。
基本情報(属性)
属性情報は、収集した膨大な回答データを意味のある「情報」へと変えるための重要な切り口となります。所属部署や年代、役職といった属性を把握することで、組織のどこに課題が潜んでいるのかをピンポイントで特定できるようになります。
【主な属性項目の例】
- 性別
- 年齢・年代
- 役職(一般職、マネジメント層など)
- 所属部署
- 勤続年数
これらの項目を掛け合わせて分析することで、「入社3年目前後の層で成長実感が停滞している」「特定の部署で業務負荷が極端に高まっている」といった傾向を把握しやすくなります。
動機付け要因の質問例
従業員が仕事に対して抱く「誇り」や「充実感」を可視化する項目です。これらを把握することで、適材適所の配置や、個々の能力を最大限に引き出す業務設計が可能になります。
仕事内容・やりがい
業務への適性や、組織への貢献実感を問う5つの質問例です。
| 質問例 | 回答例 | |
| 1 | 現在の業務について、やりがいをどの程度感じていますか? | ・とても感じている ・比較的感じている ・あまり感じていない ・全く感じていない |
| 2 | 現在の業務内容は、自身の強みやスキルを活かせていますか? | ・十分に活かせている ・ある程度活かせている ・あまり活かせていない ・全く活かせていない |
| 3 | 仕事の中で、最も満足感を感じるのはどんなときですか? | ・目標を達成したとき ・自身の成長を実感できたとき ・チームや仲間と成果を分かち合えたとき ・顧客や社外から感謝の言葉をかけられたとき ・その他(自由記述) |
| 4 | 仕事の中で、自分の意見や提案が反映されることはありますか? | ・よくある ・ときどきある ・あまりない ・全くない |
| 5 | 自分の仕事がチームや組織に貢献している実感はありますか? | ・かなりある ・ある程度ある ・あまりない ・全くない |
成長・キャリア形成
従業員が自身の将来像を社内で描けているかを把握します。これらの回答を分析することで、個々の意欲に基づいた配置転換(ジョブローテーション)や、効果的な研修プログラムの構築に役立てることができます。
| 質問例 | 回答例 | |
| 1 | 現在の業務を通じて、十分なスキルや知識が身についていると感じますか? | ・非常に感じている ・ある程度感じている ・あまり感じていない ・全く感じていない |
| 2 | 自身の目指すべきキャリアパスが、社内で明確に示されていると感じますか? | ・明確に示されている ・ある程度示されている ・あまり示されていない ・全く示されていない |
| 3 | 自身の成長を支援する研修や学習の機会は、十分に提供されていますか? | ・十分である ・ある程度足りている ・不足している ・全く提供されていない |
| 4 | 現在、自身のキャリア形成において最も役立っている要素は何ですか? | ・上司やメンターからの適切な指導やサポート ・チームメンバーとの切磋琢磨や協力関係 ・担当業務を通じたフィードバックや評価 ・社内の教育プログラムや研修制度 ・その他(自由記述) |
| 5 | 今後のキャリアにおいて、あなたが最も重視したい要素を教えてください。 | ・特定分野の専門性の向上 ・マネジメント能力やリーダーシップの習得 ・難易度の高い、挑戦的なプロジェクトへの参画 ・成果に応じた収入・報酬の向上 ・自己実現や、社会貢献度の高い業務への従事 ・その他(自由記述) |
承認・育成
上司からの正当な評価や質の高いフィードバックは、従業員の自己効力感を高め、組織への定着意欲(リテンション)に大きく寄与します。評価の「結果」だけでなく、その「プロセスや透明性」を問うことが重要です。
| 質問例 | 回答例 | |
| 1 | あなたの成果や努力に対して、上司からの評価は適切(妥当)だと感じますか? | ・非常に適切である ・ある程度適切である ・やや不適切である ・非常に不適切である |
| 2 | 上司からのフィードバックは、業務改善やスキルの向上に役立っていますか? | ・とても役立っている ・ある程度役立っている ・あまり役立っていない ・全く役立っていない |
| 3 | あなたは、どのような形で「承認(評価)」されることに最もモチベーションを感じますか? | ・上司や同僚からの「感謝」や「賞賛」の言葉 ・定期的な面談を通じた、納得感のあるフィードバック ・昇進や昇格、重要なプロジェクトへの抜擢 ・全社的な場での表彰や、成果の公表 ・その他(自由記述) |
| 4 | 現在の職場で、新しい業務やより大きな役割に挑戦する機会は十分にありますか? | ・十分にある ・ある程度ある ・あまりない ・全くない |
| 5 | 会社の評価基準や昇進に関する方針は、従業員にわかりやすく共有されていますか? | ・十分に共有されている ・ある程度共有されている ・あまり共有されていない ・全く共有されていない |
衛生要因の質問例
衛生要因は、組織の「土台」となる部分です。ここでの不備は従業員の強いストレスや突発的な離職に直結するため、まずは現状の課題を把握することが重要です。
職場環境・業務負荷
労働時間や業務量、オフィス設備などの物理的な負荷を可視化します。これにより、人員配置の最適化やインフラ投資の優先順位を判断できるようになります。
| 質問例 | 回答例 | |
| 1 | 現在の労働時間(残業時間を含む)の長さについて、どのように感じますか? | ・適切である ・やや長いが許容範囲内である ・負担に感じる ・限界である |
| 2 | 業務量の多さについて、どのように感じますか? | ・適切で余裕がある ・ときどき忙しいが、ほぼ対応できている ・業務量が多く、対応が難しいと感じることがある ・業務量がいつも過剰で、対応できていない |
| 3 | オフィスの環境や設備について、改善してほしい点はありますか? | ・作業スペースの拡張 ・休憩室やリラックスできる共用スペースの充実 ・個別で集中できるブースや静かな場所の確保 ・照明、空調、ITツール(PC・ネット環境)の刷新 ・特になし ・その他(自由記述) |
| 4 | リモートワークや時差出勤、時短勤務などの制度は、利用しやすいと感じますか? | ・非常に利用しやすい ・ある程度利用しやすい ・やや利用しづらい ・非常に利用しづらい |
| 5 | 業務負荷が特定の人に偏っていると感じますか? | ・全く偏っていない ・多少の偏りを感じる ・明らかに偏っている ・わからない |
人間関係(上司・同僚)
人間関係の質は、働きやすさだけでなく、生産性やメンタルヘルスの安定に直結します。ここでは、単なる仲の良さではなく、スムーズな連携や心理的安全性(気兼ねなく発言できる環境)が確保されているかを確認します。
| 質問例 | 回答例 | |
| 1 | 上司とのコミュニケーションにおいて、気軽に相談や意見交換ができる雰囲気がありますか? | ・非常に相談しやすい ・ある程度は相談できている ・やや相談しにくい ・ほとんど相談できない |
| 2 | 同僚との仕事の進め方について、どの程度満足していますか? | ・非常に満足している ・ある程度満足している ・やや不満がある ・非常に不満がある |
| 3 | 業務で行き詰まった際の上司や周囲からのサポートについて、どのように感じますか? | ・十分なサポートがある ・ある程度サポートがある ・ややサポートが不足している ・ほとんどサポートがない |
| 4 | ハラスメントの相談窓口や対応体制は、社内で有効に機能していると感じますか? | ・十分に機能している ・ある程度機能している ・あまり機能していない ・全く機能していない |
| 5 | 職場での「発言のしやすさ」について、あなたの実感に最も近いものはどれですか? | ・自分の意見や懸念を、いつも安心して発言できる ・大抵の場合は、安心して発言できる ・発言するのをためらうことがたびたびある ・本音での発言はほとんどできない |
経営方針・組織風土
会社のビジョンが浸透しているか、そして従業員が「会社の一員」として尊重されているかを確認します。情報の透明性や、現場の意見を汲み上げる文化の有無は、組織の機動力に大きな影響を与えます。
| 質問例 | 回答例 | |
| 1 | 会社の経営理念やビジョンを理解していますか? | ・深く理解している ・ある程度理解している ・断片的にしかわからない ・ほとんど知らない |
| 2 | 会社の方針や決定事項は従業員に共有されていると感じますか? | ・非常にそう感じる ・ある程度そう感じる ・あまり感じない ・全く感じない |
| 3 | 従業員の意見や提案が、実際の業務プロセスや社内制度に反映される仕組み・機会はありますか? | ・反映される仕組みがあり、実感も伴っている ・意見を伝える機会はあり、一部は反映されている ・意見を伝える場はあるが、反映されている実感はない ・現場の意見が届く仕組みはほとんどない |
| 4 | 組織全体に、新しい挑戦や改善を歓迎・推奨する雰囲気はありますか? | ・常に推奨されている ・ときどき推奨されている ・あまり推奨されていない ・ほとんど推奨されていない |
| 5 | 経営におけるコンプライアンスや倫理に関する取り組みは、どの程度実行されていると思いますか? | ・十分に実行されている ・ある程度実行されている ・あまり実行されていない ・ほとんど実行されていない |
待遇・福利厚生
給与や評価、休暇の取りやすさは、従業員が安心して働き続けるための「安全網」です。ここへの不満は離職の直接的な引き金となるため、公平性と納得感の観点から現状を確認します。
| 質問例 | 回答例 | |
| 1 | 現在の給与水準や手当などの処遇について、ご自身の役割や貢献度に対してどのように感じていますか? | ・非常に満足(妥当)である ・概ね妥当である ・やや不足している ・強い不満がある |
| 2 | 会社の人事評価は、成果やプロセスが正当に反映され、公平に運用されていると感じますか? | ・非常に公平である ・概ね公平である ・やや不公平を感じる ・全く公平ではない |
| 3 | 有給休暇や特別休暇について、周囲に気兼ねなく、自身の希望するタイミングで取得できていますか? | ・非常に取得しやすい ・概ね取得できている ・ときどき取得しにくいと感じることがある ・希望のタイミングではほとんど取得できない |
| 4 | 会社の福利厚生制度は、あなたの生活やモチベーションに寄与していますか? | ・非常に役立っており、満足している ・一部の制度は役立っている ・制度はあるが、利用しにくい ・どのような制度があるかよく知らない |
| 5 | 現在の処遇や福利厚生について、最も改善を希望する点はどこですか? | ・給与・賞与の引き上げ ・評価基準の明確化と透明性の向上 ・休暇の取りやすさや、ワークライフバランスの改善 ・各種手当や福利厚生メニューの拡充 ・その他(自由記述) |
自由記述(フリーコメント)
自由記述は、選択式の数値データだけでは見えてこない「具体的な背景」や「改善のヒント」を吸い上げるための非常に重要な項目です。定量調査で明らかになった課題に対し、「なぜそう感じるのか」という従業員の真意を理解するための補完情報として活用します。
| 質問例 | 得られる回答の想定 | |
| 1 | 現在の業務内容や職場環境において、特に改善が必要だと感じる点があれば、具体的にお聞かせください。 | ・業務量の偏りを見直してほしい ・情報共有の仕組みを改善してほしい |
| 2 | あなたがより働きやすく、意欲を持って取り組める組織にするために、会社に対して期待することは何ですか? | ・柔軟な働き方の拡充 ・評価基準の明確化 |
| 3 | 上司や部署の運営について、日頃感じている意見や要望があれば自由にご記入ください。 | ・フィードバックの機会を増やしてほしい ・相談しやすい雰囲気をつくってほしい |
| 4 | 現在の制度や仕組み、組織文化の中で「これは良い」「今後も続けてほしい」と感じている点はどこですか? | ・休暇制度が利用しやすい ・チーム内の連携が良い |
| 5 | その他、経営全般や会社全体の将来について、伝えたい意見やアイデアがあれば自由にご記入ください。 | ・経営方針や意思決定の背景を、もう少し丁寧に説明してほしい ・現場の意見が経営層に届く仕組みを明確にしてほしい |
【例文】依頼メールと冒頭文の書き方
社内アンケートの成功は、最初の「伝え方」で決まります。従業員が「自分の声が会社を変える」と確信し、安心して本音を書けるよう、依頼メールと冒頭文を丁寧に作成しましょう。
件名の例
件名は一目で「重要度」と「期限」が伝わることが重要です。
(例1:標準的)
【重要】職場環境改善に向けたアンケートご協力のお願い
(例2:期限を強調)
【○/○〆切】社内アンケート実施のお知らせ(所要時間◯分)
(例3:メッセージを重視)
より良い職場づくりのため、皆様の声をお聞かせください
本文の例
従業員の皆様
お疲れ様です。◯◯部の◯◯です。
この度、当社では「より働きやすい職場環境の構築」と「業務プロセスの改善」を目的とした社内アンケートを実施いたします。
皆様が日頃感じている率直な意見を伺い、実効性のある施策へとつなげていきたいと考えております。お忙しい中恐縮ですが、ご協力をお願い申し上げます。
【アンケート概要】
・回答用URL:[URLを挿入]
・回答期限:◯月◯日(◯)まで
・所要時間:約◯分程度
アンケート冒頭文(前置き)の例
アンケートにご協力いただきありがとうございます。
本調査は、従業員の皆様の満足度向上と、現場の課題発見を目的としたものです。
回答内容は厳重に管理され、特定の個人が不利益を被ることは決してありません。収集したデータは、職場環境の改善や新制度の検討にのみ活用させていただきます。
皆様の率直なご意見をお待ちしております。
回答しやすい設計のコツ
回答者の負担を軽減し、完了率を高める
回答率を高める最大の鍵は、回答者の負担を軽減することです。質問数が多すぎると、途中で意欲が削がれ、最後まで答えきれずに中断してしまう原因となります。
調査目的に直結する項目のみを厳選し、5分程度で完了するボリュームに抑えましょう。また、事前に「5分で回答できます」と目安時間を伝えることで、回答を始める際の心理的なハードルを下げられます。
誘導質問(バイアス)を避ける
誘導質問とは、特定の回答へ誘導するような表現を含む質問のことです。これを用いると、従業員の本音ではなく「会社が望む答え」ばかりが集まってしまい、組織の本当の課題を見落とす恐れがあります。
【例:表現の改善】
不適切な例: 「現在の職場は、働きやすいと感じていますか?」
中立的な例: 「現在の職場の働きやすさについて、どのように感じていますか?」
質問文からは主観的、あるいは感情的な言い回しを徹底的に排除しましょう。事実や率直な感じ方をそのまま選択できる形に整えることで、経営判断に役立つ「純度の高いデータ」を得やすくなります。
匿名性とプライバシーへの配慮
本音を引き出すための大前提は、回答者のプライバシーが守られていることです。「回答内容から個人が特定され、評価に響くのではないか」という不安があると、どうしても当たり障りのない回答が増えてしまいます。
個人が識別されやすい属性情報の取得は必要最小限にとどめましょう。また、数名しかいない部署を単独で集計すると個人の特定につながりやすいため、複数の部署をまとめて分析するといった実務上の配慮も欠かせません。あらかじめ「回答内容は統計的に処理され、改善の目的以外には使用しない」という方針を明確に伝えることが、信頼醸成の第一歩です。
回答率を上げる運用の工夫
アンケートを形骸化させないためには、実施期間の設定やリマインド(再通知)などの丁寧な運用が必要です。回答期限が近づいたタイミングで、「皆様の声がより良い職場づくりに不可欠です」とあらためて協力を仰ぐことで、回答率の底上げが期待できます。
そして、最も重要なのが「結果のフィードバック」です。アンケート後に、どのような意見が集まり、会社としてどう動くのかを後日共有するようにしましょう。
たとえ大きな制度変更は難しくても、「休憩室の備品を補充した」「会議のルールを見直した」といった小さな改善を伝えるだけで、「自分の声が会社を変えた」という実感が生まれます。
社内アンケートに関するよくある質問(Q&A)
社内アンケートを実施する際に、多くの担当者が直面する疑問について、実務の視点からお答えします。
Q1. 回答率が低いときの対策は?
回答率が伸び悩む最大の要因は、アンケートの目的が従業員に自分事として伝わっていないことにあります。実施前に「なぜ今、この調査が必要なのか」「集まった意見をどう活用し、職場を変えていくのか」というストーリーを丁寧に発信しましょう。
また、物理的なハードルを下げることも重要です。質問数を極限まで絞り、業務の合間に負担なく答えられる設計にすることや、未回答者に対して「あなたの声が改善に不可欠です」といったリマインドを適切なタイミングで行うことが、回答率の底上げに直結します。
Q2. 適切な実施頻度は?
アンケートの目的によって理想的なサイクルは異なります。 組織全体の現状把握やエンゲージメント(愛着心)の測定を目的とする場合は、年に1〜2回の定期調査が一般的です。定点観測を行うことで、組織の経年変化を捉えやすくなります。
一方で、新しい施策への反応や、職場のコンディション変化をリアルタイムで把握したい場合は、数問程度の簡易的な調査を四半期ごと、あるいは月1回のペースで実施する手法(パルスサーベイ)も有効です。自社の課題のスピード感に合わせて、無理のない頻度を設定しましょう。
Q3. 記名式と無記名式、どっちがいい?
基本的には、従業員の「本音」を最大限に引き出せる無記名式(匿名)がおすすめです。特に人間関係や経営への不満など、センシティブな内容を含む場合は、匿名性の保証が回答の質を左右します。
一方で、個別の悩みに対して具体的なフォローアップを行いたい場合や、1対1の対話を重視する人材育成が目的の場合は、記名式が有効なケースもあります。まずは匿名で全体の課題を浮き彫りにし、深掘りが必要な箇所について面談や記名式アンケートへ移行するなど、段階を踏むのも一つの手です。
社内アンケートの実施で組織を活性化しよう
社内アンケートを通じて従業員一人ひとりの声を丁寧に拾い上げ、隠れた課題を可視化することは、企業の健全な成長に欠かせないプロセスといえます。本記事でご紹介した40の質問例文やテンプレートをぜひ活用し、自社の現状を正しく捉えるための精度の高い調査を計画してみてください。
一方で、アンケート実施において多くの担当者が頭を悩ませるのが、その後の「集計と分析に要する膨大な工数」です。手作業でのExcel入力や複雑なグラフ作成に追われ、肝心である「改善策の検討」に十分な時間を割けないという状況は少なくありません。
こうした実務上の負担を軽減するのが、スキル・適性検査・アンケートツール「ラクテス」です。
ラクテスは、直感的な操作で簡単にアンケートを作成できるだけでなく、発行されたURLを従業員に送付するだけでスムーズに調査を開始できます。さらに、回収した回答結果はエクセル形式で一括ダウンロードが可能なため、点数の管理や属性ごとの集計・比較も効率的に進められます。
ラクテスは無料登録から気軽にお試しいただくことが可能です。アンケート調査の具体的な作成方法については、以下のガイドも併せてご覧ください。