ポテンシャル採用とは? メリット・デメリットと失敗しないためのポイント

「ポテンシャル採用」という選考方法をご存じでしょうか? 「聞いたことはあるがよく分からない」という方に向けて、ポテンシャル採用の意味や注目を集めている背景について詳しく解説します。また、ポテンシャル採用を導入するメリット・デメリット、導入のポイントを解説します。

ポテンシャル採用とは

ポテンシャル(potential)とは、英語で「潜在能力」「可能性」「将来性」を意味します。「ポテンシャル採用」とは、応募者の現在の能力や経験をもとに採用を判断するのではなく、数年後に活躍できる見込みがあるかどうかを見て採用する方法です。

新卒採用、中途採用との違い

新卒採用とポテンシャル採用では、応募者の将来性を重視するという点では同様ですが、採用時期と採用対象者が異なります。新卒採用では「〇年に大学を卒業する者」「卒業後3年以内の者」など採用対象を限定しているのに対し、ポテンシャル採用では最終学歴から経過した年数について特に基準を設けません。また新卒採用は年に1,2度の定期採用が一般的ですが、ポテンシャル採用は不定期で行われます。

中途採用はポテンシャル採用と同じく採用時期は不定期ですが、中途採用では即戦力となる人材や、スキル・経験を持った人材を求めることが一般的です。一方ポテンシャル採用では、スキルや経験を不問とすることがほとんどです。

何歳までが対象か?

ポテンシャル採用の対象年齢は明確に決まっているわけではありませんが、主に20代の求職者を対象とする企業が多いです。就職後2~3年未満で離職した若手の求職者(第二新卒)や、研究・留学などの理由で学校卒業時に就職しなかった人が主な対象です。30代以降は即戦力を求める中途採用の対象となるケースが一般的です。

ポテンシャル採用を導入する目的

少子高齢化に伴って、どの業界や企業でも若手人材が不足し、採用市場は競争が激しくなっています。そんな中、即戦力となる人材のみに絞って採用活動をしても難航するケースが多いことから、経験者以外も採用対象とするポテンシャル採用が増えています。採用対象の幅を広げることで、自社で活躍できる人材を獲得できる可能性が高まります。

ポテンシャル採用のメリット

ポテンシャル採用を導入することで、従来の採用形態では出会えなかったような人材を獲得できるなど様々なメリットが期待できます。以下にそのメリットについて詳しく解説します。

優秀な人材を採用しやすい

仕事に対する高い意識を持った若手人材は、自分の目指すキャリアについて主体的に考えます。そのため、適性にマッチした環境を求めて転職を考える人が多く存在します。成長意欲が高い若手は「自分のやりたいことに挑戦したい」「自分の力を試したい」と考える人も多く、希望を実現できるのであれば会社規模は問わないと考える人も少なくありません。ポテンシャル採用を導入することで、そのような意欲的で優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。

数年の社会人経験がある若手人材は、すでに基本的なビジネススキルを身につけています。社会人としての最低限のマナーや言葉遣いなどを教育する時間やコストがかからないことも、ポテンシャル採用のメリットです。

多様性のある組織が生まれイノベーションが期待できる

毎年同じ採用方法を取り続けると、社内の人材が同質化してしまい、新たなアイデアを生み出すことが困難になってしまいます。多様性に富んだ人材を集められるポテンシャル採用なら、幅広い業種・職種の人材を集められるため、これまでに社内にいなかったタイプの人材から新しい知見を得られるでしょう。

企業の若返りと世代交代

ポテンシャル採用で年齢の若い従業員を採用すると、従業員の年齢層の偏りを是正することができるというメリットがあります。

現代ではAIやクラウド技術、IoTなどのデジタル技術が急速に発展しており、ビジネスを取り巻く環境は著しく変化しています。また顧客の消費行動やニーズも多様化しています。

そのため企業には、そのような環境変化に対して柔軟に対応していくことが求められます。若手の意見を取り入れることで、時流に合ったビジネス戦略を立てやすくなるでしょう。

また若手を採用することで、将来の幹部候補やリーダー候補を育成できるようになります。早期に次の世代にバトンを渡すことで、企業を安定的に存続させ、発展させ続けることにつながります。

ポテンシャル採用のデメリット

企業に新しい風をもたらすポテンシャル採用ですが、メリットが多くある一方でデメリットも存在します。以下でポテンシャル採用のデメリットについても解説します。

未経験者採用時の育成コスト

前述した通り、ポテンシャル採用ではスキルや経験を問わずに採用を行うため、専門知識などについてはある程度の育成が必要であることがデメリットです。一人前に業務を遂行できるようになるまでには、時間と費用のコストがかかることを認識しておく必要があります。

ミスマッチによる早期退職の可能性

ポテンシャル採用では業界未経験者も採用しますが、応募者が抱く業界へのイメージと実際の業務にギャップがある場合、ミスマッチによる早期退職の可能性が高くなります。

採用時に職場見学を行ったり、先輩社員との面談を設けたりするなどして、実際の業務内容を理解してもらうようにすると良いでしょう。また、研修の方法や期間、就業場所、就業時間、給与などの採用条件について、しっかりとすり合わせを行うこともミスマッチを防ぐために重要です。

ポテンシャルの見極めが難しい

応募者にポテンシャルがあるかどうかは、数値化・可視化が難しいものです。採用時にポテンシャルがあると判断しても、その判断の正しさは採用後にしか分からないというリスクがあります。

ポテンシャル採用を行うには、採用担当者の勘や経験だけに頼らない仕組みづくりが必要です。

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ポテンシャル採用を失敗させないポイント5選

ここまでポテンシャル採用のメリットとデメリットをお伝えしてきました。以下では、ポテンシャル採用を成功させるためにおさえておきたいポイントを5つに絞ってお伝えします。

【採用前】ポテンシャル採用の基準を明確化する

「ポテンシャルがあるかどうか」についての判断は、主観にもとづいた曖昧なものになりがちです。ポテンシャル採用を行うなら、企業が採用したい人物像について明確に定め、ポテンシャルを測定するための指標を設けることが重要です。

例えば「多くの人と協力して何かを成し遂げた経験がある」「解決が難しい問題でも諦めずに取り組んだエピソードを持つ」「集団のリーダーとしてメンバーをまとめた経験がある」などの項目を基準として設定すれば、前職での経験がなくてもその人の潜在能力を測ることができます。

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【採用前】若者に届く情報発信を行う

ポテンシャル採用に力を入れていることについて、積極的にPRを行います。採用の基準や企業理念、働き方、社員の声などを企業ホームページなどで公開することで、自社の文化に合った人材が集まりやすくなります。また情報の透明性を上げることで、企業への信頼や好感につながります。

20代前半までの若い求職者は、TwitterやInstagramなどのSNSを活用して情報収集を行っています。ポテンシャル採用に興味を持つ若年層の求職者に届くような情報発信を行うことが大切です。

【採用時】ポテンシャルを見極める

採用面接時には、その応募者の考え方の根本となる価値観が分かるような質問を投げかけると良いでしょう。例えば「問題が起こった時に、どのように対処してきましたか?」「チームの中でリーダーシップを発揮したエピソードを教えてください」などの質問がおすすめです。

入社後に活躍できるかどうかを見極めるには、「自主的に学習や情報収集を行っていますか? 」という質問をすることも有効です。業務時間外でも積極的に学習を行う人は、未経験からでも活躍できる可能性が高いです。

目的意識の高さを測るには「なぜこの業界(企業)を選んだのですか?」「入社したらどんなことを実現したいですか?」などの質問を行います。

これらの質問を組み合わせ、企業が想定するポテンシャルを持っているかどうかを見極めましょう。

【採用時】面接と適性検査を組み合わせる

応募者の適性を判断するには、採用担当者の洞察力が問われます。しかし、採用担当者の人数や経験が不足している場合などは、どうしてもマニュアルに沿った面接になってしまい、応募者の能力を適正に測れないことがあります。

そこで、面接と適性検査を組み合わせて実施することをおすすめします。適性検査を行うことで、人材の性格や考え方の傾向などについてデータをもとに判断できます。

オンライン上で簡単に適性検査を作成・実施できるサービス「ラクテス」の適性検査なら、面接だけでは見えない人材の特性やマッチする職業を診断できます。神奈川大学の心理相談センター所長・杉山崇教授が作成した適性検査では、定量化したデータから人材の性格傾向を的確に判断できます。

その他、基礎学力を測るテストなど50種類以上のテストをご用意しています。

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【採用後】戦力化に向けた育成サポート

ポテンシャル採用で入社した人材に対しては、入社後も戦力化に向けたサポートを行うことが重要なポイントです。未経験の人材が一人前になるために必要な研修・教育内容を用意して、万全なサポート体制を整えましょう。

人材の持つ潜在能力を発揮してもらうためには、未経験であることを前提に、じっくりと育てていく心構えを持って接することが必要です。時間と労力をかけて育成し、人材が定着すれば、企業にとってなくてはならない存在へ成長するでしょう。

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まとめ

スキルや経験を問わず、将来性を重視したポテンシャル採用に力を入れる企業が増えています。ポテンシャル採用では20代を中心とした若手の人材確保ができ、企業にとって様々なメリットが得られることをお伝えしました。その一方で、育成コストやミスマッチの発生などのデメリットもあります。ポテンシャル採用を成功させるには、若者に届きやすいSNSでの情報発信をしたり、採用基準を明確化したりするなどの工夫が必要です。

面接だけでは見極められない能力を可視化するには、ラクテスの適性検査を組み合わせることも有効です。無料プランもありますので、ポテンシャル採用を成功させたいとお考えの採用担当者はぜひ一度お試しください。

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