品質管理とは、製品やサービスの品質を一定以上に保つために、設計・製造・出荷・顧客対応までの各プロセスを継続的に管理・改善していく活動です。品質の安定と信頼の確保を目的とし、多様な専門分野と連携して進められます。
今回はそんな品質管理に関わる学問とその活躍領域、そして採用の際に使える学問ごとのテストを紹介していきます!
目次
◆品質管理に関連する学問と活躍領域一覧
学問 | 主な活躍領域 |
1.品質工学 | 自動車産業(信頼性向上)、電機・家電製造業(耐久性・操作性の安定化)、化学・素材産業(性能安定化) など |
2.経営工学 | 製造業全般(生産管理、品質管理、SCM)、コンサルティング業(業務プロセス改革)、物流業(物流システム効率化) など |
3.計測工学 | 自動車産業(部品測定)、精密機械製造業(加工精度検証)、半導体製造業(微細パターン測定) など |
4.生産工学 | 自動車産業(車体溶接、エンジン加工)、電機・電子部品製造業(半導体製造プロセス、部品組立)、金属加工業(高精度加工技術) など |
5.生産システム工学 | 大規模製造業(自動車、電機、食品など)、プラントエンジニアリング業(大規模生産施設設計)、ITソリューションプロバイダー(生産管理システム、MES開発) など |
6.分析化学 | 化学メーカー(原材料・製品の品質分析)、製薬業(医薬品の成分分析、不純物検査)、食品メーカー(成分分析、安全性検査) など |
7.センサ技術 | センサメーカー(各種センサ開発・製造)、自動車部品メーカー(車載センサ開発)、FA機器メーカー(自動化・検査用センサ開発) など |
8.統計的考え方 | 製造業全般(品質データ分析、工程改善)、金融業(リスク分析)、IT・データ分析業(ソフトウェア品質分析) など |
◆学問別解説とテスト
ここからは、各学問ごとに概要・活躍領域・品質管理への貢献・採用の際に使えるテストを紹介していきます!
1.品質工学
概要 | 製品やサービスの品質を設計段階から効率的に、かつ頑丈にするアプローチを追求する学問です。環境変化や予期せぬばらつき(ノイズ)の影響を受けにくい、安定した性能を発揮する「ロバスト性(頑健性)」を持つ製品・プロセスの開発が実現できるようになります。 |
主な活躍領域 | ・自動車産業(信頼性向上) ・電機・家電製造業(耐久性・操作性の安定化) ・化学・素材産業(性能安定化) ・製薬業(品質安定化) ・IT・ソフトウェア業(多様な環境での安定稼働) |
品質管理への貢献 | 開発初期段階で品質を「作り込む」ことで、試作やクレームを減らし、顧客満足度とブランド信頼性を向上させます。 |
テストはこちら! | 品質工学に関する知識地テスト |
2.経営工学
概要 | ヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源を最大限に効率的・効果的に活用するための科学的アプローチを学ぶ学問です。生産性向上、コスト削減、サプライチェーンの最適化、業務プロセスの改善などを目標とし、組織全体のシステムを俯瞰、最適化を実現できます。 |
主な活躍領域 | ・製造業全般(生産管理、品質管理、SCM) ・コンサルティング業(業務プロセス改革) ・物流業(物流システム効率化) ・医療機関(運営効率化、サービス品質向上) ・流通・小売業(在庫・店舗運営最適化) |
品質管理への貢献 | 品質管理を企業全体の経営戦略として位置づけ、生産性向上、コスト削減、顧客満足度向上といった経営目標との連携を図ります。最適な資源配分とプロセス設計を通じ、品質目標達成と経営効率の向上を両立させます。 |
テストはこちら! | 経営工学に関する知識テスト |
3.計測工学
概要 | 長さ、重さ、温度、圧力など物理量を正確に測定する理論・技術・機器を研究します。測定の原理の深い理解、高精度な機器の設計、厳格な精度管理、そして測定結果の不確かさ評価といった専門的なアプローチが可能になり、信頼性の高いデータ取得を実現できるようになります。 |
主な活躍領域 | ・自動車産業(部品測定) ・精密機械製造業(加工精度検証) ・半導体製造業(微細パターン測定) ・医療機器製造業(性能測定) ・国家標準機関(計測標準の維持) |
品質管理への貢献 | 製品・工程の品質特性を客観的に数値化し、不良検出や異常把握のための信頼性の高いデータを提供します。正確な測定は、品質管理の基盤です。 |
テストはこちら! | 計測工学に関する知識テスト |
4.生産工学
概要 | 材料から製品を製造するプロセスそのものに焦点を当て、その最適化を追求する工学分野です。切削、溶接、鋳造、組立、検査などの具体的な加工技術や生産技術を習得し、高品質かつ低コストでの生産を実現するためのアプローチが可能になります。 |
主な活躍領域 | ・自動車産業(車体溶接、エンジン加工) ・電機・電子部品製造業(半導体製造プロセス、部品組立) ・金属加工業(高精度加工技術) ・航空宇宙産業(特殊材料加工、大型構造物組立) ・精密機械製造業(部品製造技術) |
品質管理への貢献 | 製品の品質は製造プロセスで決まります。生産工学は、品質を作り込む具体的な技術的基盤を提供し、加工精度を高め、不良発生を抑制し、安定した品質の製品を効率的に生産するために不可欠です。 |
テストはこちら! | 生産工学に関する知識テスト |
5.生産システム工学
概要 | 製品を効率的かつ高品質に生産するための「システム全体」を設計・構築・最適化する学問です。工場レイアウト、情報システム、物流、人員配置などを総合的に考慮し、スマートファクトリー化や全体最適化を実現するための実践的な手法を実現できます。 |
主な活躍領域 | ・大規模製造業(自動車、電機、食品など) ・プラントエンジニアリング業(大規模生産施設設計) ・ITソリューションプロバイダー(生産管理システム、MES開発) ・コンサルティング業(スマートファクトリー化支援) ・物流・倉庫業(自動化倉庫システム) |
品質管理への貢献 | 品質は個々の工程だけでなく、生産システム全体の流れや連携に大きく依存します。工程間のボトルネック解消、情報の流れの最適化を通じて、品質問題の根本原因を除去し、効率的で安定した品質生産を可能にします。 |
テストはこちら! | 生産システム工学に関する知識テスト |
6.分析化学
概要 | 物質の化学組成、構造、性質を定性的(何が含まれるか)および定量的(どれだけ含まれるか)に分析するための手法を学ぶ学問です。分光分析、クロマトグラフィー、電気化学分析など、様々な高度な分析手法を開発・応用し、物質の真の姿を明らかにすることができます。 |
主な活躍領域 | ・化学メーカー(原材料・製品の品質分析) ・製薬業(医薬品の成分分析、不純物検査) ・食品メーカー(成分分析、安全性検査) ・素材メーカー(新素材の特性評価) ・環境分析機関(汚染物質の検出) |
品質管理への貢献 | 原材料や最終製品の品質を化学的な側面から評価し、安全と性能を保証します。品質不良発生時に、その原因が化学的な組成や構造にあるかを特定し、改善策を導き出す上で不可欠です。 |
テストはこちら! | 分析化学に関する知識テスト |
7.センサ技術
概要 | 光、熱、圧力、温度、加速度、化学物質など、様々な物理量や化学量を電気信号に変換する「センサ」の開発、製造、応用を追求する分野です。センサは環境やシステムの現在の状態を把握する「目」や「耳」となります。この技術により、多様な情報を正確に捉え、活用するシステムを構築できるようになります。 |
主な活躍領域 | ・センサメーカー(各種センサ開発・製造) ・動車部品メーカー(車載センサ開発) ・FA機器メーカー(自動化・検査用センサ開発) ・家電メーカー(製品のスマート化、異常検知) ・IT・IoTソリューションプロバイダー(品質監視・予知保全システム) |
品質管理への貢献 | 生産工程におけるリアルタイムの品質監視、異常検知、自動検査を可能にします。センサデータは品質変動の早期発見、プロセス自動調整、予防保全に活用され、品質管理活動の効率化・高度化を支えます。 |
テストはこちら! | センサ技術に関する知識テスト |
8.統計的考え方
概要 | データを用いて現象を客観的に理解し、不確実性の中で合理的な意思決定を行うための思考法と実践的な手法を学ぶ学問です。 |
主な活躍領域 | ・製造業全般(品質データ分析、工程改善) ・金融業(リスク分析) ・IT・データ分析業(ソフトウェア品質分析) ・コンサルティング業(経営改善提案) ・医療・ヘルスケア(臨床データ分析) |
品質管理への貢献 | 漠然とした経験則ではなく、客観的な数値データに基づいた品質管理を可能にします。工程の異常を早期に発見し、品質問題の根本原因を科学的に特定し、改善効果を定量的に評価する意思決定を科学的に支援します。 |
テストはこちら! | 統計的考え方に関する知識テスト |
◆オリジナルのテスト作成・運用で採用を楽にするシステム「ラクテス」
ラクテスでは、紹介した8つの学問の知識を測ることができる採用向けテストを取り揃えています。ラクテスのテストを用いることで、採用のミスマッチをなくし、必要な人材を見極めることができます。

◆まとめ
品質管理はどの業界においても必要な部門であり、企業の業績に大きな影響を与えます。そんな品質管理分野において採用のミスマッチが起きないように、品質管理分野を支える学問を理解しラクテスでテストをすることで必要な人材を見極めることができます。
◆他分野も併せて紹介!
今回は品質管理分野の学問別解説・テスト紹介を行いましたが、ラクテスのコラムでは他の技術系分野に関するテスト紹介・学問別解説も行っています。各分野の特性や活用領域を知ることで、より的確な採用・育成の設計が可能になります。あわせて以下の分野の記事もご参照ください。