終身雇用制度を見直す方針を示す企業が増えていることから、今後ますます転職が一般的になると考えられます。人材の流動性が高まり、中途採用が増加する中で、「カルチャーフィット」すなわち、人材が企業の文化に適合しているか、という要素が重要視されています。
この記事では、そもそもカルチャーフィットとは何かという点に始まり、注目されている背景、採用で用いるメリット、採用時に見極めるための具体的な施策までをご紹介いたします。
目次
カルチャーフィットとは
カルチャーフィットとは、企業組織の持つ文化や風土に人材が馴染めている状態のことを指す言葉です。英単語の「culture」(文化)と「fit」(〜に合う)を連結した言葉で、企業文化に対する、人材の適応性を指します。人材がカルチャーフィットしているかどうかで、社内での活躍や定着率が大きく左右されます。
スキルフィットとの違い
カルチャーフィットと似た言葉に、スキルフィットという言葉があります。しかし、このスキルフィットは、カルチャーフィットとは似て非なる言葉です。カルチャーフィットが人材が企業の「文化」に合っているかどうかを表すのに対し、スキルフィットとは、その人材の持つ「スキル(能力)」が、配属先で適切に活かせるかどうかを表します。
カルチャーフィットが注目される背景
近年、採用の段階などで、このカルチャーフィットが重視されるようになりました。そこで、カルチャーフィットが注目されている背景を紹介します。
人材の流動性が高い
昨今では、転職する人が増え、それに伴って企業の中途採用が増加しています。一つの会社で定年まで働き続けるのではなく、転職などで様々な企業を渡り歩く働き方が一般的になってきていることから、人材の流動性は非常に高くなっています。人材の流動化には、社内の活性化などのメリットがある一方で、実力のある社員も社風との不一致などの原因によって早期に退職してしまうというデメリットも存在しています。
人材の流動性が高くなったことに加えて、労働人口の減少により、人材のニーズは常に存在しています。そのため、求人サイトへの掲載費用などの採用コストが高くなるという課題もあります。よい人材の流出を防ぎ、採用コストを抑えるために、カルチャーフィットという要素が注目されているのです。
働き方が変化している
新型コロナウイルスの影響で、日本でもリモートワークが広く普及しました。そのため、様々な業務がオンライン化し、離れた場所にいる従業員同士が協力し合いながら仕事を進める機会が増加しました。オンラインでの業務では、直接コミュニケーションをとることができないため、意思の伝達が困難な状況もあります。そのような際にも、人材がカルチャーフィットしていれば、価値観を共有しているため、コミュニケーションが円滑になります。
採用活動においても、選考のオンライン化によって、企業文化に馴染むことができるかどうかの判断が難しくなっています。オンラインでの選考では、対面での選考と比較して、企業の文化や風土などを伝える機会が少ないからです。また、その人材が自社の雰囲気に合うかなどを見極めることも難しくなります。自社の文化に合った人材を採用したい企業と、自分に合った環境で働きたい求職者の、両者にとってカルチャーフィットは欠かせない要素です。
カルチャーフィットを採用で活用するメリット
採用時にカルチャーフィットを活用することには、どのようなメリットが存在するのでしょうか。以下に詳しくご紹介します。
早期離職者を防止できる
カルチャーフィットした人材を採用することで、人材の早期退職を防ぐことができます。入社した人材が、「この会社は自分に合わない」と感じた場合には早期離職につながってしまいます。人材が流動化している現代では、この早期退職のリスクはより高まっています。人材の定着率が低下することは、採用コストの上昇にもつながり、企業の業績にも影響を与えます。
カルチャーフィットしている人材であれば、組織の中で価値観の近い従業員と協力して業務を遂行し、企業に適応することができるため、早期離職しにくくなります。このため、採用の段階であらかじめカルチャーフィットしているかという点を考慮して、採用活動を行うことが重要となります。
生産性が向上する
カルチャーフィットした人材を採用することで、部門間などの連携が円滑になり、業務の生産性を向上させることができます。社員同士で共通の価値観が醸成されていることで、不要なコミュニケーションコストが削減されます。業務内で、企業としての方向性などについての判断が必要なときにも、社内で共通した価値観が醸成されていれば、判断基準が明確になります。素早い判断や不要なコミュニケーションの削減は、業務の効率を上げ、生産性の向上につながります。
また、企業への帰属意識という点においても、その企業のカルチャーに適応しているという点は重要な要素となります。企業への帰属意識の高まりは、モチベーションの維持向上にもつながり、業務の生産性とも大きく関係します。
カルチャーフィットを見極める方法
カルチャーフィットは見極めるのが非常に難しいともいわれます。以下でカルチャーフィットした人材を見極める方法を紹介しますので、採用の参考にしてください。見極める方法をご紹介します。
自社のカルチャーを明確に定義する
候補者が自社の文化に合うのかどうかを判断するためには、あらかじめカルチャーフィットの定義を明確にしておく必要があります。これにより、採用後のギャップやそれに基づく早期退職を防ぐこともできます。
自社のカルチャーを明確にするには、「当社らしさ」を定義し、言語化する必要があります。これにより、カルチャーフィットを見極めるための要件を具体化することができます。さらに、これを採用担当者などが十分に理解し、選考での評価項目に組み込むことで、採用時のミスマッチを減らすことにつながります。
複数社員による面接を実施する
人材が自社のカルチャーにフィットしているかどうかの判断を、一人の社員のみで行うことは非常に困難です。そのため、複数の社員で面接を行ったり、異なる部署・役職の従業員にも面接に参加してもらったりする必要があります。人事社員だけでなく、配属先のチームのメンバーや上司などの現場社員と面接を行う機会を設けることで、多角的な視点から、人材のカルチャーフィットを適切に判断できます。
オリジナルのWebテストを作る
既存の適性検査のみでは、受験者の実際の行動特性やそれが自社に合っているかどうかを正確に判断できない場合があります。既存の適性検査はあらかじめ対策が行われている場合も多いため、その結果が本人の資質を正しく表していないこともあるためです。そのような場合に、企業オリジナルの適性検査を導入することで、自社の文化や風土に合わせた要素を検討することができます。このような場合には、「ラクテス」の活用が有効です。「ラクテス」は、企業の人事担当者が自社オリジナルの筆記試験を簡単に作成できるシステムです。これを用いることで、Webでの適性検査によって自社のカルチャーにうまくフィットする人材を見極めることが可能になります。
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カルチャーフィットを見極める質問例
具体的にカルチャーフィットを見極めるための質問例をご紹介します。
自社のカルチャーに関する質問
カルチャーフィットを見極めるためには自社のカルチャーに関する質問をすることが有効です。具体的には、
例:自社の企業理念について、どのような印象を持っていますか。また。どのような点に関心を抱いていますか。
弊社のカルチャーとして、~というものがありますが、周りと協力して仕事を進めることに抵抗は無いですか。周りと協力して何かを成し遂げた具体的な経験はありますか。
など、自社のカルチャーと人材の行動特性が合致しているかを確認する質問を行うことで、人材のカルチャーフィットを測ることができます。
過去の行動について質問(STAR型)
この他にも過去の行動を尋ねるSTAR型質問も有効です。
STAR型とはSituation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字をとった言葉で、過去の行動に関して具体的、かつ簡潔な回答を得ることができます。
また、このときにS→T→A→Rの順番に質問をすることで、その人の行動特性や考えた方などをうまく把握することができます。
具体的には、
壁にぶつかった経験について教えてください。また、それをどのようにして乗り越えましたか。
異なる立場の人と協力して何かを成し遂げた経験を教えてください。
などの過去の行動に関する質問があります。
まとめ
カルチャーフィットは、人材の流動性や働き方などの社会の変化に伴い、注目されています。採用時に、これをしっかりと見極めることで、早期退職の防止や業務の生産性の向上につながります。また、この見極めには、人材の行動特性などの明確化が重要になります。
人材の行動特性と自社の文化のフィットを見極めるために、「ラクテス」というサービスを紹介しました.「ラクテス」は企業の人事担当者が自社オリジナルの筆記試験を作ることのできるシステムです。クラウド上(SaaS)で専門知識なしに簡単にオンラインでのテストを作成することができます。
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SPIや適性検査など、入社時に人材の総合的な能力や性質を図るテストは近年一般的になっていますが、企業ごとにカスタマイズしたテストを行っている企業は少ないのが現状です。
「ラクテス」の適性チェックテストを用いることで、面接だけでは見極めることのできない適性を可視化でき、企業のカルチャーにフィットした人材の採用に役立てられます。またそれだけでなく、入社後も適材適所の人事配置や効果的な人材育成に活かすことができます。
具体的には、「採用時にはモチベーションを感じたが、実際に業務をスタートしたらスキル不足が判明した」などの採用のミスマッチや、「社内で空いているポストに誰を配置すればよいかがわからない」などの業務上の課題を解決できます。
また、「ラクテス」の職種適性チェックテストは、神奈川大学の大学院人間科学研究科委員長心理相談センター所長である杉山教授の研究成果を反映させたものとなっており、567人の職業人の実データを元に調整されています。
無料プランもございます。以下のURLから新規登録するとすぐに利用開始できます。
アカウント登録を行った後、テスト問題をテンプレートで簡単に作成することができます。完成後、URLを発行してテストを受けてもらい、自由記述欄がある場合のみ採点作業を行います。短いステップで作成から実施まで完結できる「ラクテス」のテスト問題を是非お試しください。