エニアグラム診断とは? 9つの性格タイプや人材マネジメントでの活用方法

企業の人事担当者の中には、人材マネジメントにおいてメンバーの適職を把握するために、エニアグラム診断を活用したいと考えている方も多いのではないでしょうか。この記事では、エニアグラム診断の概要から導入する企業が増えている背景、人材マネジメントへの活用方法や9つの性格タイプ、診断に役立つツールまで紹介しているので参考にしてください。

エニアグラム診断とは?

エニアグラム診断とは、人間が持って生まれた性格を9つのタイプに分ける分類学のことです。ギリシャ語でエニアは「9」、グラムは「図」という意味を持ち、9つに分類するエニアグラム診断の語源とされています。

なぜエニアグラム診断を導入する企業が増えている?

エニアグラム診断をはじめとする性格診断が、組織運営に役立つとされ、多くの企業に取り入れられています。現代では多様な価値観を認めるために、さまざまな考えを理解することが重要です。
従業員の価値観も多様であり、それぞれの考え方を理解することで、最適な人事を行えたり、採用時のミスマッチを防げたり、育成をスムーズに行えたりといったことが可能です。このような価値観や考え方といった人間の内面を理解するために、エニアグラム診断などの性格診断が役立ちます。

エニアグラム診断の導入企業例

モトローラやボーイング、ソニー、アップル・コンピュータ、トヨタなど、多くの名だたる企業がエニアグラム診断を導入しています。エニアグラム診断の導入によって、従業員は自分の性格を客観視できるようになり、自らの得意なことや不得意なこと、性格の特性などの理解が可能です。
従業員が自らの性格を理解できるようになると、自分の活かし方を知ることができるので、パフォーマンスを最大化できます。従業員のパフォーマンスの向上により、組織が活性化し、より大きな成果につながります。

エニアグラム診断を人材マネジメントで活用する方法

エニアグラム診断でメンバーの個性を把握することで、人材マネジメントに役立てられます。メンバーの相互理解が促進されるので、チームワークの向上も期待できます。メンバーごとに指導方法を調整したり、組織のタイプにマッチした人材を採用したりできることもメリットです。

メンバーの価値観を理解し、チームパフォーマンスを高める

メンバー自身だけではなく、部署やチームのリーダーとエニアグラム診断の結果を共有すれば、チームのパフォーマンスを向上させられます。メンバー同士が互いのタイプを共有することで、チームメンバーの相互理解につながり、信頼関係を深めることもできるでしょう。このようにエニアグラム診断を活かすには、個人間の違いを多様性として認め合う姿勢が求められます。

性格タイプをもとに指導方法を調整する

エニアグラム診断の結果をメンバーの指導に活かすことも可能です。リーダーはメンバーの得意なこと、不得意なことを知れるので、個人ごとにカリキュラムを作れます。得意なことを伸ばし、不得意なことを克服するような指導も可能です。
また、リーダーがメンバーのタイプを知ることで、どのような考え方をしているのかが把握できます。メンバーの考え方を把握すれば、より効果的な指導が行えます。感覚的か、論理的かといったタイプの把握により、伝え方を変えるなどの工夫をメンバーごとに行うことが可能です。

人材を採用する際の参考にする

エニアグラム診断の結果から、メンバーの性格タイプがわかるので、組織の特色を推測できます。組織はメンバーが集まってできていることから、個人のタイプを総合的に考えると推測が可能です。組織のタイプがわかれば、新たに人材を採用する際の参考にできます。
個性が強く個人プレーの多いメンバーばかりの組織であれば、まとめるのが得意な人材を採用したり、リーダーシップを取れる人がいない組織なら、先導できる人材を採用したりするなど、エニアグラム診断を採用にも活用することが可能です。

エニアグラム診断の9つの性格タイプ

エニアグラム診断によって、9つの性格タイプに分類されます。それぞれのタイプに長所と短所があり、特徴が異なります。これらの違いを理解した上でお互いに認め合い、仕事に活かすことが大切です。

1.改革する人

改革する人は、自分の中に理想を持っており、それを実現しようと常に努力する性格です。自分に厳しい性格であり、成果を出せないことに怒りを覚えることもあります。努力を怠らない完璧主義なので、理想に向かって着実に進んでいけます。自分の改善点を見出し、解決しようとする考え方を持っているので、論理的に物事を考えるのが得意です。
自分に厳しい改革する人ですが、熱い感情の矛先は自身に向いており、他人にあたることはありません。そのため周囲からは冷静沈着や、ストイックな印象を持たれることが多いです。

2.助ける人

助ける人は困っている人に手を差し伸べ、積極的に手助けするタイプです。困っている人を見ると放っておけず、助けに入ろうとします。自分よりも他人を優先する自己犠牲型の性格です。一方で、自分の手助けや親切を相手が望んでいないものであるとわかると落ち込みます。
見返りを求める性格であり、手助けした相手からの感謝がないと怒りを覚えることもあります。助ける人はコミュニケーションを重要視しており、相互理解に努めようとする性格です。相手を理解することで、自分に愛情が注がれることを求めています。

3.達成する人

達成する人は、結果にこだわる性格であり、目標や目的を掲げて達成しようとするタイプです。志が高く、掲げた目標や目的を達成するために効率的に行動しようとします。野心的であり、目標達成のためには手段を選びません。周囲を巻き込みながら目標や目的に向かっていけるので、リーダーとしての素質も持っています。
人の才能を見抜くことに長けており、適材適所に人員を配置して、効率良く物事を進めていけます。メンバーや自分の実力を最大限に発揮することで、短期間で目標を達成しやすいです。一方、失敗を避ける傾向があるので、リスクマネジメントにも向いています。

4.個性的な人

個性的な人は、独創的なものを好む傾向があり、他人と同じであることを嫌います。個性を大切にする性格なので、自分の感情に従って真っすぐに行動します。そのため、大きな組織などの集団に属することに向いていません。
一方で、感受性が強く、他人の気持ちを敏感に察せるため、気配りができる特長があります。感動を求める性格であり、抱いた感情を伝えたいと考えています。芸術を好んでいることから自己表現が独特であり、独自の表現で感情を伝えようとするタイプです。ユニークな発想を得意としているので、クリエイティブな業務で活躍が期待できます。

5.調べる人

調べる人は、知識や情報に基づいて行動や判断する性格です。知的好奇心が旺盛であり、知識や情報の収集を積極的に行います。得られた知識や情報の分析により、合理的に判断するのが得意です。忍耐力があり粘り強い性格なので、より深く物事を考えられます。その長所から、分析や調査業務において活躍が期待できます。
その反面、知識や情報が最も重要であると考える傾向があるため、行動がおろそかになりがちです。また、知識や情報を共有するのが苦手で、独占してしまいやすい特徴があります。

6.忠実な人

忠実な人は、規律や規範を大切にする、協調性のある性格です。真面目かつ誠実であり、責任感を持って行動することから、周囲から信頼されやすい特長があります。周囲と協力して仕事を進められるので、チームワークが必要な業務に向いています。
一方、間違いや失敗することに不安や恐怖を抱きやすい性格でもあるため、前例のないことに取り組むのが苦手です。間違いや失敗したくないという気持ちから、権威ある人に従ったり、判断を委ねたりする傾向があります。また、責任感が強いもののプレッシャーに弱く、リーダーなどの重要なポジションにつきたがらない側面もあります。

7.熱中する人

熱中する人は、何事にも楽しさを求める性格です。明るく振る舞っていることが多いため、ムードメーカーになりやすいです。好奇心旺盛であるがゆえに、注意力が散漫になりやすい性格でもあります。興味が湧けば手当たり次第に取り組もうとするため、ひとつひとつのことが中途半端になりがちです。
楽しいことには積極的に取り掛かりますが、興味の湧かないことや苦しいことには消極的であるので、問題やトラブルへの対処を先延ばしにすることも見受けられます。そのため、周囲から無責任というレッテルを貼られやすいです。

8.挑戦する人

挑戦する人は、困難なことに取り組むのを好む性格です。解決の難しそうな課題を見るとやる気がみなぎります。エネルギッシュに取り組み物事を前に進めて行くため、周囲からは頼りにされやすいです。面倒見がよく、熱心に指導を行うという特長もあります。
一方で、嫌いな人や苦手な人を徹底的に排除したり、攻撃したりする傾向があります。基本的に自分が正しいと信じているため、謝ることが少なく、関係が壊れると修復が難しいです。また、自己主張が激しく、自分の信じた道を突き進むため、協調性がないと思われやすいです。

9.平和をもたらす人

平和をもたらす人は、穏やかで落ち着いた性格です。人との争いを避ける傾向があり、トラブルが起こらぬよう周囲へ気を配るので、誰とでも仲良くなれます。会話では相手の話をじっくり聞き、理解しようとするため、相談されることが多いです。
落ち着いていて安定している反面、現状維持でいたいと考えているので、変化や改革に抵抗感を持ちやすいです。はっきり意見を述べるのが苦手で、優柔不断や八方美人という印象を抱かれることもあります。

9つの性格タイプは3つのセンターに分類される

9つの性格タイプは、さらに3つのセンターに分類されます。センターとは、ストレスがかかる場面で頼りにするエネルギーの源泉のことで、本能、感情および思考があります。9つある性格タイプのセンターを理解すれば、それぞれの個性をより深く把握することが可能です。

本能(ガッツ)センター

本能センターの性格タイプの人がストレスにさらされると、行動によって状況を打破しようとします。本能に従って、とにかく動くことでストレスから逃れようとすることが本能センターの特徴です。ストレスのかかる状況になると、怒りの感情を抱きやすくなります。本能センターに分類される性格タイプは、1.改革する人、8.挑戦する人、9.平和をもたらす人です。

感情(ハート)センター

感情センターの人がストレスのかかる状況に置かれると、感情のままに行動します。感情センターの人は繊細であることが多く、ストレスによって抱きやすい感情は恥です。理想と現実の差が明らかとなり恥ずかしさを感じると、取り繕ったり、ごまかしたり、現実逃避したりと、自分の存在意義を確立しようとします。感情センターに分類される性格タイプは2.助ける人、3.達成する人、4.個性的な人です。

思考(ヘッド)センター

思考センターの人は、ストレスによって不安を抱きやすく、考えることで安心しようとする傾向があります。将来起きそうな問題について不安になると、対処方法を考えたり、計画を立てたりすることで、安心を得ようとします。思考センターに分類される性格タイプは、5.調べる人、6.忠実な人、7.熱中する人です。

エニアグラムによる適職診断に「ラクテス」の活用を!

クラウド型スキルチェックツールの「ラクテス」なら、社内でのエニアグラムによる適職診断が可能です。最大150問もの設問を設定できるため、エニアグラム診断に必要な問題を出題できます。設問はテンプレートから簡単に作成可能です。エニアグラムによる適職診断を検討している方は、ラクテスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

エニアグラム診断は、簡単な質問に答えることで、9つの性格タイプに分類するものです。価値観や考え方を理解するのに優れた診断方法として利用されています。多様性を認め合い、業務に活かすことが重要とされているため、有名企業でも導入されるケースが増えています。
それぞれの性格タイプには長所と短所が存在し、それらを把握することによって、適材適所の人材配置が可能です。メンバーがお互いの性格タイプを知ることで、チームのパフォーマンスを向上させられます。エニアグラム診断の結果から、教育方針を個人別で立てたり、採用時や異動時での適職の把握によってミスマッチを防いだりするなど、人材マネジメントへの活用が可能です。

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