内定者の不安を取り除く内定者フォローの手法と注意点

内定者フォローをきちんと行っているでしょうか。内定を出しても辞退してしまう内定者も多く、良い人材を確保できない、採用に費やした時間が無駄になるなど、頭を悩ませる採用担当者は少なくありません。内定辞退を防ぐためには、内定者フォローは必須です。 この記事では内定者辞退を防ぐための、内定者フォローの方法について詳しくご紹介します

内定者辞退を防ぐ?内定者フォローとは

内定者フォローとは、内定者が実際に入社するまでの期間に企業が行う様々な対策のことをいいます。内定者フォローがうまくいけば、内定者の辞退を防ぐことはもちろん、やる気を高め、入社してからの意欲向上にもつながるでしょう。
内定者フォローには、内定者の採用辞退を防ぐというだけでなく、できるだけミスマッチをなくし、早期退職を防ぐという目的もあります。一般的に学生のモチベーションがピークを迎えるのは、内定が決定したタイミングだといわれています。そこから入社までの期間、学生は初めての社会人生活に対して、不安や悩みを抱えることになります。それは「社会人生活」「人間関係」「仕事・企業」に関するものなど様々です。これらの不安が膨らみ、内定辞退となるケースも少なくありません。内定者フォローではこのような背景を念頭に入れた上で、企業側が自社の魅力を伝えるためにはどうしたらよいかを考える必要があります。少しずつ信頼関係を深め、安心して入社できるようにサポートしていくことが内定者フォローに求められているといえるでしょう。

なぜ内定フォローの重要性が叫ばれているのか

まずは、なぜ今内定者フォローの重要性が叫ばれているのか、その背景や内定辞退を防ぐ方法について見ていきましょう。

内定期間の長期化

良い人材に他企業よりいち早く接触したいと考える企業が増えたことから、新卒採用活動が早期化しています。文部科学省の資料によると、大企業、中小企業ともに採用の広報活動を介した時期は、3月が半数以上に上っています。また、これに伴い、採用選考活動を開始した時期は大企業では6月が一番多く(40.7%)、中小企業では4月が一番多く(27.6%)となっているなど、入社までの内定期間が1年に及ぶケースも多くなりました。

内定期間が長くなることで「本当に自分はこの会社でよいのだろうか」と学生に迷いが生じやすくなります。その結果、他の企業に魅力を感じたり、本当にやっていけるかなど必要以上に不安を抱いてしまったりして、内定を辞退するというケースも増えているのです。 (参考:文部科学省 平成29年度 就職・採用活動に関する調査(企業) https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/11/07/1398053_002.pdf)

売り手市場が内定者フォローを加速させた

就職・採用活動は売り手市場が進んでいます。多くの学生は複数の企業から内定をもらうことが予想され、その結果、必然的に本命の一社以外は内定を辞退することになります。つまり、入社するかどうかの主導権は今や学生にあるということです。せっかく時間もお金もかけて選考した内定者を手放すのは、企業にとって大変な痛手となります。内定者辞退を防ぐために必要なのが、内定者フォローなのです。

内定者の不安を払拭し内定辞退を防ぐ

内定がたとえ決まったとしても、不安や悩みを抱える内定者は多いです。働きはじめて1年~5年目になる社会人にとったアンケートでは、実に約7割もの人が入社前に「内定ブルー」に陥ったという結果も出ています。内定ブルーに陥る理由は、「何もスキルがない」「内定は決まったもののその会社に満足していない」「入社してきちんとやっていけるか自信がない」「環境が一気に変わることが不安」など様々なようです。企業側は、内定者が安心して入社できるような状況を作ることが重要です。

内定者が持つ不安とは?

それでは、次に内定者が抱える不安について代表的なものを見ていきましょう。

自分の能力で活躍できるか不安

果たして自分の能力で入社してからうまくやっていけるのかという不安を抱く内定者は多いようです。また、内定はもらったものの、自分が本当に評価されているのか疑問を感じる場合もあるようです。アルバイトや部活などで礼儀やコミュニケーション能力を身につけていたとしても、社会に出て仕事をする上で通用するのか不安に感じてしまうこともあるでしょう。入社までに必要な心構えやスキル、なぜ内定したのかについても伝えられる限り伝えておくと、不安が軽減されやすくなり、モチベーションのアップにもつながるでしょう。

本当にこの会社でよかったのか

内定は決まったものの、本当にこの会社でよかったのか悩んでしまう学生も多いようです。
特に第1希望の会社でない場合には、悩んでしまうのも無理はないことです。自分が考えているような仕事が本当にできるのだろうか、頑張って就職活動を続ければもっと自分に合った企業が見つかるかもしれないなど、一人で考えていると余計に不安が膨らんでしまうものです。 しかし実際に働いてみないと、会社の雰囲気や業務内容を肌で感じることができないのも事実です。内定者を不安な気持ちにさせないよう、定期的に担当者が連絡を取り、内定者をサポートするようにコミュニケーションをはかることが必要です。

人間関係に対する不安 他の内定者や先輩が気になる

同期や、会社の先輩など、人間関係に対しての不安は少なからず誰しもが持つものです。また、仲間が欲しいと考えている内定者も多いようです。
そこで、入社前に同期メンバーや会社の先輩とのコミュニケーションを取れる場を作るのがおすすめです。相談に乗ってもらったり、会社についての疑問点を解消したりすることで、少しでも内定者の不安を払拭できるように努めるのがよいでしょう。そうすることで、内定者が会社になじみやすくもなります。

社会人になることに対する不安

学生は、アルバイトで働いていたことはあっても、社会人として働くのは初めてです。そのため、自身に足りないものが何なのかがわからず、社会人になることに不安を抱いているということも多いようです。その不安を解消するために、社会人の基礎となるマナーについて学習してもらう機会を設けることで、社会人としての心構えができるようになります。具体的には、「あいさつや言葉遣い」「話の聞き方」「パソコンスキル」「電話対応」「メールのマナー」などが挙げられます。そうすることで、学生は自信を持てますし、内定者のスタートラインをそろえることにもつながります。入社前に、社会人としての振る舞いをしっかりと身につけてもらうことで、企業側もスムーズに業務を進めることができます。

普段の会社の雰囲気はどんな感じか

普段の会社の様子がわからずに不安に思う内定者もいるようです。入社前と入社後のギャップが激しいと、せっかく入社してもすぐに会社を辞めてしまうケースもあるため、入社前に、職場見学や座談会など会社の雰囲気がわかるような場を設けておくと、ミスマッチを防ぐことができるでしょう。

内定者に安心して入社してもらうための方法とは?

それでは、内定者に安心して入社してもらうためにはどうしたらよいのでしょうか。
具体的な内定者フォローの方法について見ていきましょう。

内定者一人一人に対するコミュニケーションを怠らない

内定を出してそこで終わりにするのではなく、担当者が内定者とコミュニケーションを積極的に取ることが大切です。頻繁に電話すると嫌がられてしまう可能性もあるので、メールやチャットツールなどを使いつつ、内定者の疑問に答えたり、相談相手になったりして、内定者一人一人としっかり向き合うようにしましょう。1ヶ月に1回など、連絡の頻度などを決めておくと内定者の安心感にもつながります。また、連絡の際には社員自らの失敗談や、学生時代の話などもするようにすると、内定者が企業に親しみを持ちやすくなります。入社前から風通しを良くしておくことが重要です。

定期的な懇親会で、関係を深める

内定者を集め、気軽に交流できる親睦会を開催するのも有効です。その場合は、強制参加ではなく自由参加形式にして内定者に負担がかからないような形を取るのがよいでしょう。また懇親会では、採用担当者だけではなく、様々な業務についている社員に参加してもらうのがおすすめです。入社2、3年目の社員なら、相談に乗る時も内定者に寄り添った回答がしやすくなるでしょう。現在は、食事会など気軽に行えない状況なので、オンラインで開催するのもよいですね。職場の生の声を聞くことで、内定者も安心するはずです。

SNSを活用しオンラインコミュニケーションの場も

メールでやりとりをするのもいいですが、より学生達に気軽さを持ってもらえるよう、日常的に使用しているSNSなどを活用して相談ができるようなコミュニケーションの場を用意しておくのも有効です。企業の採用担当者、先輩、上司となると、学生にとっては少なからず緊張してコミュニケーションが取りにくいものです。SNSの利用はそうした緊張感を緩和するためにも役立つでしょう。また、内定者同士で情報交換やコミュニケーションができるようにしておけば、仲間意識が生まれ不安の払拭につながります。

オンラインツールを使って入社前研修を行う

入社してから必要になるスキルを知りたい、少しでも学んでおきたいという内定者に向けて、訪問型の研修やオンラインでの研修を実施するのも有効です。例えば、パソコンの基礎的なスキルであるWordやExcel、PowerPointなどの研修を行うことで、内定者間でのスキルの隔たりをなくすことができます。また、企業それぞれが「これだけは入社前に覚えておいて欲しい」という業務内容やスキルなどについても事前に伝えておくことで、内定者のモチベーションアップにもつながります。
会社独自の研修を行う際には、自宅でオンライン受検ができるテストツールなどを導入するのもおすすめです。「ラクテス」なら、設問を自由に作れるので、企業それぞれに特化した内容や、その時の状況に合った内容のテストを作成できます。スキルチェックなど自社の業務にマッチしたテストを作りたい時にも便利なツールです。オリジナルテストの作成により、独自のインパクトのある研修方法を練ることが可能になります。
テスト結果を見て、内定者が自分に足りない能力やスキルがわかれば、自学のきっかけともなります。

内定者フォローを行う際の注意点

先ほどは内定者フォローの具体的な方法についてお伝えしましたが、ここでは内定者フォローを行う際の注意点をご紹介します。

内定フォローを行う目的を明確にし、具体的に内容を決める

まずは、内定者フォローを行う目的を明確にしておくことが大切です。例えば、「内定者の不安を取り除く」「他社への心変わりをなくす」など。また、いつどのようなことを行うかを具体的に計画し、検討しておくことで目的も達成しやすくなります。その際は、企業側の都合だけでなく。学生側のスケジュールについても念頭に置いておくようにしましょう。見切り発車で進めると、企業はもちろん、内定者の混乱のもとともなりかねませんので、気をつけましょう。

内定者へもそれぞれのフォロー内容について目的を伝えておく

企業側だけが目的を明らかにしておくのではなく、内定者にも目的をはっきり伝えておくことが重要です。具体的には、なぜこの研修を行うのか、懇親会を行うのかなどの理由を説明しておくということです。例えば、「内定者同士で交流を深めてもらいたい」「社内の雰囲気を知ってもらいたい」「研修で基礎スキルを身につけて欲しい」など。そうすることで、内定者も企業の目的が把握できるのでやる気のアップにつながり、自分が何をすべきなのかも明確になります。

自由参加とし無理強いをしない

内定者フォローを行う中で、懇親会や座談会を実施する場合は、あくまでも内定者はまだ学生であることを念頭に置き、自由参加として開催するようにするとよいでしょう。そのイベントに学生が抵抗感を持っていた場合、強制参加にしてしまうと、そのことをプレッシャーに感じて、内定辞退、なんてことになりかねません。企業側は、内定者が負担に感じることがないように配慮することが大切です。また、あまりにかしこまった場だと、学生が萎縮してしまうので、カジュアルな雰囲気を作るようにしましょう。

まとめ

内定者フォローを始めるにあたって、まずは、「企業が内定者に求めること」「内定者が企業に求めること」、この2つの目的をはっきりさせることが大切です。
その上で、内定者とコミュニケーションを密に取ることや、懇親会を開くなどしてみましょう。
時勢を踏まえ、オンラインツールを積極的に活用するのもよいですね。
内定者の不安を軽減させることで、内定辞退を防ぐことができます。
今回ご紹介した方法もぜひ試してみてくださいね。

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