人事データの分析手法とは? エクセルでの分析手法や人事分析ツールをご紹介

企業の人事担当者の中には、人事データの分析手法を知りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。人事データを分析することで、人材配置や人材育成、採用活動など幅広い場面で、効果的な人事施策を実施できます。
この記事では、人事データ分析の概要と必要性を解説したうえで、人事データ分析の手順やエクセルを用いた分析手法、おすすめの人事分析ツールを紹介します。

人事データ分析とは

人事データ分析とは、勤怠や給与、人事評価、能力、スキル、モチベーションなど「人」に関連するデータを分析することです。英語でピープルアナリティクスと呼ばれることもあります。人事データ分析の結果はあらゆる企業活動に役立てられることから、多くの企業が注目しています。
これまでは人事関連の情報を紙の書類で管理するアナログなものでした。膨大な紙ベースの情報をまとめて分析するには多大な労力と時間が必要です。デジタル化が浸透したことによって、人事関連の情報をデータとして保管するようになったため、人事データ分析が可能となりました。

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人事データ分析の必要性

近年、人事データ分析が注目されており、その必要性が高まっています。これまでは、人事評価や人材採用の明確な基準、根拠が曖昧であり、ベテランの人事担当者など一部の人材に人事マネジメントが委ねられていました。人事データ分析の導入によって、人事マネジメントに統計的な根拠を得られるようになります。統計的な根拠をもとにして意思決定すれば、社内の人材からも納得が得られやすいです。
人材採用では、人事データ分析を活用することによって、自社にとって必要な人材を把握して採用活動を行えます。人事マネジメントでは統計に基づいて合理的で効果的な人員配置や人事評価が可能になり、従業員の業務効率の向上、ひいては企業の利益につながります。また、透明性と納得感のある人事評価を行うことで、離職の防止にもなります。このように、人事データ分析を活用すれば、客観的で説得力のある人事マネジメントが可能です。

人事データ分析の3つの手順

人事データ分析は、目的設定、人事データの収集、結論の導出の手順で行います。はじめに設定する目的によって分析の方向性や施策が変わってくるため、目的は特に重要です。やみくもに進めても結果を活かせないので、手順に従って分析しましょう。

①自社の課題をもとに目的を設定する

人事データ分析を実施するには、自社の課題を明確にしたうえで目的を設定することが必要です。分析手法にはさまざまなものがあり、目的にあわせて選択するため、課題や目的が不明確なままでは方法を選べません。目的に沿った人事データを集める必要があるため、そもそもどんなデータを集めればよいのかもわからないでしょう。また、人事データ分析を行ったとしても結果を活かせず、情報収集や分析の作業が無駄に終わり、担当者の負担感が増してしまいます。
人事データ分析は業務効率化や人事戦略のために行うので、自社の課題解決に役立つものに設定することが重要です。まずは自社の課題を洗い出して、そこからどんなデータが必要かを考えると進めやすいです。具体的な課題の例としては、高い離職率、人材のスキル不足、採用のミスマッチなどが挙げられます。

②必要な人事データを集める

設定した目的に沿って、必要な人事データを集めます。人事データには従業員の基本情報や人事評価、職務内容、勤務状況などがあります。基本情報は雇用形態や勤続年数、保有資格などです。人事評価は職務経歴や能力、実績などで、勤務状況は勤怠や勤務態度、モチベーションなどのことです。どのデータが重要になるかは分析後に明らかとなるため、これらは可能な限り集めておく必要があります。
人事データを集める際に、どこにどのデータがあるのかがわからないと、収集するのに時間がかかります。そのため、データ収集がしやすいように、普段からわかりやすい場所にまとめて保存しておくことが大切です。また、必要なデータが不足しないように、なるべく多くの情報を記録しておかなければなりません。既存のデータのみで分析できない場合は従業員へのアンケートやヒアリングを活用して追加でデータを収集します。

③分析結果から結論を出す

人事データ分析を行った結果から、どのような結論を導けるかを考えます。導いた結論を施策に落とし込むことで、人事データ分析を人事戦略に役立てられます。
人事データ分析を実施する際には仮説を立てて進めますが、分析結果が仮説と異なっていても受け入れることが大切です。結論を否定してしまうと、事実を否定することになり、正しい施策を実施できません。人事データ分析で得られた結果は、すべて収集したデータに基づく根拠のある結果です。したがって、分析結果をもとにして施策を考える必要があります。

エクセルで行える人事データ分析の手法

エクセルでの人事データ分析は、導入や実施のハードルが低いため、多くの人事担当者が使用しています。人事データ分析に用いる代表的な分析手法を確認しておくと、必要なときにすぐに実行できるようになります。

回帰分析

回帰分析は結果と要因の関係性を調べる手法です。結果となる数値(目的変数)と要因(説明変数)として考えられる数値のうち、一方の変数から回帰式を求めることで、結果の予測や影響関係の検討に用います。結果と要因をそれぞれ数値化して散布図を描き、直線を当てはめると、結果と要因の関係性を調べることができます。
人事データ分析においては、離職率と職場環境への満足度の関係や、自社に対するエンゲージメントの要因などを調べる際に、回帰分析を活用できます。

相関分析

相関分析は、要素間の関係性の強さを調べるための手法です。各要素に含まれるデータから相関係数という数値を導き、その大小(-1から1の間の値)で関係性の強さを判断します。相関係数の絶対値が1に近いと、要素間の関係性が強いことがわかります。
相関分析を人事データ分析に用いれば、資格の有無と業務成績の関係や、業績とエンゲージメントの関係など、要素間の関係性を調べられます。

重回帰分析

重回帰分析は結果とそれに対する複数の要因について分析する手法です。どの要因がどの程度結果に影響を与えているのかがわかります。回帰分析は結果に対してひとつの要因のみを対象とするものであり、重回帰分析は結果に対する複数の要因について分析する手法なので、より高度な分析が可能です。
重回帰分析を人事データ分析で用いると、たとえば離職率や採用後のミスマッチなどの問題につながる要因として、最も関係性の高いものを導けます。また、それぞれの要因が結果にどの程度影響を与えているのかも把握できます。

主成分分析

主成分分析は、最もばらつきの大きい少数の主成分に絞ることで、情報量はそのままに、シンプルに属性などを表せるようにする手法です。主成分とはデータの特徴を表す要素のことです。主成分分析は、身長と体重から肥満度を導くBMI測定や、多数の設問があるアンケートデータの分析などで用いられています。
主成分分析のメリットは、情報量を保ったまま主成分に絞ることで、データの分析や解釈が容易になることです。
人事データ分析における主成分分析の例としては、人材を性格ごとに分類し適材適所の人材配置を行う際などに役立ちます。

人事分析ツールのおすすめを紹介

エクセルの他にも人事データ分析に役立つツールがあります。エクセルのように手作業で集計する必要がなくなったり、データ管理が容易になったりします。ツールを活用すれば、人事データ分析を効率的に行えるようになります。

タレントマネジメントツール

タレントマネジメントツールは、従業員のスキルやプロフィール、人事評価などの人事情報をデータベースで一元管理するツールのことです。一元管理することで、データの取得や分析が容易になり、人事業務効率の向上が期待できます。また、適材適所の人員配置や、個人の特性にあわせた教育、評価なども行いやくなります。
タレントマネジメントツールは、従業員の氏名や住所、職歴などの人事情報を管理する人事管理システムとは異なり、従業員のタレント(才能や能力)に重点を置き、人材配置や育成などの人事戦略に活かすことを目的としたツールです。

BIツール

BI(Business Intelligence)ツールは、社内に蓄積した大量のデータを収集、分析し、迅速な意思決定を行うためのツールです。データ集計やレポート、グラフ作成などの手間がかからないため、エクセルなどを用いたデータ分析より工数を削減できます。情報量が膨大にあっても、BIツールを用いれば情報をリアルタイムで更新し、迅速にほしいデータを手元にそろえることが可能です。データの提出を求められた際には、すぐに結果を共有できます。データ分析や統計の知識がなくても使える点もメリットです。

人事データを集めるのに役立つラクテスとは

ラクテスで従業員のスキルチェックや適性検査を行うことで、人事データを集めることができます。たとえば職種適性チェックテストを行えば、従業員の適性が把握できるので、適材適所の人員配置を行えます。適材適所の人員配置をすることで、業務とのミスマッチを解消し、離職率の低下につなげることも可能です。業務との相性がよい人材を配置すれば、効率が上がり、業績の向上にもつながります。
他にも、実務を行えるレベルにあるかをチェックするテストが豊富に用意されているので、スキルの確認を簡単に行えます。さらに、ラクテスではテストのカスタマイズもできるため、自社の業務にあわせたオリジナルのテストを作成することも可能です。

まとめ

人事データ分析は、企業に蓄積した人事情報を収集し、分析を行うことです。人事データ分析によって、採用や教育、人事評価などを客観的な根拠に基づいて行えます。人事担当者の経験則に頼りがちな部分に、正当性や客観性をもたせることができるため、従業員の納得を得やすくなります。エクセルを用いて人事データ分析を行うことも可能ですが、ツールを用いるとより効率的です。
ラクテスならオリジナルテストを作成する機能が備わっているため、自社にマッチしたデータを効率的に収集できます。人事データ分析を検討している方は、ラクテスの無料会員登録を行い、機能を試してみてはいかがでしょうか。

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