スキルマップのテンプレート紹介 メリットや作成ステップも解説

従業員のスキル状況を適切に評価することは、人材育成に役立ち、ひいては企業の成長にもつながります。また、国際規格「ISO9001」「ISO14001」を企業が取得するためには、従業員のスキルを明確に把握することが必須となっています。

そこで本記事では、従業員のスキルを可視化する「スキルマップ」の作成方法を説明します。従業員の個々のスキルと、そのレベルを一覧表にして把握することで、人材育成の効率化が実現します。スキルマップを作成する際に役立つテンプレートも掲載しますので、企業の人事などで従業員のスキル管理を行う場合の参考にしてください。

スキルマップとは?

「スキルマップ」とは、業務遂行に必要なスキルと、従業員のスキル習得度を一覧表にしたものをいいます。「力量表」「力量管理表」と呼ぶ企業もあり、英語では「Skills Matrix(スキルマトリックス)」といいます。

スキルマップは一般的に、縦軸に業務内容・必要スキル・資格を表し、横軸に従業員名を記入した一覧表の形式になっています。従業員ごとに達成したスキルを塗りつぶしていくことで、達成度合いが一目見て分かるようになっています。

スキルマップを活用することで、人材育成や業務の振り返りに役立ちます。

スキルマップを作成するメリット

スキルマップを導入することで、様々なメリットが得られます。以下に、スキルマップ作成の主なメリットを3つご紹介します。

適切な評価が可能

一つの業務を行うにしても、実際には様々なスキルが必要になります。そのため、業務に必要な全てのスキルを管理職が把握するのは難しいでしょう。また、従業員全員のスキルレベルを管理職が全て正確に記憶するのも困難です。

スキルマップを用いてスキルを具体化・数量化すれば、記憶やイメージに頼らず、公平で適切な評価を行えます。適切に評価することで従業員の満足度が高まり、業務に対するモチベーションが上がっていきます。

人材育成に役立つ

従業員一人ひとりのスキルレベルを可視化することで、業務に必要なスキルとのギャップがどれだけあるのかを従業員ごとに把握できます。そのため、計画的・段階的に目標を設定でき、それに応じた育成計画を立てることができるようになります。

また、個々の従業員の持つスキルや知識を一覧表で可視化することで、教育が必要なのはどのような項目なのかを簡単に把握できます。また、既に持っているスキルについて無駄に教育を行うこともなくなります。

最適な人材配置

スキルマップを用いて従業員個人のスキルレベルを把握できれば、従業員の向き・不向きに合わせた人材配置が可能になります。従業員を適材適所に配置することで、業務の効率化につながります。

ISO9001・ISO14001を取得できる

組織としての信頼感と生産性を高めるためにISO取得を目指す企業もありますが、国際規格であるISO9001とISO14001を取得するには、スキルマップの作成が欠かせません。ISO9001は「品質マネジメントシステム」、ISO14001は「環境マネジメントシステム」に関する国際規格です。ISO9001とISO14001ではどちらも、従業員の「力量(スキル)」を明確にし、管理することが求められます。ISOによる指定の様式はなく、会社の実態に合ったスキルマップを自作する必要があります。下記にスキルマップのテンプレートを紹介しますので、作成の参考にしてください。

スキルマップのテンプレート

スキルマップのテンプレートを下記に2点紹介します。以下で紹介するテンプレートはどちらも国の機関が公開しているものです。業種や職種に合わせて適切なものを選び、活用してください。

職業能力評価シート

厚生労働省が公開する「職業能力評価シート」は、汎用性が高く、幅広い業種に対応できるテンプレートです。例えばエステティック業などの接客業から、電気通信工事業などのインフラに関する業種まで幅広く対応できます。また、経営戦略や情報システムなど、多岐にわたる職種で利用できます。初めてスキルマップを作成する場合に、まずおすすめできるテンプレートです。

職業能力評価シートのテンプレートは、以下のサイトよりダウンロードできます。

キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード:厚生労働省

ITスキル標準

ITエンジニアなど、ITに関わる業務を行う従業員のスキルマップを作成するなら「ITスキル標準(ITSS)」を使用するのがおすすめです。「ITスキル標準」は、高度なIT人材育成を目的に経済産業省が公開している指標です。ITスキル標準では難易度別に7段階のレベルが設定されており、ITスキルの習熟度や実務経験などの達成度を表すことができます。

ITスキル標準のテンプレートは以下のサイトよりダウンロードできます。

ITスキル標準V3:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

スキルマップ作成のステップ

スキルマップを作成する手順を説明します。

スキルマップの目的を確認

スキルマップを作成する前に、まずスキルマップを作成する目的をはっきりさせます。スキルマップを作成すること自体が目的とならないようにしましょう。目的をもとに、スキルマップの対象とする職種や、スキルをどこまで細分化するかを検討していきます。

業務フローの洗い出し

スキルマップを作成する目的が定まったら、業務の棚卸しを行い、全ての業務を洗い出します。まず、普段実行している業務を振り返って、作業内容をできるだけ具体的に細かく列挙していきます。このとき「どんな知識やスキルが重要か」「どのような状態が理想的か」といったことは一旦頭から切り離して、タスクの抜け漏れがないようにすることを重視します。全ての業務を洗い出せたら、業務の種類や難易度で分類します。

評価基準の設定

洗い出した業務に対して、それぞれ評価の基準を設定します。基準は「誰かに指導してもらいながら遂行できる」「一人で業務を遂行できる」「人に指導できる」など、難易度に応じて数段階に分けます。

運用・管理

最後に、スキルマップの運用ルールとマニュアルを従業員へ共有し、運用を開始します。従業員がスキルマップの内容を常に意識し、目標に向かって努力する意欲を持てるようにすることが大切です。

運用開始後は、管理者・従業員両方の意見を集め、必要に応じて変更を加えましょう。また、組織や時代の変化によりスキルマップが実態に見合わなくなってしまうと、形骸化して活用できなくなってしまいます。運用が軌道に乗った後も、定期的に項目の見直しを行いましょう。

まとめ

スキルマップの作成によって、従業員の適正な評価が可能になり、人材育成に役立ちます。また、適材適所な人材配置が可能になり、業務の効率化を実現できます。

国際規格であるISO9001・ISO14001の取得にもスキルマップの作成は不可欠です。本記事で紹介したテンプレートを参考に、自社独自のスキルマップを作成してください。

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