採用方法のユニークな事例を紹介! 求人方法のアイデアの参考に

深刻な人手不足や変化の激しい企業環境に対応するため、ユニークな採用方法によって人材の獲得に乗り出す企業が増えています。例えば、ゲームのうまさを採用基準とする方法や、書類選考・面接なしの研修型選考、AI面接といった採用方法です。企業は独自の採用方法をとり入れることで、多様な人材へのアプローチを試みています。

この記事では、企業がユニークな採用を行う必要性を解説したうえで、採用方法の事例やトレンドを紹介します。

採用方法をユニークにする必要性とは

優秀な人材は企業の成長に不可欠です。しかし、単に偏差値の高い学校の卒業生だけを新卒採用しても、企業の中長期的な成長にはつながりません。また、従来の方法で求人を出しても、まったく応募がないこともあります。

こうした採用課題を解決するために、近年、ユニークな採用方法をとる企業が出てきています。ユニークな採用方法をとることには、どんな意義があるのでしょうか。

企業のブランディングにつながる

独自性のある採用方法を前面に出すことで、ユニークな企業と世の中から認知されれば、他の企業との差別化を図れます。

他社にはない特徴や魅力を知ってもらえれば、応募者数の増加に期待できます。企業のブランディングをすることで、そのブランドイメージに好感を持つ人材、つまり自社にマッチした人材も集まります。

また、企業が独自の採用戦略をとることで、革新的な取り組みを行う企業だと認知されれば、企業のブランドイメージを向上させられます。通常、ブランドイメージを向上させるには商品やサービスの品質を高める企業努力が必要ですが、厳しい市場競争を強いられる中では別の方法による働きかけも必要です。ユニークな採用方法はその一手となります。

応募者の幅が広がる

ユニークな採用方法をとることで応募者の幅が広がるため、多様な人材を獲得できます。

「護送船団方式」と呼ばれた官僚主導の経営体制が終焉を迎えた今、企業は市場競争の中で柔軟に経営をしていく必要があります。そのために求められているのが、多様な人材の能力や特性を活かすこと、すなわちダイバーシティ経営です。幅広い人材がいることで、企業の潜在能力が高まり、持続的な成長につながります。

採用活動に企業の特色を反映させることで、今まで自社に興味を持たなかった学生が応募する可能性も出てきます。自分の価値観に合う企業で働きたいと考える学生に、ユニークな採用方法が刺さり、通常ならば縁のない学生との接点を持つことが期待できます。

採用コストを抑えることができる

ユニークな採用方法は採用コストを削減しつつ、自社が求める人材を確保するのに有効な方法です。

採用活動には広告宣伝費などのコストがかかるため、コスト面がネックになり、思うような採用活動ができない場合があります。特に資金力に乏しい中小企業はコストをかけにくいため、採用活動の面で大手よりも不利だと言わざるをえません。ただでさえ知名度が高い大手に優秀な人材が流れていくばかりです。

しかしユニークな採用方法をとれば、テレビやSNSで話題になり、世の中の人の目に入る可能性が高まります。結果的に、採用コストを抑えつつ、多くの応募者を集めることができるわけです。

採用方法のユニークな事例7選

ここでは、実際に行われているユニークな採用方法を7つ紹介します。事例を参考にすることで、自社に合った採用方法が見えてくるでしょう。

1. ゲームのうまさで内定者決定

あるゲーム開発会社は、ゲームのうまさで内定を出す採用方法をとり入れています。ゲーム好きの求職者をターゲットにしたユニークな採用方法です。

一般に、「ゲームは時間の無駄」などと言われることがありますが、同社はそう考えません。ゲームには困難を乗り越えるための問題解決力や突破口を見つけるための発想力も必要だと捉え、ゲームを通してビジネスに有用なスキルが磨かれていると考えています。

学業の成績だけでなく、部活動やサークル活動、アルバイト経験、資格などを評価して採用する企業は以前からあります。同社では、このような評価方法と同じように、ゲームに費やした時間やゲームへの情熱も評価します。

選考方法は、ゲームの実績で一次選考を免除する方法、ゲームを通じて得た経験を履歴書に記載する方法、ゲームを使ったグループディスカッションによる方法の3種類があります。各メディアに取り上げられたこともあり、反響は大きかったようで、実際にこの採用方法による複数名の内定・入社につながっています。

2. 書類選考や面接の代わりに「研修」で選考

ある広告・マーケティング会社は、書類選考や面接ではなく、研修型の選考を行っています。仮想ビジネスを経験させる研修を実施し、学生の将来性を評価する方法です。

同社が選考で最も大切にしているのは「過去ではなく、未来を評価すること」です。同社は、書類選考や面接はあくまでも学生の過去を評価するものであって、ビジネス経験がない学生に対する選考方法としては不向きだと考えています。それよりも社会に出てからの数十年を評価したいという思いでとり入れているのが研修型の選考です。

具体的には、学生に社員とほぼ同じレベルのマーケティング課題に取り組むプログラムを用意し、選考を通じた伸びしろを評価します。課題内容が実際の業務内容に近く、社員と協力して取り組む課題もあるため、学生は入社後の働くイメージを抱きやすいというメリットがあります。ミスマッチが起こりにくいのは採用側にとっても大きなメリットでしょう。

3. AI面接でフラットな採用を実現

AIによる面接をとり入れたフラットな採用を実現する企業も出てきています。

ある大手外食チェーンは、AI面接を導入したことで、忙しい店長の負担を軽減できました。これまで、複数店を管理する店長が深夜勤務の後に別の店舗で面接を行うケースもありましたが、AI面接によって店長の業務負担はかなり軽減されています。

また人間の評価には主観が含まれますが、AI面接の活用により面接官による評価のばらつきを抑制し、公正な選考も実現できます。一次面接から二次面接までのリードタイムの短縮が可能なので、採用担当者の負担軽減にもつながります。

応募者は公正な評価が受けられ、面接官との相性にも左右されません。応募者の都合で面接の日時を選ぶことも可能です。応募側のハードルが下がるため、応募者数を増やす効果に期待できます。

4. 何かを「極めた人」だけを募集

ある外食チェーンは、「極めた人」を評価する採用方法をとっています。

同社には、元オリンピック選手や20か国語を身につけたマルチリンガル、水質オタクなど、ジャンルを問わず何かを極めた人材が在籍しています。同社では、何かを極めるまでの努力や苦労を教えてほしいとの思いで、極めた人を募集しています。

どんな分野でも、何かを極めるには努力や継続する力、困難を突破する力などが必要です。こうした力や極めた人ならではの視点は仕事でも活かすことができ、企業の成長に貢献してくれると考えられます。

5. スーツ着用禁止でいつもの自分を表現

住宅リフォームなどを手がけるある企業では、「いつものあなた選考」というユニークな選考を行っています。同社は採用基準として「何ができるのか」ではなく「どんな人か」を重視しているため、応募者の人柄をよく知るためにとり入れている選考方法です。

具体的には、1次面接から最終面接までスーツの着用を禁止し、私服で選考を受けてもらいます。2次面接の場所については、学校やアルバイト先など自由な発想で応募者に指定してもらい、その場所で面接を実施します。

応募者には、本音で飾らず、ありのままの姿を見せてくれることを期待しています。素の応募者と企業の相性が合えば、入社後のミスマッチが減り、お互いにメリットが大きいでしょう。

6. ブラックさを前面に押し出してギャップをアピール

あるブランディング会社は、ブラック企業のイメージを前面に出し、実態を説明することでギャップをアピールする戦略をとっています。

応募先がブラック企業であるか否かは求職者にとって非常に気になる点でしょう。そのため、通常、企業は応募者を募るために自社がいかにホワイト企業であるのかをアピールします。しかし同社では最初にブラック企業のイメージを押し出し、後で否定することで他社との差別化を図っています。

採用ページに掲載されたブラックな噂の「真相」を確認すると「3年以内の離職率が0%」や「家族を大切にするための特別休暇」など、実際にはホワイト企業である事実が掲載されています。

7. 野球への熱意が採用基準

携帯電話・通信業界に特化した人材派遣などを行っているある企業は、野球への熱意を採用基準とする「野球採用」をとり入れています。野球と仕事という2つの活躍場所を用意することで、誰もが活躍できる会社にしたいとの思いでとり入れたユニークな採用方法です。

面接での志望動機や挨拶、入社テストなどの一般的な採用基準はあえて無視しています。会社を選ぶ理由として「誰と働くのか」を重視しているからです。

野球が好きな同社は、好きなものが共通していることで、チームの仲間としての絆が深まり、仕事でもチームワークを活かすことができると考えています。社員からは、好きな野球ができることでリフレッシュでき、仕事に活力をもたらしてくれるといった声もあがっています。

採用方法のトレンドとは

近年は求職者が企業を認知して応募するきっかけが多様化しており、採用方法も一様でなくなっています。採用方法のトレンドとして、企業が候補者に直接アクセスする方法が増えています。例えばダイレクトリクルーティングやソーシャルリクルーティングなどの方法です。また、採用コストの削減やミスマッチ防止につながるリファラル採用をとり入れる企業もあります。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、企業が候補者に直接アプローチする「攻め」の採用方法です。企業は求職者データベースにアクセスして欲しい人材を探し、その人材へ直接メッセージを送ります。候補者が自社に興味を持ってくれたら、具体的な選考へと進んでいきます。

一般的によく使われている転職サイトや人材紹介会社などは、求人を掲載した後に求職者からの応募を待つ必要があり、企業が主体的に採用活動を進めることができません。応募があっても必ずしも自社に合う人材だとは限らないため、選考に費やした労力が無駄になる場合も多々あります。応募があるまで求人を掲載し続けなければならないため採用コストがかかる、応募者はすぐに転職したい「転職顕在層」に限られるといったデメリットもあります。

一方、ダイレクトリクルーティングは企業が自社に合う人材を探し、ピンポイントにアプローチする手法なので、採用活動を効率化できます。候補者と直接コミュニケーションをとれるため、自社の魅力をアピールしやすく、候補者の志望度を高めることも可能です。

成功報酬も人材紹介会社などと比べて低く設定されているため、採用コストを抑制できます。よい企業があればいつか転職したいと考えている「転職潜在層」にもアプローチできるため、他社との採用競争を経ることなく人材を獲得できる可能性もあります。

ただし、人事担当者はスカウトメールの作成・送信などの業務負担が増えます。新たな採用手法のためノウハウの蓄積に時間がかかる、潜在層にもアプローチするため短期的な成功は見込みにくいといった注意点もあります。

リファラル採用

自社の社員から知人や友人を紹介してもらう手法が、リファラル採用です。

企業で働く社員は、自社の特性や企業理念、どんな人が自社に合うのかなどを熟知しているため、企業とマッチしやすい人材を集められます。入社後のミスマッチも起こりにくく、高い定着率も見込めます。候補者の人柄をよく知る社員の紹介なので、企業にとっては安心感もあるでしょう。求人の掲載費や仲介料などが発生しないため、採用コストを抑制できる点もメリットです。

ただし、自社にマッチしないと判断して不採用とするケースもあるため、社員と紹介された候補者との人間関係にも配慮しなければなりません。リクルーターとなる社員の協力を得るために、報奨金を含めた制度設計を行う必要もあります。

ソーシャルリクルーティング

SNSを活用した採用方法を、ソーシャルリクルーティングと言います。企業はSNSの検索機能を利用して自社にマッチしそうな候補者を探したり、メッセージ機能を利用して候補者と直接コンタクトをとったりできます。

ソーシャルリクルーティングの大きなメリットは、ミスマッチを防止しやすく、多数の候補者にアプローチできる点です。

企業は候補者との気軽なコミュニケーションを通じて自社の魅力を知ってもらうことができ、SNSへの投稿内容や言葉遣いなどから候補者の人となりや考え方などをよく知ることもできるため、ミスマッチの防止につながります。SNSは企業からの情報発信も簡単で、ユーザー同士が情報共有、拡散できる機能もあります。そのため多くの人に自社の活動を知ってもらうことができ、採用候補者を集めやすいのも魅力です。

注意点として、気軽に発信でき、拡散性もあるSNSだからこそ、人事担当者にはネットリテラシーが求められます。候補者に配慮するのはもちろん、社会的な批判の対象となるような軽率な投稿にも注意しなければなりません。また、SNSで見つけた候補者が転職を希望していない場合も多いため、短期間での結果は見込みにくいでしょう。長期的に継続することが大切です。

ユニークな採用方法で候補者をしぼったら「ラクテス」でスキルチェックをしよう

人事担当者としては、ユニークな採用方法で獲得した人材が本当に自社の戦力になるのか、不安に感じるかもしれません。この不安を解消できるのが、クラウド上で簡単にテスト作成、実施ができるシステム「ラクテス」でのスキルチェックです。候補者をしぼった後に簡単なスキルチェックを行うことで、自社が定めた採用基準を満たしているかどうかを確認できます。

テストの種類は論理・国語・計算、Excel、ITプログラミング、ビジネス基礎など多数あります。職種適性チェックもあるので、面接だけでは見えにくい人材傾向の判断にも使えます。問題の形式は、選択問題・複数選択問題・記述問題から選べます。ファイル添付もできるため、画像での出題も可能です。

利用方法は、ラクテスに登録した後にテスト問題をテンプレートで作成し、URLを発行、候補者にテストを受けてもらうという流れです。シンプルな採用試験などに使えるフリープランもありますので、まずは無料のアカウント登録をしてみましょう。

まとめ

多くの企業が人手不足・人材難に悩む中、ユニークな方法によって採用課題の解決に取り組む企業が増えています。企業が独自の採用方法をとり入れることで、多様な人材の獲得や企業のブランディング、採用コストの抑制などが期待できます。また社会全体のIT化が進んだ現代では、企業は候補者に直接アプローチしやすくなっています。この記事で紹介した事例も参考にしながら、採用課題の解決に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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