選考方法の種類と採用する際のポイント、注意点を紹介

採用選考を行うにあたって、筆記試験の内容や面接の回数など、考えるポイントは多くあります。本記事では「書類選考」「筆記試験」「面接」などの選考方法の特徴と、選考のポイントを解説します。

選考方法の種類

採用選考の方法には「書類選考」「筆記試験」「面接」の他に、コロナ禍で増えた「録画面接」などさまざまなものがあります。以下にそれぞれの選考方法の内容と特徴を紹介します。

書類選考

履歴書や職務経歴書、エントリーシートを元に選考します。募集要件を満たしていない応募者を書類選考でふるいにかけることで、以降の選考を効率化できます。そのため、書類選考は一般的に採用の初期段階で行われます。

筆記試験

筆記試験は応募者の知識や適性を測る目的で行います。筆記試験には適性検査や小論文などの形式があります。
適性検査には大きく分けて「能力検査」と「性格検査」の2つがあります。
能力検査では、数的処理、言語、論理、一般常識に関する問題を出題し、計算力や語彙力・読解力等、応募者の基礎的な知識を測ります。
性格検査では、応募者の性格や普段の行動についての質問を行い、社交性、行動力、慎重さなどを把握します。

面接

実際に応募者と会う面接試験は、応募者の人柄や適性を見極める最大のチャンスです。採用選考の中でも特に重要な局面であることから、1回だけでなく2~3回の面接を行う企業が多いです。

面接の形式には、個人面接と集団面接があります。個人面接では応募者1人に対し、面接官1~2人で話をします。面接時間は30分程度が一般的です。個人面接では1人ひとりとじっくり話ができるため、応募者の本音を引き出しやすい点がメリットです。

一方の集団面接は、応募者3~5名と面接官1~2名で行います。面接時間は30~40分ほどで、面接官が応募者に1人ずつ質問を行い、答えてもらうことを数回繰り返していきます。集団面接では、短い時間で数人の応募者の話を聞くことができます。また、応募者同士を直接比較できるため、評価しやすいことがメリットです。

その他の選考

新型コロナウイルス感染予防のため、2020年以降、対面ではなくオンラインで面接を行う企業が増えました。そんな中、あらかじめ企業が設定した質問に対して答える様子を応募者が自身で録画して送信する「録画面接(動画面接)」も浸透してきています。リアルタイムで行うオンライン面接とは異なり、応募者と面接官が都合のいい時間に面接を行えることがメリットです。

その他、一度に大量の応募者を選考できるグループ・ディスカッション(GD)形式の選考もあります。数十人の応募者を5~6人のグループに分け、特定のテーマに基づいて討論を行ってもらい、結果を発表してもらうものです。グループディスカッションの最大のメリットは、集団の中での立ち居振る舞いを観察できることです。それを元に、実際の職場でどのような行動を取るかを想像できます。また、論理性・積極性・協調性・コミュニケーション能力を測ることができます。

選考のプロセス

選考のプロセスとしては、書類選考と筆記試験を行い、複数回の面接を実施し、最終面接を行うという流れが一般的です。

選考プロセスごとに、目的や評価のポイントは異なります。書類選考では、就業場所や業務内容などの募集要件を満たしていない応募者を除外します。筆記試験は、能力が採用基準に明らかに達していない応募者を除外する目的で行われます。1次面接では採用したい人物像とギャップのある応募者を除外し、さらに2~3次面接でより優秀な応募者に絞ります。最終面接では、経営者や役員が総合的に採用可否を判断します。

採用選考する際のポイント

選考方法を考えるにあたって、まず押さえておきたいポイントを解説します。

欲しい人材の明確化

採用活動を成功させるためには、まずどんな人材が欲しいのかを明確にしておくことが大切です。会社の現状の課題をピックアップし、経営戦略と照らし合わせて、必要な人材のイメージを固めていきます。あるいは、社内で実際に活躍している人や、過去に成果を出した人をモデルとして、採用したい人物像を設定します。

実際に自社で成果を上げている社員をモデルとして評価項目を設定する「コンピテンシー評価」については、以下の記事で詳しく解説しています。

コンピテンシー評価とは? 項目の作成手順やメリット・デメリットを解説

【サンプル付】コンピテンシー評価表の評価項目や基準、作成のコツ

採用の基準を決める

欲しい人物像を元に、基礎能力、知識、性格、行動、価値観などの項目についてそれぞれ採用基準を設定します。このとき、人物について具体的にイメージできるような項目にすることが大切です。例えばコミュニケーション能力がある人物を採用したい場合、「聞かれたことに対して的確に回答できる」「自分の意見を整理して相手に伝えられる」といったように、より明確に基準を設定します。

採用基準の決め方については以下の記事で詳しく解説しています。

採用基準の決め方とは? 必要性と決め方のポイントを徹底解説

採用基準が明確になったら、採用コンセプトを決定します。採用コンセプトとは、自社の強みや価値観、今後の展望、求める人物像などを応募者に伝えるキャッチコピーのことです。採用コンセプトを発信することで、応募者の目に留まりやすくなり、求める人材の獲得につながります。また自社のブランディングを強化できます。

以下は企業の採用キャッチコピーの事例です。

「さあ、ともにつくろう。地球史上、類を見ない社会を。」-トヨタ自動車株式会社

「やさしさをつくる、強い人。」-ユニ・チャーム株式会社

「最高を目指す、少数精鋭のチーム」-LINE株式会社

採用選考の注意点

ここまで、選考方法の種類と選考のポイントについてお伝えしました。以下では採用選考において陥りやすい失敗と注意点を解説します。

現場と人事部門の認識をすり合わせる

採用計画を立てる際には、必ず現場部署にヒアリングを行い、必要な人材の認識をすり合わせておきましょう。人事と現場との間で価値観の相違があると、採用した人材が実際の現場ではあまり活躍できないことがあります。応募者の能力や実績だけで採用を判断せず、現場部署の雰囲気や実際の業務内容にフィットするかどうか、多角的に見極めることが大切です。

公平性を保つ

採用選考では、あくまでも応募者の適性や能力に基づいた採用を行うことが大切です。そのため、性別・本籍地・家族構成など、本人の責任でないことで採用可否を判断してはいけません。また思想、宗教、支持政党など、個人の自由であるべき事柄を質問することも避けましょう。

就職差別につながる不適切な質問を行うことは、応募者の人権侵害に当たる可能性があるだけでなく、企業イメージ低下にもつながってしまいます。公平・公正な採用選考を実施するよう心がけましょう。

個人情報を適切に扱う

採用活動では応募者の氏名や住所、電話番号、メールアドレス、顔写真など多くの個人情報を扱います。応募者の個人情報について、職業安定法では「業務の目的の達成に必要な範囲内で収集し、目的の範囲内でこれを保管し使用しなければならない」としています。

また個人情報の収集は、本人から直接、または本人の同意の下で収集することが原則です。職業安定法に違反した場合には改善命令が出される場合があり、改善命令に違反した場合は6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることがあります。そのため採用活動で収集した個人情報については、適切に管理を行うことが大切です。

参考:e-gov法令検索 職業安定法第五条の五(求職者等の個人情報の取扱い)

参考:求職者等の個人情報の取扱いについて(厚生労働省新潟労働局)

まとめ

採用選考には「書類選考」「筆記試験」「面接」といった従来の方法の他に、コロナ禍で浸透した「録画面接(動画面接)」などさまざまな方法があります。本記事ではそれぞれの選考方法の解説と、採用選考のポイントについてお伝えしました。自社で活躍できる人材を採用するためには、人事と現場で必要な人物像についてすり合わせを行うことが大切です。また採用選考では、応募者の適性や能力を公平に評価することが必要です。

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